今回設立されたエイジーワン(AG ONE)は、文化放送とドワンゴに加え、アニメ制作会社であるピクチャーマジック、そして文化放送系列の音楽出版社であるセントラルミュージックが出資している。発表会には、文化放送の代表取締役社長 佐藤重喜氏、ドワンゴの代表取締役社長 小林宏氏、ピクチャーマジックの代表取締役社長 中西孝氏とともに、エイジーワンの代表取締役社長となる、セントラルミュージックの大口豊氏が出席した。
設立の経緯として、文化放送の佐藤社長は「15年前、開局40周年記念として新ジャンルに挑戦しようと始めたのがアニメ系の番組だった。当時は30分番組が週1枠放送されていただけだったが、現在では30数本が毎週制作・放送されている。このおかげで“アニメの文化放送”と呼ばれるまでになったし、アニメ関係の人脈も広がった。その中で、新しい事業会社を作ろうとまとまったのがきっかけ」と語る。
エイジーワンが展開する事業は以下の3点となる。
Webコンテンツ配信の内容としては、PCおよび携帯電話で楽しめる音楽配信事業のほか、コミックやノベルの音声配信を開始していくことになる。これらのコンテンツには、これまでの文化放送の人脈を生かし、エイベックス ネットワークス、エボリューション、スターチャイルドレコード(キングレコード)、マーベラスエンターテイメント、ランティス、リアライズレコードといったレーベル各社も賛同しているとのこと。
具体的な展開だが、ポータルサイトのオープンは10月1日を予定している。オープン当初は5000曲程度のアニメソングなどがWindows Media形式で提供されるほか、声優の朗読やショートストーリーの配信、Webラジオなどが予定されている。これらは1曲あたりに課金されるような従量課金での提供となる。サイトではゲームコンテンツの提供は予定されていないが、ゲーム関連の音声・音楽コンテンツが提供されることになる。動画関連のコンテンツについても「音声からスタートして徐々に始めていければ」(大口氏)とのこと。
またポータルサイトでは、海外向けのコンテンツも用意される。当初は英語のみとなるが、他コンテンツと同様に10月1日のオープンとなる。これについて大口氏は「北米や欧州には日本のアニメファンが数多く存在し、大きなマーケットがあることは皆さんご存じだと思うが、海外に住んでいる人たち、特に欧州圏には十分に情報が行き渡っていない。はじめは英語からとなるが、欧州圏の言語についても早い段階で広げていきたいと考えている」と語る。
なお、番組制作事業などについてだが、現在セントラルミュージックが展開している事業をエイジーワンに移管。文化放送の「A&G」(アニメ・ゲーム)向けコンテンツの制作を行うことになる。「これまでも放送を通じて音楽CDの制作やアニメの共同出資といった案件も生まれてきたので、これからも事業を通じて新たな展開が図れるとうれしい」(大口氏)。
アニメ制作事業については、A&Gコンテンツのオールインワンカンパニーを目指す上で不可欠だが、準備期間が必要である上、専門的な知識およびスタッフが必要、と大口氏。出資金額も億単位となるため、ピクチャーマジックと共同で徐々に進めていくと述べた。
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