連載
» 2005年10月05日 18時12分 公開

見逃せない中古ケータイ市場中国のケータイ事情(3)

携帯が“生活必需品”として普及している中国では、中古市場が活況を呈している。魑魅魍魎の中国携帯中古市場についてリポートしよう。

[山谷剛史,ITmedia]

 連載の第1回でも触れたように、中国では所得の厳しい人にすら、携帯電話が生きるための必需品として普及している。そのためメーカー価格では買えない人々のニーズに応える市場もある。その代表が中古(中国語で“二手”)市場だ。中国はSIMカードを挿せば通話できるGSM方式なので、SIMカードを抜いた状態なら端末を容易に販売できる。高いニーズともあいまって大都市から地方の町々まであらゆるところに中古市場が存在する。

あの手この手で交渉──値札のない端末たち

 品揃えを見ると、日本の中古市場のようにリリースされたばかりのモデルがあるわけはなく、新しくても1年前のモデル。多くの商品が数世代前というのが当たり前だ。一応買い取りも行ってはいるが、個人商店ではあらゆるものに値段のタグがない。交渉が基本の中国において、買取価格がネットで表示されているということはなく、交渉で買い取り価格が決まる。店員にうまく丸め込まれたら買い取り価格はとても安いものになってしまう。買い取り交渉の際には、店員を口説く準備を周到にしておかなければならない。

 中国の中古携帯市場の様子

 中古ケータイ市場の在庫となるケータイの出元は極めて怪しい。買い取ったものの多くは買取人本人が所有していたものではなく、盗品だという噂もある。中のSIMカードさえ変えれば自分のケータイに早変わりし、中古市場で高値で売れるとあって、ケータイは泥棒にとって財布と並んで最も金目のものとみなされている。また個人商店で買い取るため、買取のチェックのシステムもなっていないところがほとんど。誰かが故障品をごまかして売っぱらったものを、さらに店員がごまかして販売しても分からないわけだ。悪質な店では、意図的に故障品を売りつけることもある。

 一般の中国人はそのあたりを理解し、また窃盗品は買わぬというモラルを持っていて、中古品には手を出そうとはしない。田舎からの出稼ぎ労働者が中古携帯マーケット最大の顧客であるため、PCのように大都市だけに中古市場があるのではなく、むしろ地方の中小都市で中古携帯市場がおきている。

詐欺まがいの方法で“1円でも安く売る”

 ちなみにカードを交換しない中国版PHSこと小霊通(用語参照)も中古市場に出回っている。元他人のPHSを購入した後は中国電信なり中国網通なりPHSのキャリアの会社に持っていって、番号を申請すれば使えるようになるという仕掛けがあるため、小霊通は中古市場で販売されている。蛇足になるが、中国人が日本旅行の途中で秋葉原へ寄ったときなどによくジャンク品のPHSを買っていくことがある。彼らは「日本のPHSは中国の小霊通と同じ」という印象を持っているため、だめもとで中国で使えることを期待して買って行くのだ。

 その背景には中国人の「中国で売られるものよりは、日本で売られるもののほうがいい」という考え方がある。もっとも日本のPHSが中国で番号を入れ替えれば動くというのは幻想でしかなく、中国のPHSについての掲示板では、「日本のPHS使用不可!」という悲劇の玉砕報告が見受けられる。

 特殊な販売形態は中古だけではなく、新品においても見られる。一般的に大型家電量販チェーン店が普通に正規の品を扱っているのに対し、個人の小商店による携帯の販売では1元でも安くしようと、さまざまな詐欺まがいの方法で安くしている。例えば「水貨」と呼ばれる、正規でない流通ルートによる無保証の品を販売したり、客に手渡す前に使用済みの部品と入れ替えたり、領収書を発行しないでその分発生しない税金を差し引くなどの方法だ。

 ここ数年、中国に滞在している筆者が使ってきた端末は独Siemens、英Sony Ericssonの端末。中国人の間で信じられている「同じ製品でも中国で売られるものはひどい」という噂が本当なのかどうかは分からないが、1年ほどで調子が悪くなった。せっかくなので新しい携帯を買おう決め、大型家電量販店で“まともな”新品を購入した。購入したのは今年から急に知名度をあげたLenoveの携帯(中国のITといえばLenoveでしょう)。次回はこの製品のレポートを織り交ぜつつ、ディープな中国携帯市場についてご紹介しよう。

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