スクウェア・エニックスがゲーム開発の新しい手法として取り入れたのが、ポリモーフィックコンテンツ(2004年7月の記事参照)という手法。1つの世界観を元に多メディア展開を図るもので、そのオリジナルコンテンツとして登場したのが「コード・エイジ プロジェクト」(4月4日の記事参照)だ。
コード・エイジ プロジェクトは、iアプリ、プレイステーション2、コミックの3つのメディアでの展開となり、12月19日から、iアプリ版「コード・エイジ ブロウルズ〜二つの鼓動〜」がリリースされた(4月4日の記事参照)。
「これまでのRPGは、ケータイというプラットフォームを活かして使っているとはいえ、やはり従来のゲームシステムの延長線上にあるものだった。コード・エイジでケータイの機能を生かしつくした全く新しいゲームを開発できた」──。スクウェア・エニックス モバイル事業部長の洞正浩氏が、こう自信を見せるこのゲームについて、開発陣に聞いた。
「携帯電話の枠を超える」というキャッチフレーズでリリースされたiアプリ版コード・エイジは、今までのRPGと全く異なるシステムを採用している。「BEFORE CRISIS -FINAL FANTASY VII-」(以下、BC)開発の経験を(2004年7月の記事参照)、新しいゲームでどのように活かしているのか、どの部分で携帯電話の枠を超えたのか、という質問に対し、「ゲームそのもので枠を超えた部分と、コンテンツが業界の枠を超えた部分」の2つがあると開発陣は説明する。
ゲームそのものの進化について、ポイントの1つはコミュニケーションの新しい形を提供できたことだとモバイル事業部の開発ディレクター、小山内貫氏は話す。
「BCのときに提示したのは、マテリアを送って戦闘支援する『マテリア援護』、捕らわれている人を助ける『救出任務』というコミュニケーションの形。ただいずれのコミュニケーションも、実際のところは自分は待っているだけで、誰かが助けてくれた結果を知るだけの一方通行的なコミュニケーションだった。コード・エイジでは、BCのコミュニケーションを押し進めるかたちを考えた」(小山内氏)
そして浮上したのが携帯の通信機能を使った「対戦」だ。「まだ携帯ゲームではあまり例がない『リアルタイム対戦』で直接的なコミュニケーションを取り入れよう、というところから開発がスタートした。バトルシステムの基本コンセプトを『対戦』とし、『どんどん対戦してコミュニケーションを楽しんでください』という方向を打ち出した」(小山内氏)
コミュニケーションを促す方法としての「リアルタイム対戦」を、ケータイというプラットフォームの特性を活かしながらどう面白くできるか。それを検討する中で出てきたのが『読み合い』だ。
「単純なコマンド入力だと通常のRPGと同じになってしまうので、そこに『読み合い』を発生させた。読み合いや駆け引きを発生させることで、『あーっ、コイツに負けた(勝った)!』というような、一種のコミュニケーションが生まれると考えた」(小山内氏)
対戦の軸となるのは、簡単にいうとじゃんけんのようなシステムだ。「このバトルシステムは駆け引きを発生させるための一番シンプルな形。さらに6個のデッキを使って、技をどこに入れるかを考えるところでさらに深い駆け引きが生まれる」(小山内氏)
例えばバトルでは「攻撃」「必殺技」「返し技」のほか、2回連続で攻撃を決めると、相手が「グロッキー」状態となって1ターン動けなくなり、より強いダメージを与えられる。さらに通常のRPGゲームでいうと「魔法」に当たる「オテロ」などの要素を付け加えることで、複雑な戦略を組み立てられるようにしている。
「単純に『運』だけではなく、自分でコントロールできる『戦略』も入っている。グロッキー状態をどこにもってこれるか、そのとき自分のスロットで何をやろうか、と考えながらやる戦略性が面白さになる」(小山内氏)
「考えてコマンドを作ってやっているプレーヤーなのか、何も考えてないでやっているプレーヤーなのか、何ターンかやっていると分かってくる。『この人はどういう戦い方をするのか』と考えることは、『この人はどういう人なんだろう』と考えているのと似て、コミュニケーションに近いところある」(モバイル事業部プロデューサー、木村氏)
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