au向けの新端末「W41SH」を発表したことで、国内携帯3キャリアすべてに端末を供給する体制が整ったシャープ。同社初のau端末は、他キャリアで展開しているような全部入りのハイエンド端末ではなく、大人の女性をメインターゲットにしたスタイリッシュなモデルだった。
シャープの狙いはいったいどこにあるのか。auの端末ラインアップの中で、どんなポジションを取ろうとしているのか。商品企画に携わったシャープの通信システム事業部 パーソナル通信第四事業部 商品企画部 主事の中田尋経氏と、デザインを担当した通信システム事業本部 デザインセンター 主事の三好康彦氏に話を聞いた。
「W41SHの企画をスタートするにあたってまず考えたのは、キャリアとしてのauの特徴を生かしつつ、シャープのオリジナリティも発揮できるような端末を作ろう、ということです」。中田氏は当時を振り返りこう話す。「その結果目指したのは、毎日24時間、肌身離さず使うことを前提に、使いやすさを最大限追求した端末です。シャープのau向け端末の第1号機ということもあって、とにかく普段使う機能が使いやすいことを重視しました」
シャープでは、au向けの端末を開発するに当たって、auのサービスを利用しているユーザーを対象にアンケート調査を実施した。その結果は、LISMOやEZナビウォークなど、キャリアの独自サービスを日々活用している人がとても多かったという。また男女を問わず、最もよく使うのはメールや電話といった基本的な機能で、特にメールの利用頻度が高いことが改めて確認できた。「主にメールを使っている」と回答した人は全体の8割にも上ったという。
そのため端末の使いやすさ、特にメールの打ちやすさや読みやすさには気を配った。
「若い人向けにはこれ、ワンセグで新しいトレンドを求める人にはこれ、といった感じで、au端末にはそれぞれターゲットがはっきりした個性的なラインアップがそろっていました。しかし、その中にメールの使い勝手の良さを求める人向けであることをウリにした端末はなかったのです。私たちには、auユーザーに今までいなかった層を取り込んでいきたいという思いがあったので、今回は特にメール周りの機能に注力しています」(中田氏)
メール機能を重視するにあたり、最初に決めたのはボディの横幅だ。男性だけでなく、メール機能をよく使う女性が手に持ちやすいサイズとされる“48ミリ”にこだわった。またメールの打ちやすさを実現するため、キーの形状や硬さ、ボタン類の位置を、長時間文字入力を続けても疲れないよう調整してある。
この「メール機能をとことん使いやすく」という方針には、基本機能の使い勝手が良くなければ、どんなにいいハードやソフトを搭載してもユーザーに使いにくいと思われてしまう、というシャープ開発陣の思いが込められていた。
「当然のことですが、auのユーザーさんの中にはシャープ端末を使ったことがない方が多い。ですから、初めてシャープ端末を手に取っていただいたお客様に気に入っていただき、長い間使っていただけるような端末を目指しました。毎日使う機能の使い勝手がいい、というところに価値を見いだしていただければ、きっと次もシャープの端末を買っていただける。そう考えたのです」(中田氏)
高機能だったり、何かとがった機能を持った端末は、確かにユーザーからの注目は集めるものの、それだけにとどまってしまう場合もある。前評判は高かったのに意外と売れなかった、というケースもある。だからこそ、今回はなるべく多くのauユーザーに“シャープ端末の良さ”を知ってもらうことを最優先した。
実際、W41SHのメール機能を作り込むに当たり、自社のドコモ向け端末のメール機能、ボーダフォン向け端末のメール機能、そしてauの他社製端末のメール機能などを、2カ月ほどかけて徹底的に検証した。その中から使いやすい機能やほしい機能を洗い出し、搭載したという。またシャープならではの機能として、メールの一覧表示画面に差出人と件名を2行ずつ表示するほか、件名を1行ずつ表示し、画面下部に本文を5行もしくは1行表示したり、差出人を1行ずつ表示し、下部に本文を5行もしくは1行表示したりする機能も用意した。
定評あるケータイShoin4も、使いやすい最新バージョンを搭載している。ボーダフォン向けの端末に搭載しているケータイShoin4では、変換候補が上下キーでしか選択できなかったが、W41SHでは左右キーでも候補の選択が行える。2列目の下の方にある候補にも素早く移動可能だ。絵文字の入力変換も用意するほか、「かわなたは」と入力すると「こんにちは」と変換できるワンタッチ変換もサポートした。「もちろんご迷惑をおかけした(『られまくっちゃ』の)問題も解消しています」(中田氏)。
メールの使い勝手の向上は、閉じたままさまざまな操作が行えるサブディスプレイにも反映されている。1.2インチのモバイルASV液晶を採用したサブディスプレイでは、着信したメールの本文がそのまま読めるほか、クイック返信も可能で、端末を開かなくてもメールの受信と簡単な返信ができる。
サブディスプレイはこのほか、静止画/動画撮影時のファインダーとして利用したり、音楽再生時にジャケット写真を表示したりと、さまざまな用途に対応している。
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