「資金難でワークアウト」――Pantechのその後韓国携帯事情

» 2007年02月06日 23時58分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 2006年末、資金難からワークアウト(銀行主導による企業再建プログラム)が適用され、世間を驚かせた韓Pantech。その後も相変わらず難しい状態が続いている。しかしこのままではいられないPantechは、再生のための努力を行い、その結果も少しずつ現れているところだ。Pantechの“その後”をお伝えしよう。

中国からの撤退はなし

 2006年12月16日、Pantechの債券銀行はワークアウトの開始を決定した(2006年12月の記事参照)。これによりPantechは、銀行への債券返済猶予を3カ月間受けることとなった。債券銀行はPantechの会計法人の調査を行った後、経営改善約定を締結し、構造調整に乗り出している。

 Pantechのワークアウトが伝えられて以来、韓国内のみならず世界でもさまざまな報道や噂が飛び交っていたようだ。そのうちの1つに、中国市場からの撤退説があった。これは中国の一部報道機関から伝えられたもので、それが韓国でもまことしやかに報道されてしまったのだ。

 これに対しPantechは「今後は3G中心のビジネスに中心を置いていく予定であり、中国においては流通網確保のために投資費用が増えた一方、2G関連の製品や人員を縮小したことが拡大解釈された」と否定している。

 Pantechは、中国の大連に工場を置いている。ワークアウト後もここを生産拠点として活用し、原価競争力を維持すると同時に、海外市場で徹底した収益性の確保を行っていく意向だ。

 同時に「キャリア主導の市場である北米・中南米・日本の3大エリアを中心に、“選択と集中”戦略を展開している」とも述べている。GSM市場のような端末ありきの市場ではなく、キャリア中心の市場に集中して流通網を確保することで、確実な収益源を確保したい考えのようだ。

“Curitel”新製品が消える

 Pantechといえば、韓国内では「Pantech & Curitel」というブランド名で知られている。しかしこのブランドの新製品は韓国市場で大幅に数を減らすこととなりそうだ。

 Pantechは今後、「SKY」ブランドの端末にすることで、これまで通り20%程度の市場占有率を維持していく意向だ。一方で、「Pantech & Curitel」の端末は、これまでの端末から競争力を持つモデルのみに限って生産していく。

 普及価格帯のPantech & Curitelブランドより、やや高価でもブランド力の高いSKYに集中することで、効率的に高い収益を上げる考えだ。販売目標は2006年とあまり変わらない330万〜340万台で、やや守りの体制にも見えるが、再建中という状況が状況だけに仕方がないともいえる。

キャリアとの3G端末契約

 前出の通りPantechは、キャリア中心市場に集中すると発表しているが、足もとの韓国でもキャリアとの結びつきを強めることで生き残りをかける。

 同社は1月、韓SK Telecom(以下、SKT)、韓KTF、韓LG Telecom(以下、LGT)の3社と、3G端末の供給に関する契約を結んだ。SKTおよびKTFに対して供給するモデルには、HSDPA携帯も含まれている。とくにKTF向けには、HSDPA端末5モデルを含む、計8機種を供給することが明らかとなった。

 またLGTに対しては、DMB機能を搭載した「CanU」シリーズの端末が投入される予定だ。CanUシリーズといえば、カシオ計算機など日本製品を韓国市場に投入している個性派端末シリーズ(2006年2月の記事参照)で、どのような端末が販売されるのか今から楽しみだ。

 Pantechが最重要視しているのが、端末の流通網だ。Pantechの社員は月1〜2回のペースで、終業後や週末に首都圏にある約500のSKY販売代理店を訪問し、現場の反応や問題点などをチェックしている。流通や販売の現場を目にすることで、さまざまな不安要因を解消していこうという試みだ。Pantechによると当初このプログラムは、CS(CUSTOMER SATISFACTION)本部の社員を対象にしていたが、効果が現れているため、ほかの部署の社員も自発的に参加するようになったという。

 キャリアとの結びつきを強めることで流通網を確保し、将来性のある市場への「選択と集中」戦略で再生に挑むPantech。この戦略により、かつてのような元気な姿を取り戻せるのだろうか。日本に端末を供給しているメーカーとしても注目していきたいところだ。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。


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