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» 2006年07月03日 20時20分 公開

“閉じたまま操作”にこだわる──開発陣が語る「F902iS」開発陣に聞く「F902iS」(セキュリティ編)

“902iSシリーズ最薄”の音楽携帯として登場した「F902iS」のもう1つの特徴は、ICロックの解除を閉じたまま行える便利さ。強固にすればするほど解除が難しくなるセキュリティ機構への答えがここにある。

[青山祐介(聞き手:吉岡綾乃),ITmedia]

 背面に音楽操作用のパネルを配したことからも分かるように、「F902iS」(記事一覧参照)で富士通がこだわったのは“閉じたまま操作できる”こと。同社端末のアイデンティティともいえる指紋センサー(2003年7月の記事参照)についても、今回は底面にレイアウトして使いやすさを向上させた。

 インタビューの後編では、富士通が考える携帯電話のセキュリティ機能について、富士通モバイルフォン事業本部マーケティング統括部の藤野克尚氏に聞いた。

 →インタビューの前編はこちらから

Photo F902iS

もっとスムーズな指紋認証のスタイルを生み出す

 “閉じたまま操作できる”ことにこだわるとはいえ、折りたたみ型という形状のため、すべての機能を閉じたまま行えるようにするのは難しい。そこでF902iSでは、端末コンセプトの中で重要な位置を占めるオーディオプレーヤーとセキュリティについて、閉じたまま操作しやすくすることにした。具体的には、オーディオプレーヤーの起動とICカードロックの解除を、それぞれサイドキーの[▲][▼]ボタンの長押しに割り当てている。

 このICカードロックの解除は、早い時期から指紋センサーを使ったセキュリティ機能に注力してきた富士通の、“使いやすいセキュリティとは何か”という問いに対する回答ともいえる。F902iSでは、これまでダイヤルキー面にあった指紋センサーが端末の底面に移動し、端末を開くことなくセキュリティを解除できるようになった。底面の指紋センサーと、側面の[▼]キーに割り当てられたICカードロック解除のおかげで、気軽にセキュリティロックがかけられる。

Photo 指紋センサーは底面に移動
Photo サイドキーの長押しには、音楽プレーヤーの起動とICロックの解除が割り当てられている

 セキュリティ機能の搭載にあたっては、いずれのメーカーも、利便性とのトレードオフに悩まされている。最近では携帯の中に電子マネーだけでなくクレジットカード機能も搭載されるようになり、より強固なセキュリティが求められている。しかし、セキュリティを厳重にすればするほど、操作は面倒になりがちだ。携帯のセキュリティにいち早く取り組んだ富士通では、この相反するニーズにF902iSで応えられたと胸を張る。

 例えばF902iSをSuicaの定期として利用する場合、改札の前でポケットからF902iSを取り出して、サイドキーの[▼]キーの長押しでICカードロックを解除。そこで、指紋認証するか暗証番号を入力する。指紋を登録しておけば、指紋センサーをなぞるだけでロックが解除され、Suica定期として使えるようになる。

 F902iSはまた、Felicaを使ったあとに自動で再びロックをかける「自動再ロック」機能を備えている。改札でタッチ&ゴーしたあと、そのままポケットにしまっても、あらかじめ設定しておいた時間が経過すると、ICカード機能に自動的にロックがかかる。

 ポイントは、F902iSではこの一連の操作において、“本体を一度も開ける必要がない”ということだ。「改札の前でガチャガチャと端末を開いてロックを解除する必要がないのです。こうした使い勝手のよさ、スマートさというものを、背面の指紋センサーとサイドキーの長押しで実現しました」(藤野氏)。

指紋センサーを底面に付けた“もう1つ”の理由

 実はもう1つ、指紋センサーを底面に持ってきた理由がある。底面に付けると、“本体を閉じたときでも開いたときでも、指紋認証を行うアクションが変わらない”からだ。富士通の端末には本体を閉じるとロックがかかる「開閉ロック」が用意されている。これを設定すると、一度本体を閉じると次に本体を開いたときにはロックがかかった状態になる。本体を開くとロックがかかっていた──というときに、暗証番号でも解除はできるが、そのまま本体を持っている手の人差し指を底面の指紋センサーに伸ばしてなぞれば、ロックが解除される。

 また、従来機種では指紋センサーが端末を開いた内側にあったため、片手で端末を持ち、片手で指紋センサーをなぞらなくてはならなかった。センサーを使うには両手が必要だったが、これを底面に配置することで片手操作が可能になったのだ。

Photo 指紋センサーが底面に移動したため、閉じたままICロックを解除できるようになった
Photo 左がF900i、右がF902iSの指紋センサー。F902iSのほうが幅が狭くなっているのが分かる

 また、指紋センサーは、その配置だけでなくセンサー自体も進化している。指紋認証機能を搭載した最初のモデル「F505i」には、指を押し付けるスタイルのパネル型のものが搭載されていたが、今では指でなぞるスタイルのスイープ式になった。指紋センサーのサイズも、小型化が進み、認証率も向上してきているという。さらに指紋センサーが外部に配置されたF902iSでは、傷や汚れの影響を受けにくくするため、センサーの表面硬度を上げて傷付きにくくしている。

 「富士通の端末にしか搭載されていないこともあり、指紋センサーは、まだまだ(多くのユーザーに)珍しいものだと思われています。そのためか、ユーザーからの声は、やはり2つに分かれます。『指紋センサーはいらないからもっと小型化して』という声も確かにありますし、『非常に面白いし、愛用している』という声もいただきます。ただやはり、今まで一番多かった声が、『使うにあたって両手を使わなくてはならないのがとても手間だ』ということ。F902iSで、こうしたユーザーの声にお答えできたと思います」(藤野氏)。

 “Fシリーズ=セキュリティ”というイメージを定着させた指紋認証機能。富士通は、今後も指紋認証機能を通して、“携帯電話には常にロックをかけて、セキュリティを高める”ことをアピールしていく考えだ。もちろん、それだけではなく、今回のオーディオプレーヤーのようなプラスαの機能とともに訴求していきたいという。キラリと光ってワクワクさせる「ラウンドイルミネーションパネル」と、背面で安心を支える指紋センサー。これが富士通の考える携帯電話の1つの形というわけだ。

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