携帯キャリアが口にしない“不都合な真実”とは――ウィルコム近義起副社長WILLCOM FORUM & EXPO 2007(2/2 ページ)

» 2007年04月13日 21時23分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
前のページへ 1|2       
photophoto PHS高度化のポイントは「マクロセル化」「モビリティ向上」「コスト低減」「高速化」の4点(左)。音声をハーフレート化し、チャンネル数を倍増させることも(右)

 まず、携帯基地局並みのセル範囲となるマクロセル化の推進だ。すでにルーラルエリアではマクロセルが用いられており、なるべく高い場所に基地局を置くなど工夫しているという。同時にリンクバジェットも改善されるため、時速120キロメートルでも安定して接続できるなど、モビリティも向上する。

 PHSの基地局は、ソフトウェアアップデートで機能を拡張できる仕様だったため、かなり低コストで運用できたという。さらにチャンネルあたりのコストを下げるため、音声通話のハーフレート化も行う予定だ。チャンネルが2倍になることで、データ通信容量がさらに増える。なお、PHSの仕様上はクォーターレートまで可能で、ハーフレートでも携帯より高音質とのことだ。

 そして、バックボーンをIP化することで、高速化とコスト低減を同時に行う。トラフィックの8割はすでにIP化しているが、基地局とバックボーンをつなぐ回線はいまだISDNのまま。これは基地局を取り替えていくことでIP化するが、バックボーンには影響しないため、“一足お先にNGN化”することも可能だという。また、IPベースのナノセルも導入済みで、構内での大容量トラフィックに対応している。

 IP化した通信サービスについて近氏は、「IP化の特徴は、市場が水平分業になること。これまでの携帯事業は垂直統合だったが、IP化でオープンになるだろう。これが既存事業者にどのような影響を与えるかは分からない。しかし、“いずれそういう時代”が来るのであれば、いち早くそこに飛び込むのも一つの生き方」と述べた。

次世代PHSも回線容量で勝負

photo 示された次世代PHSへのロードマップ。2009年には開始する予定となっている

 3.5G並みに高度化される予定のPHSだが、その先に控えているのが次世代PHS構想だ。近氏は、2009年には通信速度が20Mbps台になるというロードマップを示した。この次世代PHSにおいても、ウィルコムは回線容量の大きさをコンセプトに掲げる。

 近氏は“不都合な真実”として、通信速度とトラフィックの関連性を説明した。固定ブロードバンドの月間トラフィックは平均10Gバイトで、ウィルコムの408kbps接続サービスではだいたい1Gバイト。通信速度に比例してトラフィックも増えていくが、携帯電話に関しては10Mバイトから多くて100Mバイトにとどまる。

 「携帯キャリアの方は口にしないが、携帯電話でモバイルブロードバンドを実現しようとすると、今の100倍から1000倍の回線容量が必要になる。果たして、現在と同じ料金水準でこれを実現できるのか」(近氏)と、各キャリアの容量不足を指摘した。

photophotophoto 通信速度が増えればトラフィックは倍増する(左)。3.5Gまでのサービスは広いエリアで高速な接続ができるが、その先はエリアとスピードのトレードオフが顕著になる(中央)。「回線容量」という座標を加えれば、ウィルコムのPHSサービスが圧倒的に(右)

 また、全国エリアで高速に使えるのは3.5Gまでで、それ以降の4GサービスやWiMAXでは、“速度は速いがエリアが狭い”“どこでも使えるが、速くはない”と、データ速度とモビリティがトレードオフになる。近氏は、これは技術的な限界であるとし、さらに回線容量という指標が考慮されていないという。

 近氏は次世代PHSについて、「容量に関しては現在でもPHSが携帯電話を上回る。高速化した次世代PHSでも、緻密なマイクロセルネットワークによるモビリティと容量の大きさといったアドバンテージは変わらない。まだ周波数が割り当てられていない段階だが、“ついに我々の時代がきた”と勝手に思っている」と、その優位性に胸を張った。

photophotophoto 「ナノセル」と呼ばれる構内基地局(左)。通常の基地局(中央)と屋外アンテナ(右)
photo 展示ホールで行われた次世代PHSのデモンストレーション
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月19日 更新
  1. 「ナビダイヤル」の改善を 「dカード」を無理やり契約させているのか――NTT定時株主総会で出たドコモ関連の主要質問まとめ (2026年06月18日)
  2. なぜ? カーナビが「NHK受信料」対象になるワケ 課金されるケースと徴収を免れる方法 (2025年04月15日)
  3. Gemini搭載の新「Google Home スピーカー」が1万6800円で登場 会話の推論能力やレスポンスが向上 (2026年06月17日)
  4. ドコモ、「d払い特典」の還元上限を「一律200ポイント」に変更 ランクによっては改悪 (2026年06月16日)
  5. 岐路に立つシャープのスマホ戦略 AQUOS proモデルは「白紙」、wish新機種は「プランニング中」 (2026年06月17日)
  6. DAZNサッカープラン「返金・解約」手続き発表 「画面に書けばOK」はもう通じず――炎上背景と教訓を徹底分析 (2026年06月18日)
  7. 現在povoに未対応の5G SA、早期導入を検討――新社長が語る通信品質への覚悟 (2026年06月18日)
  8. お風呂でのスマホ使用、防水性能があっても危険な理由と「どうしても持ち込みたい」ときの正しい対策 (2026年06月19日)
  9. NHK受信料の未収数、6年ぶりに削減 その裏で強まる反発 (2026年06月16日)
  10. 楽天モバイルの通信品質を意識? KDDIのpovoは「通信不安の声を拾う」戦略 “意味深”なメッセージの意味 (2026年06月18日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー