P903iTVが目指した「“VIERA”クオリティ」開発チームに聞く「P903iTV」(2/3 ページ)

» 2007年04月05日 18時40分 公開
[太田百合子,ITmedia]

“合成ダイバーシティ”の性能を引きだすL字型受信スタイル

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 P903iTVのワンセグ機能は、通常のホイップ式とディスプレイや本体内の基板に沿うように配した内蔵アンテナの2つを搭載し、その2つのアンテナそれぞれで受信した信号を合成する「合成ダイバーシティ対応チューナー」を採用する点が大きな特徴だ。合成ダイバーシティは複数系統(P903iTVは2系統)の受信信号を合成し、受信レベルの揺れを少なくする技術である。

 ワンセグが「意外と受信できないな」と思ったことはないだろうか。ワンセグ放送はある程度受信レベルが低くてもアナログ放送より快適に視聴できるメリットがあるが、そのレベルが一定以下まで落ちるとパッと映らなくなる。例えば室内でちょっと移動した時、トンネルに入った時、屋根があるホームにいる時など。移動できることが大きなメリットの携帯電話に備わる機能であるため、例えば東京都内の東京タワー付近であっても場所によって電波の強弱に幅が出る。そのため受信性能の高さは、“テレビ”を快適に視聴できることへ直結する。

 「前機種のP901iTVと比べて2割ほども受信感度がよくなりました。例えば弊社のオフィスがある場所(横浜市都筑区)はワンセグの受信環境があまりよくないところです。しかし、P901iTVではほぼ受信できなかった場所も、P903iTVでは普通に受信できる……素直に苦労が報われた、分かりやすい事例でした」(井端氏)

 また、ホイップアンテナとは別にもう1つアンテナを内蔵することは、場合により、いちいちホイップアンテナを伸ばさずに済むという別のメリットもある。3G携帯になってなくなった通話用のホイップアンテナだが、ワンセグの搭載により、今度はワンセグ用として携帯に復活することになった。「録画予約をした場合など、その時間に合わせてアンテナを立てなくてもよい」など、受信感度がいいだけでなく、さりげなくワンセグを楽しめるのも、このダブルアンテナならではの利点といえる。


photo 最も効率よく受信できるのが、ホイップアンテナを右に、ディスプレイを左90度に倒したこのスタイルだという

 なお回転2軸ボディを採用するP903iTVは、液晶ディスプレイを90度傾けたL字スタイルのほか、通常の縦向きスタイル、そしてディスプレイを裏返して折りたたむスタイルなど、さまざまな形でワンセグが視聴できるのも特徴の1つだ。では、どのスタイルが最も効率よく受信できるのだろうか。

 「このうち最も受信感度がよくなるのは、ホイップアンテナを右に、ディスプレイを左90度に傾けた逆L字型の状態です。合成ダイバーシティの効果が最も得られるよう、ホイップアンテナと内蔵アンテナを配したディスプレイ部をできるだけ離すのがコツです」(山口氏)

 ちなみにこの回転2軸ボディは前機種のP901iTVから継承されたものだが、P903iTVは、P901iTVには備わっていたディスプレイを160〜170度付近でいったん固定する機構(一般的な折りたたみ型携帯のディスプレイが開く角度)が省略され、一気に180度まで開いてしまう。

 これは「ディスプレイを170度付近で留めたたままスピーカーを耳に当てると、“カクッ”とディスプレイがさらに開いてしまう現象が不評だったため」(山口氏)の施策のようだ。そのかわりにヒンジの回転トルクを上げ、ディスプレイをある程度自由な角度で保持できるようにした。ちなみに、P901iTVにはやや“遊び”があった180度の保持具合も改善され、カチッと水平となるようになっている。


photophoto ディスプレイの角度がどの位置であっても表示するよう改善。縦向き、横向き、机上スタイルなど、さまざまな設置スタイルで自由に視聴できる(左)。P901iTVのディスプレイを途中でいったん固定する機構は省略されたものの、ヒンジのトルクを強めにし、ある程度自由な角度で止めて操作できる(右)。

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