P702iDでは使い勝手の面でも前モデルから細かな改善が図られている。CPUを高速化してキー操作のレスポンスを改善したのをはじめ、メニュー画面だけでなくさらにその次の第1/第2階層まで、Flashアニメーションで表示するメニューを実装した。
画面が横にスクロールし、メニュー画面をシームレスに切り替えられるインタフェースは、P902iやP902iSでもおなじみのものだが、P702iDでは画面を切り替えると、次の画面が表示されてから停止するまでの動作に細かな工夫がなされている。
「画面がパッパッと変わるのではなく、ドリンクの入ったコップを机に置く時のように、停止する瞬間に動きがゆっくりになり、緩やかに止まる。言われなければ気付かない些細な点なのですが、人間の目の動きを考え、自然な動作にとことんこだわった箇所です」(富澤氏)という。
その細かなこだわりを反映した変更箇所はほかにもある。例えば端末を開き、画面が表示されるまでの速度だ。
暗い場所で端末を開いた時、暗さに慣れた目が順応できずにまぶしく感じたことはないだろうか。開いた瞬間にパッと表示される従来機種とは異なり、P702iDではゆるやかにフェードインしながら表示することで目が明るさに順応しやすいよう工夫した。これも小さな改善点だが、ユーザーの立場に立って開発されたからこそのものだといえる。
なおP701iDと同様に、今モデルも待受画面やメニューアイコンなどはすべて佐藤氏が監修。輪ゴムやガムテープなど、身近な素材を使った待受のほか、天ぷらを揚げる音、キャベツの千切りといったユニークな効果音も用意する。このほか佐藤氏が自ら演奏したという「ヒカリドロップス」と連動する効果音にも注目したい。これらはプリインストールされる「ケータイコーディネーター」アプリで、トータルコーディネイトも可能となっている。
フラットなデザイン、スタイリッシュなメニュー画面など、P702iDは紛れもなくデザイナー佐藤卓氏の“イズム”が詰まったデザイナーズケータイだ。しかし一方で「デザイナーズケータイだからといって奇抜なことをするのではなく、ベーシックで使い勝手がいいものを追及した」と言うように、まさに“ベーシック”という言葉がぴったりくる端末でもある。
細部へのこだわりや遊びの要素をしっかり盛り込みながらも、決して押しつけがましい感じがない。「ケータイの原型」というデザインコンセプトに偽りなく、誰の手にもなじみやすい端末と言えるだろう。
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