この“反撃”の大きな1手を担うのが、新たに開始する「2in1」(ツーインワン)というサービスだ。「電話機のみに搭載する機能ならばそれほど困難ではないが、ネットワークと組み合わせたサービスはなかなか容易ではない。他社にはそう簡単にはできないと思う」(夏野氏)と自信を見せる、1台の携帯で2台分の機能を使い分けられる機能だ。2つの電話番号、メールアドレス、発着信履歴、アドレス帳、待受画面などをAモード(Aナンバー・Aアドレス)とBモード(Bナンバー・Bアドレス)で切り替えながら、あるいは双方を混在(デュアルモード)しながら使用できる。
若年層などには固定電話を持たず、携帯1つでまかなうユーザーは多く、例えば何かの予約時や登録時など、自分の電話番号を記したり、知らせなければならないシチュエーションも多岐にわたる。とくに宅配便などは自分の電話番号がずっと伝票に示され、それがさらされるという現状もあり、女性層を中心に「自分の主番号を出すのは抵抗がある」というユーザーも多いという。
2in1は月額945円(税込み)という安価な料金設定で、1台の端末でもう1契約分の電話番号とメールアドレスを得られるユーザーメリットがある。同社としても、その追加分も1契約として換算する仕組みにすることにより、さらなる契約数の増加を図れるわけである。
903iシリーズで大きく仕様を拡大させたiアプリ「メガゲーム」も進化。モーションセンサーによる、家庭用ゲーム機のように端末を振って操作できる「直感ゲーム」という新たな携帯ゲームアプリ展開にも取り組む。
KDDIに先行された「携帯で音楽」というイメージも、新サービス「うた・ホーダイ」による“定額制”で巻き返したい考え。うた・ホーダイサービスの1つという位置付けの「Napster」サービス(月額1980円)のほか、提供コンテンツプロバイダにより数百円の定額プランも用意される予定。このサービスは、すでに提供中のパケット定額プラン「パケ・ホーダイ」の加入促進も促し、パケ・ホーダイ非加入者のARPUを増加できるメリットが想定できる。
あわせて、auの「LISMO VIDEO CLIP」に対抗し、iモーション容量を10Mバイトまで拡大した「ビデオクリップ」対応機種を904iシリーズ全機種に拡大。アーティストの音楽ビデオや、予告編などを中心とする映画コンテンツなどを提供する予定だ。音楽・映画コンテンツなどを望む多数のユーザーへ強く訴求できるほか、映画予告編の動画を見て鑑賞チケットを購入、あるいはDVD購買ページへアクセスさせることにより、“その後”の消費行動も促す仕掛けを盛り込む。
“ドコモ2.0”の展開にあわせて、広告展開も大幅に変更する予定。“月9ドラマ主演クラス”のタレントをキャラクターに用い、大々的に行っていくという。
今回同社が、あえて“反撃”という言葉を用いたのは「今回、ドコモはある種、本当にはじけると思ってもらってよい」(夏野氏)という心意気から来たという。
「ネットワークと端末。これらをうまくシンクロさせるのは、なかなかそう簡単にはいかないと思う。今までより自信がある」──5月から早速登場する904iシリーズと新サービス。月間純増数シェアトップのKDDIにどれだけ打撃を与えるか、国内シェアトップキャリアの意地をどれだけ見せるか。2007年の夏商戦も、キャリア同士の争いは相変わらず激しく続きそうだ。
3.1インチワンセグ、3インチWVGA+HSDPA、タッチパッド、体感ゲーム、スリム&小型──ドコモ夏モデル発表
今度の“D”は“振って操作、傾けて横表示”──大画面スライド「D904i」
各色で異なる処理のアルミ背面パネル、タッチパッド、3インチワイド液晶──「SH904i」
3.1インチの大画面、ワンセグ対応のヨコモーション──「F904i」
スリム&コンパクトに進化した“P”の新カスジャケスタイル──「P904i」
3インチワイドVGA液晶とHSDPAのデザインコラボ端末――「N904i」
903iで「攻めるドコモになる」――夏野氏
ドコモ2007年春モデル:2画面、香り、防水、ワンセグ、極薄など10機種――ドコモ春モデル発表
ドコモ2006年冬モデル:GPS、3Gローミング、WMA、ワンセグ、HSDPA──ドコモの冬モデル14機種Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.