パナソニック モバイル製端末「P702iD」は、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏と同社、NTTドコモのコラボレーションモデル第2弾だ。ベーシックで飽きのこない「ケータイの原型」を目指した前モデルのデザインコンセプトを継承しながら、進化したヒカリドロップス機能や着うたフルへの対応など、機能面の強化も果たした。
前モデル「P701iD」は、あえて角張ったスクエア型デザインを用いるなど、シンプルなフォルムがユーザーから高い評価を得た端末だ。その後継機種の開発にあたってデザイナー佐藤卓氏から提案されたのは、“さらなるシンプルさの追及”だった。
「シンプルさと機能性を両立させ、さらに楽しさを加味したケータイを目指した」というパナソニック モバイル開発陣に、このP702iDがどのように進化したのか、どのようなこだわりを盛り込んだのかを聞いた。
シンプルさを追及するためとはいえ、サブディスプレイやカメラといった機能は省けない
当初、デザイナーの佐藤氏が思い描いたイメージは、P701iDからサブディスプレイとカメラを取り除いてしまった、究極にフラットなデザインだったという。
「P701iDの成功をふまえ、次のモデルでもそのデザインコンセプトを継承するというのは佐藤氏と我々の共通認識でした。ただメーカーとしてはシンプルさを追及するためとはいえ、サブディスプレイやカメラといった機能は省けない。機能的な引き算をせずに佐藤氏の望むフラットなデザインを実現するにはどうすればいいか。それが今回のプロジェクトの最大の課題でした」(安藤氏)
試行錯誤の末にその解決策として導き出されたのが、黒いカメラパネルに有機ELで文字を表示するという方法。カメラと一体化することでサブディスプレイの存在を意識させずに「何もないところに文字が浮かび上がるようなイメージを目指した」という。
「佐藤さんのデザインイメージに近づけようと、カメラパネル部分に本体と同じ色、素材を使うことも検討しました。しかし白の場合はどうしても文字が見えにくい。また構造上、パネル部分と本体を完全に一体化することはできない(継ぎ目ができてしまう)。それならばいっそ、カメラパネルは黒で統一しようということで、このデザインに落ち着きました」(富澤氏)
カメラパネル部分につやのある黒のグロス素材を用いたため、本体部分はこれと差別化するイメージを持たせる目的でつや消し(マット)の素材を採用。P701iDでは、スクエア型はグロス、ラウンド型はマットというように形状に合わせて素材を変えていたが、P702iDではどのカラーもマット調のもの採用した。
「P701iDでは、“スクエア”はデザインに敏感な層で“ラウンド”は保守層と、ターゲットをある程度想定していました。そのため、ラウンドはボタン部分にも色を付け、分かりやすさを優先したものになっています。しかし、実際にP701iDユーザーのリサーチ結果を調べると、必ずしもラウンド イコール 保守層ではなく、デザインに敏感な女性がラウンドを選んでいるケースもあることが分かりました」(安藤氏)
前モデルでは、スクエア/ラウンドとも黒/白/コーラル、2形状3色のカラー展開だったが、P702iDではスクエア形状を黒/白の2色、ラウンド形状をコーラルと新色のシルバーの2色に変更した。シルバーを加えたのは「ビジネスユーザーなど、より広い層に使ってもらいたい」という思いからだ。
一方で、デザイン面では前モデルのようなスクエアとラウンドの差別化は行わず、キーの文字色はすべてモノトーンで統一。加えてボタンの素材や色も本体に合わせたものとし、より一体感のあるデザインを目指した。
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