目指したのは、多機能で薄い“手帳のような”携帯──「W44T」開発者に聞く「W44T」(デザイン編)(1/2 ページ)

» 2006年06月12日 19時27分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 東芝製の「W44T」は、夏モデルとして同時に発表されたウォークマン携帯「W42S」や防水仕様のタフネスWIN携帯「G'zOne W42CA」のような派手さはないものの、隠れた実力派として注目を集めている端末だ。Bluetoothや赤外線通信機能、1Gバイトの内蔵メモリ、3Mピクセルカメラ、2.6インチの大画面液晶を備えた多機能携帯で、音楽をハンズフリーで楽しむためのBluetoothレシーバーが付属。「3Dナビ」「PCサイトビューアー」「PCドキュメントビューアー」といったビジネスパーソンに役立つ機能まで搭載しながら、auの回転2軸携帯の中では最薄となる21ミリというスリムさを実現した。

Photo W44T。プレアデスシルバー、ネプチューンブルー、コメットブラック、マーズレッドの4色展開
auの回転2軸端末のサイズ
端末名 サイズ 重さ
W44T(東芝) 51×108×21ミリ 約139グラム
W41CA(カシオ計算機) 49×103×22ミリ 約126グラム
W41H(日立製作所) 53×106×27ミリ 約159グラム

 W44Tインタビューの後編ではデザインのこだわりについて開発陣に聞く。

 →インタビューの前編はここから

すっきりと見せるためのバスタブ構造

 「デザインする上でイメージしたのは“手帳”。先進機能を洗練された印象にまとめて、あまり主張しすぎないようにしたかった」──。W44Tのデザインは、東芝デザインセンターで情報機器デザインを担当する宮路太平氏の言葉から分かるようにとてもシンプルだ。「目指したのは、すべてのユーザーに受け入れてもらえるデザインと、回転2軸スタイルで最薄のポジション」(同氏)。

 石から削り出した塊のように凹凸が少ないシルエットがデザインの特徴。こうした形に仕上げられたのは、アンテナ部分をうまく処理したからだという。「アンテナは見えなくてもいいもの」という考えから、本体になじませる形で一体化した。

 「いかにすっきり見せるか」。これが一番のこだわりだと宮路氏はいう。「ハイエンドモデルには、どうしても入れる要素(機能)が増えてしまうのでゴテゴテしがち。そこをすっきりまとめた」

 そのポイントとなるのが、部品と部品の継ぎ目が外側から見えないようにするために採用したバスタブ構造だ。W44Tでは上のケースが下のケースを包み込むような構造になっており、側面のラインは継ぎ目がなくなめらかだ。「2.6インチ液晶を搭載しているので、普通のやり方ではどうしても本体の幅が広くなる。そうならないように、エンジニアが“気合いで”横幅を縮めてくれた」(宮路氏)。

 充電台に置くときに必要な溝を充電端子とまとめたり、スピーカー穴を底面に配置したりと、すっきり見せるためのこだわりは随所にみられる。ちなみに、スピーカーは横にスリットを設けているので、音質には問題がないとのことだ。

Photo ヒンジからアンテナに向けて直線的に処理され、ひとつの塊のようなシルエットになっている。また、上のケースが下のケースを包み込む構造にしたことから、継ぎ目のないすっきりした側面に仕上げた

 外観デザインのもう1つのポイントとなるのが、背面に設けられた細いライン。これは着信時に光って電話やメールの着信を知らせる役割を担っており、デザイン面でも機能面でも重要な役割を果たしている。このラインの質感やカラーリングも、ツヤあり/ツヤ消しのシルバー/ブルーに決まるまでに、さまざまなカラーが試された。「例えば、虹色、玉虫色、オレンジ黄色、緑紫など。光り方で変わるものも試した」(宮路氏)。

 さまざまなパターンを試しているときには、よりカラフルな色の採用を考えたこともあったと宮路氏は振り返る。しかし試行錯誤を続ける中、この端末で重要なのは、“シンプルで飽きない、手帳のようなステーショナリー感覚”であること再確認できたという。「毎日使い続けても飽きないかを時間をかけてチェックし、さりげなさをポイントにしてカラーリングを決断した。店頭ではもっと目立つ色の方がいいかもしれない。でも、そこはひとつ大人の選択を(笑)」(宮路氏)

Photo ボディカラーによって、ツヤありとツヤ消しを使い分けており、ブラックにはブルーのラインを採用。「1日見続けてほかの仕事をして、また見て、まだ飽きてないか、というチェックを時間をかけて行った。最終的には、さりげないカラーに落ち着いた」
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