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» 2006年07月11日 12時00分 公開

開発者に聞く「G'zOne W42CA」その2:金属製ケースからの決別――“G'zOne”WIN対応で得たもの、失ったもの (1/2)

G'zOneユーザー待望のWIN対応を果たした「G'zOne W42CA」は、最新のWIN端末としてのトレンドスペックを数多く盛り込んでいる。しかし、WIN化したうえでこうした機能を満載するために、超えなければならないハードルも高かった。

[青山祐介(聞き手:吉岡綾乃),ITmedia]

 「G'zOne TYPE-R」としてG'zOneが復活してから1年。ユーザーからの熱い要望を受けてWINへの対応を果たした「G'zOne W42CA」は、赤外線ポートや外部メモリスロットなどを搭載し、さらなる高機能化が図られた。

 しかし機能を増やしても、ボディサイズをそう大きくすることはできない。また、ユーザーの利便性と防水・耐衝撃性を両立させなくてはならず、どうしても実現できない機能も存在した。コンセプト編に引き続き、カシオ日立モバイルコミュニケーションズの開発陣に話を聞いていく。

両立が難しかった音楽再生機能と防水性

 G'zOne W42CAは、最近のWIN端末に搭載されているスペックを一通り装備しており、KDDIが注力している音楽サービス「LISMO」にも対応する。本体に搭載されているスピーカーがモノラルなので、本機で音楽を楽しみたいユーザーの中には、端末に常にイヤフォンを接続しておきたい人もいることだろう。

 そこで問題になるのが防水機能だ。残念ながら、イヤフォンを付けるために端子のキャップを開けておくと、そこから水が浸入するため防水にはならない(5月31日の記事参照)。イヤフォンマイクやステレオイヤフォンを付けた状態でも防水仕様であってほしいというユーザーのニーズがありそうだが、カシオはどう考えているのだろうか。

 戦略推進グループ商品企画チームの甫足博信氏は「そのようなニーズがあるのは確かです。実際、企画の初期段階ではイヤフォンを挿したまま防水を実現する方法も考えました。確かに技術的に難しい、ということもありますが、そのほかにも“耐水”と“耐衝撃”という点で問題があるんです」と話す。

 イヤフォンを接続した状態で防水を実現するため、プラグ部分に防水仕様を持たせたイヤフォンを作るという話もあった。しかし、この方式で防水構造を保つには、ジャック部分が大きく、そして厚くなってしまう。社内で検討した結果、「不恰好になる」という理由で、この方式は見送ることになった。

 また、イヤフォンを差した状態で端末を落としてしまったときに、中の基板に与える影響が大きいことも問題だった。イヤフォンは端末に装着する際、端末のケースに固定されるわけではない。イヤフォンジャックそのものは、基板上の部品の1つであり、あくまでも基板に固定されているだけだ。そのため、イヤフォンプラグ側から大きな力が加わると、その力はそのまま基板に伝わり、破損につながる。もちろん、日常使っている程度の高さからの落下では問題ないことは確認されているが、ここに防水性能を持たせるとすると、さらに難しくなってしまうのだ。

 カシオ計算機は、「お風呂テレビ」のような防水製品をリリースするメーカーでもあり、同社の持つ技術やノウハウを生かせば、生活防水程度のものは実現できるという。しかし、G'zOneシリーズのハードな基準で耐衝撃かつ防水、ということになると、イヤフォンをつけた状態で実現するのは難しい。

 またG'zOneから新たに搭載されたmicroSDの格納場所も、防水に関しての苦労がうかがえる。というのも、ほかの端末の多くがカードスロットを本体側面に備え、簡単にメモリカードが着脱できる構造になっているのに対し、G'zOne W42CAでは2つのロックで固定された電池パックの下に、au ICカードと向かい合わせになるようにして搭載している。

microSDとauICカードは電池パックの下にある

 ユーザーの感覚から言えば、端末の外側にスロットがあるほうが出し入れしやすく便利だ。しかし、外部からアクセスできる“窓”を増やしてしまうと、防水性や耐衝撃性にはマイナスの影響がある(6月29日の記事参照)。なるべく外部とつながる部分はなくしておくにこしたことはない。また、実は開発初期に“TYPE-Rのどの部分にメモリカードを入れる場所があるか”を検討したところ、端末のサイズにあまり影響を与えずに収めるには、そもそも電池の下にしかスペースがなかったという。結果的にW42CAでは、バッテリーそのものを防水キャップとして利用し、メモリカードスロットとau ICカードスロットを防水エリアにする方式を採用した。

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