多彩なメディアを活用する機能を集約──アクオスケータイ「W51SH」開発の舞台裏(1/2 ページ)

» 2007年03月15日 10時30分 公開
[園部修,ITmedia]
Photo シャープの通信システム事業本部パーソナル通信第四事業部 商品企画部の小林繁氏

 ソフトバンクモバイルの「905SH」と「911SH」、ドコモの「SH903iTV」に続いて、au向けにもシャープ製のアクオスケータイ「W51SH」が投入された(3月9日の記事参照)。いずれの端末もシャープ製ワンセグ端末に共通のサイクロイドスタイルを採用し、画質や音質、デザインなどに“アクオス”のDNAを継承しつつ、ソフトバンクモバイル向けにはソフトバンクモバイル向けの、ドコモ向けにはドコモ向けの、そしてau向けにはau向けの特徴を備えている。

 アクオスケータイとしては4機種目の投入となったW51SHは、どのようなこだわりを持って開発され、どのような特徴があるのか。シャープ 通信システム事業本部パーソナル通信第四事業部 商品企画部の小林繁氏に話を聞いた。

auならではの多彩なメディアをスタイリッシュに活用

 W51SHは、au向けのアクオスケータイということで、端末のコンセプトを考えるにあたり「EZテレビ、デジタルラジオ、EZチャンネルプラス、LISMOビデオクリップなど、ビジュアル系のコンテンツを始めとする“メディア”に強いauの特徴を意識した」(小林氏)という。この特徴を、モバイルASV液晶やサイクロイドスタイル、テレビ向けの絵作りのノウハウなど、アクオスブランドに代表されるシャープならではのデバイスの特徴と組み合わせることで、高い相乗効果を狙った。

PhotoPhoto ボディカラーは左からスターリーシルバー、オーシャンブルー、オーロラピンク。ヒンジ部に配した曲線がアクセントとなっている

 「W51SHのコンセプトは“スタイリッシュメディアケータイ”です。大きな3インチワイドディスプレイで各種メディアをスタイリッシュに楽しんでいただけることを目指しました」(小林氏)

 W51SHのスタイリッシュなデザインを象徴するのが、ヒンジ部にアクセントとして設けられた曲線だ。サイクロイド機構を採用した端末は、構造上どうしてもヒンジ部分がディスプレイの上に重なる。そこでこの部分を逆手に取り、より特徴的に見せるデザインを施した。

 「auは、若くて元気があるというイメージのキャリア。端末のラインアップを見ていても、デザインからそういった印象を受けるものが多いように感じました。W51SHでは、ヒンジ部にアシンメトリック(非対称)カーブを採用して、あえてスクエアではなく対称感もない、いい意味で外した感がある、元気のある印象を演出しています」(小林氏)

 一方ディスプレイの周りには、アクオスの名にふさわしく、映像のじゃまをしない、静かなデザインを採用している。「アクオスのデザインは、リビングなどにあっても決して主張をしすぎず、じゃまにならない静かな佇まいが特徴です。ですから、ディスプレイ周りの枠の部分は黒とし、ユーザーから見てノイズにならないように注意しました。アクオスのロゴはテレビと同様に、ディスプレイを横にしたときの左肩に配置し、シャープのロゴも横画面の中央になるように入れてあります」(小林氏)

 閉じた状態では元気な印象だが、開くと静かな佇まい。動きを感じさせるアシンメトリックな外観と、威厳のある静かな雰囲気の組み合わせで、動と静の対比を演出している。

 オーシャンブルー、スターリーシルバー、オーロラピンクというボディカラーは、いずれも男女を問わず持てる色合いに仕上がっている。ディスプレイの裏側には、オーシャンブルーは波形のパターン、スターリーシルバーとオーロラピンクはクロスラインが入っているのも特徴だ。オーシャンブルーの模様は籐かごやデニム生地のようにも見える。

 ターゲットユーザーは、積極的にauのメディアサービスを利用する“メディアアクティブ”なユーザーということで、20代から30代の男女と幅広い。そのため全体的なデザインは「若すぎず、かといって落ち着きすぎずというバランスを保ちました」と小林氏は話す。またせっかく3インチの液晶を搭載しても、ボディの幅が広くなってしまっては意味がないため、横幅の50ミリは死守したという。

予約録画を実現するために、専用アプリを開発

 注目のワンセグ機能には、アクオスケータイならではのこだわりが随所に見られる。3インチのモバイルASV液晶を採用したサイクロイドスタイルという点や、液晶テレビで培った絵作りのノウハウを生かしている点は、他キャリア向けのアクオスケータイと共通だが、au向けのW51SHならではのポイントもある。特筆すべきは、予約録画を実行するための専用アプリを用意した点だ。

 テレビにはリアルタイムで放送されている番組を視聴する楽しみに加えて、録画しておいた番組を好きなときに視聴する楽しみがある。それはワンセグでも同様で、ワンセグ対応端末に予約録画機能を求めるユーザーは多い。現状では、予約録画には対応していないワンセグ対応端末もある中、W51SHは当然のように予約録画機能を搭載している。

 「ワンセグの予約録画機能は、開発段階から必須だと考えていました」(小林氏)

 ただ、au端末でワンセグの視聴/録画をつかさどる「au Media Tuner」には、視聴中の番組を録画する機能はあるが、予約録画機能はない。そこで、シャープは“予約録画専用のワンセグアプリ”を開発してW51SHに搭載した。

 特にこだわったのが、「予約録画中にメールの受信や電話の着信を受けられるようにした部分」だと小林氏は話す。「せっかく予約録画機能を搭載しているので、ユーザーの方にはその機能を活用して電子番組表を見ながらどんどん録画予約をしてほしい。しかし、そうはいっても携帯電話なので、予約録画中に電話やメールが受けられないのでは意味がありません」(小林氏)

PhotoPhotoPhoto 予約録画機能を実現するため、専用のBREWアプリを開発した。録画中のテレビ画面は表示されないが、このアプリで録画している間は音声通話の発着信やメールの送受信など、多くの機能が利用できる

 こういった“ながら機能”を用意するのは、シャープのアクオスケータイでは珍しいことではない。しかし、マルチタスクに対応したシステムでもなかなか大変な“ながら機能”を、マルチタスクに対応していないau端末で実現するためには、幾多ものハードルがあったという。

 「負荷をうまく配分しないと、録画中の映像にコマ落ちが発生する可能性があります。どういうふうに、何を制限するかといった調整が大変でした。この部分のチューニングは、本当に最後の最後まで困難を極めました」(小林氏)

 結果的にW51SHでは、予約録画アプリを実行している間に、メールや電話を受けるのはもちろん、電話をかけたり、アドレス帳を見たり、発着信履歴を見たりといった一通りの操作が可能になった。待受画面に戻ったり、メインメニューを起動することはできないものの、Task barを呼び出して、マナーモードと切り替えたりもできる。

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