どのキャリアにとっても端末メーカーにとっても、2006年の秋モデルは“MNP(番号ポータビリティ)に向けた戦略端末”という意味がある。かつてないほどたくさんの種類の機種が登場し、しかもメーカーは他キャリア端末とも勝負しなくてはならない。そんな中、どのようにほかの端末と差別化したら“勝ち抜け”るのか、その見極めは難しい。
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製のau端末「W43S」は、“あかり”をテーマにした折りたたみ端末だ。Style-Upパネルを着せ替えればガラリとイメージが変わる。2.7インチの大型液晶を搭載し、文字入力はこれまでの「POBox」から「POBox Pro」に進化した(8月28日の記事参照)。ITmediaの調査「+D QUICK POLL」を見ても、読者の注目度は高い。
W43Sの製品化にあたり、開発陣はどのような思いを込めたのか。商品企画を担当した5人のスタッフに話を聞いていく。
開発するに当たり、“MNPのタイミング”ということは強く意識していた、と商品企画の清水氏は話す。「MNPのタイミングに合わせて、出てくる端末の機種数はとても多くなります。その中でソニー・エリクソンらしさを出していくには何がいいだろう? と考えました」(清水氏)
W43Sのターゲットユーザーは“10代〜30代の、流行に敏感で、自分の持つ物やインテリアなどにこだわりのある男女”だという。「機能とデザインの両方から特徴を持たせ、幅広い層に受け入れてもらえる端末にしたかった」(清水氏)
ソニエリらしさとは、そして幅広い層に受け入れられる機能・デザインとは、具体的に何か。開発陣がW43Sで出した答えは「あかり」「スリムなデザイン」「大きくきれいな液晶」「文字入力のしやすさ」だった。
「あかり」は、W43Sの最も大きな特徴だ。背面には6個×2列の白色LEDが配置されており、複雑な動きで光る。さらにその上に着せかえ可能なStyle-Upパネルをかぶせることで、光の色や形も変化する。着せかえ可能な端末は珍しくないが、光り方の印象がパネルで変わるところが面白い。
あかりにこだわった理由は、デザイン的な美しさだけではない。「不在着信があったり、メールが届いていたときに、携帯を見るとあかりの数で何件かそれとなく分かります。音や振動に加え、携帯が光ることはユーザビリティという観点から見ても有益です」(清水氏)
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