第三勢力の台頭と「ホリエモン携帯」の現実味モバイル戦国時代(第3回)(2/3 ページ)

» 2005年08月23日 20時47分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 ライブドアの公衆無線LANサービス「D-Cubic」は(6月24日の記事参照)、YOZAN同様パワードコムの光ファイバーバックボーンを利用する。アクセスポイントの設置場所も、YOZANと提携することでYOZANの基地局スペースを利用する(7月6日の記事参照)。さながら、YOZANのあきらめたコンシューマー向けサービスを、ライブドアが提供しているようなところがある。

 業界のパワーバランスで見た場合、ライブドアのサービスにはもう1つ面白い部分がある。京セラが推進するiBurstを採用したことだ。(7月15日の記事参照)

 ソフトバンクやイー・アクセスといった事業者は、どちらかといえばWiMAXに乗り気で、iBurstにはさほど興味を示さなかった。そこをあえてiBurstに賭けたあたりが、ライブドアの事業センスだろう。これにより“京セラ陣営”がライブドアのバックアップにつくことになる。

 京セラグループの京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、無線ネットワークの管理や課金を行うためのシステム構築を行っている(7月8日の記事参照)。ライブドア自慢のP2P電話ソフトウェア「Skype」はネットワーク管理が難点になるが、こうした管理システムと組み合わせれば“モバイルVoIPサービス”も十分可能だろう。

 ライブドアといえば、急成長しているものの年間売上は数百億円レベル(2005年9月期は3四半期合計で売上高522億円)。NTTやKDDI、それに最近になって日本テレコム買収で「売上1兆円プレイヤー」に成長したソフトバンクに比べると、規模は小さい。

 だがライブドアには、上記の企業に勝るとも劣らない知名度がある。ある通信事業者の幹部は「あのマスコミへの露出の上手さは、見習わなければ」と苦笑していたが、これが冗談ではすまされない部分がある。

 この知名度に、前述のようにパワードコムのバックボーンと、京セラ陣営の技術力が加わる。総務省から帯域を割り当てられるかという問題はあるが、上手くすればiBurstで移動体市場を揺さぶる「ダークホース」になれるだろう。

パワードコム――KDDI連合で大どんでん返しも?

 とはいえ、忘れてはならないポイントがある。一部で、KDDIとパワードコムが合併に向けた交渉を進めていると伝えられていることだ(7月29日の記事参照)

次ページ:KDDIとパワードコム合併で、何が起きるか

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  5. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  6. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  7. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年