リアルタイム対戦でケータイゲームの限界突破へ──スクエニ「コード・エイジ」の挑戦「BEFORE CRISIS -FF VII-」を超えるか?(2/2 ページ)

» 2005年12月29日 21時40分 公開
[房野麻子(聞き手:後藤祥子),ITmedia]
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 コード・エイジには今後、携帯電話の位置情報機能を利用した“iエリア対戦”機能を実装する予定で、これも新しい試みだ(11月10日の記事参照)。不特定多数のユーザーと闘うとなると、初心者には敷居が高く感じられがちだが、始めて遊ぶ人でも楽しめるように工夫をしているという。

 「対戦はやはり同レベル帯の人と戦うのがバランスが良く楽しい。最適なマッチングをして対戦自体を楽しめるようにサーバー側で調整する。でもたまに強いヤツ、弱いヤツが入ってくることによって、サプライズは出す」(小山内氏)

 基本的にはシンプルなバトルシステムなので、読み合いで勝っていくと高いレベルの人にも勝てることがある。また、対人対戦をするともらえる「バトルカード」はバトルの中で使用でき、それは負けても入手できる(負けた場合は「負けカード」)。高いレベルの人が持っているカードは効果が高く、負けカードも同様なので、実は負けることにも意味がある。コード・エイジは「負けるが勝ち」などの初心者にも敷居が低く参加しやすい面と、戦略性の奥深さを兼ね備えているのだ。

 「例えばとある飲み屋で、そこのママさんが『じゃんけん、10回勝ったらタダにしてあげるよ』っていうけれど絶対負けない。単純なじゃんけんゲームだと勝負は完全にランダムだが、10回勝負だと戦略が必要になってくる。コード・エイジのバトルシステムの面白さはこの部分。じゃんけんは入りやすい入り口としての役割で、間口は広い。でも、戦略という奥深さもありますよ、ということだ」(洞氏)

フィールド上の対戦のほかに、シナリオの中に組み込まれたバトルもある。遂行すると報酬としてバトルカードなどがもらえるクエストも用意
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3Dグラフィックで携帯電話ゲームの枠を超える

 コード・エイジはグラフィック部分での進化が目立つ。BCは背景もキャラクターも2Dのプリレンダリングだったが、コード・エイジは背景はプリレンダリングの2D、キャラクターは3Dで描かれている。技術的にはプレステのFF7と同様のやり方で作られた。

 「携帯電話の3D技術でクオリティを出すのは難しく、ここが限界突破の部分のひとつでもある。携帯電話の中でプレイするにあたって、よりハイクオリティなものを表現したいと思って取り組んだ」(小山内氏)

 さまざまな携帯電話ゲームが出てきている中、「プレイステーションのFF7が登場した時のようなインパクトを与える」ことを目指して取り組んだのだという。

 「開発中は、プログラムが動いたり動かなかったりの繰り返し。“端末の仕様まで調べてなんとかする”というようなことまでして、このクオリティを出した。こんなにパワーをかけている会社は他にないな、という意味でも限界突破といいたい」(洞氏)

ゲーム以外のコミュニケーションの場を用意

 コード・エイジではもう1つ新しい取り組みとして、PC用のコミュニティサイトを用意している。コミュニケーションをキーワードに、ほかにもさまざまな仕掛けを取り入れていく予定だという。

 「今は対戦しかできないが、その対戦をした結果、仲間ができるとか、対戦したことがある人と直接コミュニケーションを図れるようになるとか、今後のコミュニケーションの拡張についてもいろいろと考えている。単純に対戦して「勝った、よかった、ボディを取った」というだけで終わらない仕掛けをしていきたい。ゲームの中に組み込まれるものもあるし、今オープンしているコミュニティサイトで展開するものもある」(小山内氏)

 そうしてできた仲間とは、今後予定されているiエリア対戦モードで協力して戦うこともできるようになるという。

 「『隣町のアイツとどっちが強いかな』というような感覚を目指している」(洞氏)

プレイステーション2版をやっていると、どこがおいしい?

 コード・エイジ ブロウルズは、1つの世界観を元に多メディア展開を図る「ポリモーフィック・コンテンツ」の手法をゲーム開発に取り入れたタイトル。携帯のほかに、プレイステーション2版ゲーム「コード・エイジ コマンダーズ 〜継ぐ者 継がれる者〜」、コミック「コード・エイジ・アーカイヴズ」で展開されている。

 相互連携についてスクウェア・エニックスのモバイル事業部プロデューサー 木村貴則氏は「マンガを読んでいないとプレイステーション2版のゲームを楽しめないとか、プレイステーション2版をやってないと携帯を遊べないといったくくりを一切なくしている」と話す。

 「ケータイ版のストーリーに出てくるキャラクターが実は、プレイステーション2版やコミック版のキャラクターだったりするかもしれない。でもそれは、ケータイ版だけをやっている人からすると別に分からなくて困ることはない。ただプレイステーション2版で遊んでいて、コミックも読んでいると、『このキャラクターは実はプレイステーション2版に出てきた』とか、よりコード・エイジの世界を深く楽しめる。好きなところからコードエイジにアプローチしてきてください、その先に広がるものがちゃんと後ろに控えているから──というイメージ」(小山内氏)

 「ケータイ版はリアルな時間で動いているけれど、プレイステーション2版は自分の時間軸の中でセグメントされた思い出やプレイの経験を残すところ。コミックはリアルな時間軸の中にありながら、過去の履歴を書物的にさらっていく世界──という、それぞれがいいポジションにある。全部あるともっと楽しい」(洞氏)

 とはいえ、プレイステーション2版を遊んでいる人には、ちょっとしたお楽しみが用意されている。「プレイステーション2版のゲームをやった度合いに応じてバトルカードをもらえる。モバイルの中ではレアカードみたいな位置付けで、持っているとおいしいカード」(小山内氏)

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