英国でもiモード──O2に聞くiモード展開の勝算(1/2 ページ)

» 2005年10月17日 14時00分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 英通信オペレーターのO2が10月1日、iモードサービスを開始した(9月26日の記事参照)。欧州市場では最も競争が激しく、先進ユーザーの多い英国市場で、日本のiモードはどこまで受け入れられるのか? 英ロンドンで、O2のiモードマーケティングを率いるアマンダ・クレイ氏に話を聞いた。

 iモード担当マーケティングトップのアマンダ・クレイ氏。携帯電話には、日本で買ったというキティちゃんのマスコットが(左)。NEC製の海外向けiモード対応機「N411i」。背面液晶で電子メールの着信が分かる(右)

O2にとって、iモードのどこが魅力なのか

ITmedia どうしてiモードを提供しようと思ったのですか? 提携に至るまでの背景について教えてください。

クレイ氏 ドコモと提携を結んだのは、2004年末のことです(2004年11月の記事参照)。実はiモードの提携の話は2、3年ほど前からあり、当時は魅力的な端末が少ないことから辞退しました。その間、我々は独自のWAPを利用したポータルサービス「O2 Active」を開始し、競争の激しい英国市場においてデータで成功を収めたオペレーターとなりました。現在、収益の25%はデータから得ています。

 今回、端末が十分に揃ったことと、海外でも成功が実証されてきたことなどが要因となり、提携に踏み切りました。実際、iモードを展開しているフランスやスペインなどのオペレーターは、ARPUを増加させています(2004年12月の記事参照)。もう1つは、英国市場は競争が激しく、出遅れが許されない点です。iモードのような実証済みのプラットフォームを提携により獲得することは、素晴らしいサービスをすぐに提供するために有効な方法だと判断しました。

ITmedia O2にとってiモードは、どこが魅力的なのでしょう?

クレイ氏 iモードはユーザーにとってシンプルで、コンテンツプロバイダも納得しやすいサービスです。WAPの場合、オペレーターとコンテンツプロバイダは、収益をほぼ均等に分け、ブランドはO2ブランドとなります。iモードの場合、収益は86対14で、コンテンツプロバイダに86%が流れます。さらには、自分達のブランドを表に出すことができます。我々が得る14%は顧客サービスや課金にかかるコストにあてる計算で、ここで収益を上げようとは思っていません。狙いは、コンテンツプロバイダに収益を上げてもらうことです。

 開始時、100近くのコンテンツプロバイダが集まりました。求人情報のMonster.com、不動産業のrightmove.co.uk、電子銀行のeggなどが揃ったことには満足しています。これらはユーザーにiモードの便利さを実感してもらえるサービスだからです。実際、iモードを発表して以来、コンテンツプロバイダからの問い合わせが急増しており、オークションのeBayとも話が進んでいます。将来はFeliCaを提供することも検討しています。

 スタートメニュー(左)。セレブのゴシップサイトの「heat」。この日のトップはベッカム夫妻(左中)。不動産サービスの「rightmove」のデモ。探している家の条件を入力すると、写真付きで物件情報が表示される。末尾には「エージェントに電話する」「電子メールを送る」というリンクも(右中、右)

ITmedia iモードは英国ユーザーに受け入れられるでしょうか?

クレイ氏 iモードのような直感的なインターネットや電子メールサービスを英国で提供しているオペレーターはいません。オペレーターの中には、電子メールサービスをうたっているところもありますが、POP3メールにすぎません。Blackberryは英国でも成功していますが、ユーザーは直感的でファイルを添付できるプッシュ式のモバイル電子メールサービスを望んでいます。

 iモードは、エンタテインメントだけではなく、情報閲覧やショッピング、バンキングなどさまざまなことができます。これが、WAPとの違いでしょう。ユーザーは、ゲームもしたいし、電車の時間もチェックしたいし、電子メールも送りたいはずです。iモードは、家に帰宅するまでの電車の中で求人情報を見たり、アパートを探すことができるなど、1日のいろいろなシーンにフィットするサービスが全て揃っています。WAPはこのようなことを目指しておらず、どちらかというと一方的で、エンタテインメント向けです。ですから、iモードを受け入れるユーザーは多いと見ています。

まずは使ってもらう──O2のマーケティング戦略

ITmedia 海外のiモードを見ると、大成功とはいえない国もあります。O2のiモード戦略を教えてください。

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