インタビュー
» 2006年06月05日 01時00分 公開

開発者に聞く「W44T」(機能編):W44Tが目指した「ワイヤレスミュージックのかっこよさ」 (1/2)

KDDIが発表した夏モデルラインアップの中でも、非常に高機能な端末として注目される東芝製の「W44T」。Bluetoothヘッドセットやau端末では初の回転2軸ボディに込めた思いを聞いた。

[園部修,ITmedia]

 KDDIが5月22日に発表した夏モデルラインアップ(5月22日の記事参照)の中ではあまり目立つ存在ではないが、機能面でもデザイン面でも東芝製端末「W44T」の実力は侮れない。スリムな回転2軸型のボディにBluetoothをはじめとする数々の機能を凝縮したW44Tは、同社の自信作だ。

 東芝は2006年に入って、HDD搭載端末「W41T」、デザイン端末「neon」、3Dナビ対応端末「W43T」と矢継ぎ早に新機種を投入している。早くもW4xシリーズ4代目の端末となるハイエンド機W44Tにはどのような思いが込められているのだろうか。

Bluetoothの便利さを、買ってすぐに体験してほしい

Photo 株式会社東芝 モバイルコミュニケーション社 モバイル国内営業第一部 営業第二担当 販売主任の東條正勝氏

 「W44Tで目指したのは、Bluetoothを使ってワイヤレスで音楽を楽しむかっこよさ」だと、モバイルコミュニケーション社 モバイル国内営業第一部 営業第二担当 販売主任の東條正勝氏はいう。W44Tの最大の特徴は、コンパクトなBluetoothレシーバーが付属すること。このレシーバーをW44Tとペアリングすれば、手軽にワイヤレスでの音楽再生が楽しめる。

 ちなみに4Gバイトの0.85インチHDDを搭載し、最大2000曲の音楽データを持ち歩けるW41Tも同様にBluetoothを搭載している。この時も東芝は、W41TとBluetoothイヤフォンを利用したワイヤレスミュージックの魅力をアピールしていた。

 しかしW41Tでは、Bluetoothを利用して音楽再生を行う際に、A2DPを独自拡張したプロファイルを利用する。このため、ワイヤレスで音楽再生を楽しむには、東芝と加賀電子が共同開発したペンダント型イヤフォン「BTee Music」を別途購入してもらう必要があった。BTee Musicは価格が1万円前後と安価でなかったこともあり、思ったほど多くのユーザーに受け入れてもらえなかったという。

Photo 株式会社東芝 モバイルコミュニケーション社 商品企画部 主務の山崎徹氏

 そこで、Bluetoothによるワイヤレスミュージックを前面に押し出すW44Tを開発するにあたっては、Bluetoothレシーバーを端末とセットで提供することに決めた。モバイルコミュニケーション社 商品企画部 主務の山崎徹氏は「わざわざオプションを購入することなく、同梱品だけで買ってきたその日にすぐ楽しんでもらえるように配慮した」と話す。

 さらに、レシーバーの小型化にも取り組んだ。「あまり大きいと、ポータブルオーディオプレーヤーを使えばいいじゃないか、という話になってしまうので、サイズはかなり意識した」とデザインを担当したデザインセンター 情報機器デザイン担当の宮路太平氏。「単4乾電池を用いることは決まっていたので、その制約の中でいかに小さくて持ちやすく、操作もしやすいレシーバーを作るかに頭を悩ませた」と話す。

 最終的にBluetoothレシーバーの形状は単4乾電池を横に2本並べた程度の四角くコンパクトなものに落ち着いたが、開発段階では細長いものや太いもの、角張ったもの、丸いものなどさまざまな形状のサンプルを試作したという。

 なおBluetoothをはじめて使う人にとって、「ペアリング」という接続作業は少々わかりにくい部分だ。端末と同梱されるBluetoothレシーバーは、あらかじめペアリングされた状態で出荷されるか確認したところ、「ペアリング作業はユーザーが購入後に行う必要がある」とのことだった。ただ、パッケージにはレシーバーの接続方法を細かく解説した説明書を同梱しており、最初の作業で挫折することがないよう配慮している。

PhotoPhoto 写真は試作段階のBluetoothレシーバー。このほかにもさまざまな形状のレシーバーを試作した。電池ケースの出っ張りは、クリップを設けてうまくカバーした

音質にこだわったBluetoothレシーバー

 音楽再生機能をウリにするだけに、再生時の音質にもこだわった。音響回路の設計にはオーディオ機器で培ったノウハウを生かしている。例えば左右均等に回路を配置したり、比較的背の高い(容量の大きな)コンデンサを搭載したりといった工夫を凝らしているのだ。細かな部分ではあるが、それによって「KDDIにも高く評価されている」と山崎氏はいう。Bluetoothレシーバーに採用したヤマハのサウンドチップが内蔵している、AACファイルやaacPlusファイルをデコードするコーデックも新しいものになっているそうで、それによって音質が向上している部分もあるという。

 加えて、W44Tと従来の製品を比較したとき、決定的に異なる点が1つある。それは、W44T本体とBluetoothレシーバーの間がデジタル方式で接続されている点だ。他社のBluetooth搭載端末では、著作権保護のために、Bluetooth経由で音楽を再生する場合には信号をいったんアナログに変換してから送信している。一方W44Tでは、SCMS-Tという著作権保護方式を採用することでデジタルのまま信号を送受信しているのだ。

 アナログとデジタルでの音質の差は歴然としており、ノイズなどにも強いデジタル方式の方が圧倒的に音がいいという。結果的にSCMS-Tに対応していないレシーバーやヘッドセットでは音楽が再生できなくなっているが、高音質な音楽再生が楽しめる。Bluetoothレシーバーには3.5ミリのステレオミニジャックがあり、好みのイヤフォンを組み合わせることも可能だ。

 また、せっかく高音質な音楽再生が楽しめるのに、au Music Playerの楽曲しか再生できないのはもったいないと、EZ FMをカスタマイズして、FMラジオの音声もワイヤレスで聞けるようにしている。

 ただBluetoothレシーバーは、あくまでも“レシーバー”だ。着信時には音楽再生に割り込みがかかり、着信があることは分かるようになっているが、マイクは搭載していないため、ワイヤレスでの通話はできない。これに対して山崎氏は、「Bluetooth機能を、レシーバーで音楽を聴くだけでなく、ハンズフリー通話などにも使いたいというニーズがあるのは理解している。ただ、現状では多くの人がBluetoothヘッドセットなどでハンズフリー通話をしている姿を奇異に感じているのも事実。ハンズフリー通話機能など、Bluetoothを活用する方法は今後もステップバイステップで実現していきたい」と話した。

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