6つの予想外――ソフトバンク孫社長の秘策 (2/2 ページ)

» 2006年10月24日 04時16分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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photo 3つ目の料金プラン、ゴールドプランは「予想外割」が適用される。なお、ソフトバンク携帯同士は音声定額とはいえ「21時台から0時台のソフトバンク携帯への通話料が1請求月で最大200分を経過した場合、超過分は30秒ごとに20円かかる」と但し書きがある

 オレンジ/ブループランに続き、3つ目の料金プランとして披露したのが“予想外割”が利用できる「ゴールドプラン」だ。ソフトバンクの網内であれば国内の音声通話が基本料金のみになる、というもの。「メールも定額」とのことだが、ここでの“メール”はSMSのみで、S!メールやPCから送られてきたメールは含まれない。※

※…翌10月24日、ソフトバンクモバイルはゴールドプランを拡張し、SMSだけでなく、S!メール(MMS)の一部についても、送受信を無料にすると発表した。無料になるのは、ソフトバンク端末同士で電話番号を宛先としたS!メールのみ。国際サービスは無料対象外であるほか、他キャリア携帯とのメールや、PCから送られたメールなども無料にはならない(10月24日の記事参照)

 「音声通話している時間を見ると、特定の1人とで70%、2人とで90%もの時間を占めているという統計がある。自分が近しい友人にソフトバンクに入ってもらうだけで、無料の輪を広げられる」(孫氏)

電話番号を使った“年数”で長期割引率は決まる

 ゴールド、ブルー、オレンジの3プランを合わせると、基本料金は18プラン、割引などは24サービスに上る。新料金プランについての発表を聞き、正直なところ、記者は分かったような分からないような印象を受けた。また、既存の料金プランから大きく変化するだけに、孫社長としても「長期的な展開がどうなるかは、実際にやってみないと分からない」というのが正直な気持ちのようだ。

 孫社長はゴールドプランについて「6つの予想外がある」とした。6つの予想外のうち5つについての詳しい内容は別記事を参考にしていただきたいが(10月23日の記事参照)、“6つ目の予想外”の内容が明らかになるのは、サービスを開始する10月26日の朝だ。また、ゴールドプラン加入の前提となる「新スーパーボーナス」とは現行スーパーボーナスとどう違うのか、などの細かい部分についての疑問が明らかになるのも、26日の朝だという。

 以下、発表会会場で出ていた質問と、その後の取材で明らかになったことについて、10月23日時点で分かっていることを一問一答形式でまとめる。

――実際に3種類の新料金プランを実施して、財務的に大丈夫なのか。トラフィックの変化も読めないのではないか。

孫氏「(新料金プランを導入することにより)1人あたりの利益は下がるだろうし、データトラフィックは増えるだろう。これによって、財務的にも結果は変わってくるだろうが、借入金の返済は滞らないと見ている。投資家へも迷惑はかけずにすむはずだ。auやドコモは、利益が5千億円とか1兆円とか言っているが、そもそもそれは儲けすぎというものではないか。元本の返済ができる程度の利益があれば、あとはお客さんに還元して喜んでもらえるようにすべきと考えている。トラフィックはかなり増えるだろう。他社がやるとすれば大変だが、ボーダフォンが残してくれたインフラにはまだ余裕がある。今はお客さんを増やすことが第一だ」

――新料金プランへは何割くらいの加入があると見ているか? 何人くらいの加入を見込んでいるか?

孫氏「我々に加入する人の8割くらいではないか。9割かもしれない。多くのお客さんにとってメリットのある話だから(多くの人の加入があると見ている)。ただ、やってみないとどうなるかは分からない。3000通りくらいさまざまなケースについてシミュレーションしているが、ここで数字を出すのは適切ではないだろう」

――なぜMNPの始まる24日ではなく、26日からスタートするのか。

孫氏「本件は、販売店にも営業にも言っておらず、ごく一部の役員と関係者しか知らなかった。今、同じ時間に“決起大会”という形で並行して販売店への説明をしている。従業員の教育や、ポップやチラシなど店舗の準備を進めるにも、2日くらいは必要だろう。テレビ局へコマーシャルフィルムを納めたのも今。明日、明後日は準備期間だと思ってほしい」

――キャンペーン期間が終わったらどうなってしまうのか。

ソフトバンク「一度入るとずっと適用される破格(な料金体系、割引)なので、ちゃんと財務的にまわるかどうか、1月15日までに確認する必要があるだろう。そういう意味でキャンペーン期間を設定している。キャンペーン期間後については今はなんとも申し上げられない」

――ソフトバンクユーザーはゴールドプラン、auユーザーはオレンジプラン、ドコモユーザーはブループランしか申し込めないのか?

ソフトバンク「どのキャリアの携帯を使っていたユーザーでも、どのプランにも申し込める。ソフトバンクユーザーがブループランやオレンジプランに申し込んでもいいし、他社からソフトバンクに来たユーザーがゴールドプランに申し込むこともできる。

 例えばオレンジプランは、某社の料金プランを元に、そこより安く設定した料金プランということであり、auユーザーしか申し込めないということではない。

 申し込みの際には請求書などで、契約年数を確認し、それに応じたプランを引き継げる。契約年数とは、その電話番号、あるいはそのキャリアとの契約年数になる。サービスの契約期間ではない」

――スーパーボーナスを契約したことにより、長期割引が消えてしまったユーザーはどうなるのか。

ソフトバンク「ゴールド/オレンジ/ブループランへプラン変更することにより、その番号を契約した年がカウントされることになる」

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