“スモール イズ ビューティフル”が実現するピクセルブラウザの新機能

» 2007年04月25日 22時50分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo ピクセル・テクノロジーズ チーフサイエンティスト 兼 共同設立者 マジッド・アンワー博士

 ピクセル・テクノロジーズが4月25日に行った携帯向け次世代ブラウザの発表会(4月25日の記事参照)では、同社概要や市場戦略のほかに、同社チーフサイエンティスト 兼 共同設立者のマジッド・アンワー氏から、今後の携帯向けブラウザ開発のロードマップが示された。

 アンワー氏は冒頭、NTTドコモのNEC製端末「N904i」に搭載された同社のフルブラウザについて、「ソフトキーボードやツールバーなどのダイナミックなユーザーインタフェースや、PC向けサイトを高速に表示するWebエンジン、超高速なズームとスクロールを可能にする強力なレンダリング性能など、非常に先進的だ」と解説。次期ピクセルブラウザには、現在開発中のさらに進んだ技術が搭載されると述べた。

 その一つとして紹介されたのが、履歴を“見える化”する「Visual History」。既存ブラウザの履歴はURLやタイトルのみを記録するが、Visual HistoryではWebキャッシュのようにWebページをサムネイルとして保存する。ただイメージとして残すだけでなく、アクセスした時刻をデスクトップの空模様で表現する「ドラマインタフェース」や、サムネイルを重ねて表示し自在に行き来できる「タイムマシンインタフェース」、はね回るボールでページの内容とその数を表現する「ボールインタフェース」など、よりグラフィカルなインタフェースにできるという。

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photophoto Visual Historyとして紹介された、3つのグラフィカルな履歴

 また、携帯端末向けビデオソリューションのデモも行われた。同社のオリジナルコーデックを用いており、ダウンロード配信はもちろんストリーミング配信にも対応する。長い映像作品も数分おきにチャプターとして分割でき、それらをDVDのメニュー画面のように表示することもできるという。さまざまな見せ方が可能で、複数のコンテンツを素早く選択でき、早送り/巻き戻しなどの操作も軽快に行える。

photophotophoto ピクセル・テクノロジーズの携帯向けビデオソリューション。DVDのメニュー画面のようなインタフェースを持つ

 アンワー氏は、「ネットを巡る変化は非常に速く、携帯端末でPC向けWebサイトを見るだけでなく、SNSなどのCGMや動画コンテンツの利用も今後増えるだろう」とコメント。市場やユーザーニーズの進歩に合わせてピクセル・テクノロジーズも進化していくが、ソフトウェア側の開発で新機能を実現するため、特別なハードウェアやネットワークは不要だと付け加えた。

photophotophoto Webサイトをより自在に拡大縮小できるスマートズーム。どんな大きさでもフォントは滑らか

 発表後には報道陣から、限られた画面サイズのモバイル環境に複数のUIを提供することの意義や、必要とするハードウェアスペックについての質問が出された。

 同社は、PCと違いさまざまなシチュエーションで使われるモバイル用のブラウザには、ニーズに合わせたUIが必要と回答し、「将来的には環境に応じて自動的に端末のUIを変化させることも考えられる」と述べた。

 新機能のために必要なスペックについては、「我々が掲げる開発コンセプトは“スモール イズ ビューティフル”。製品はシンプルにパッケージ化されており、ドキュメントビューワやフルブラウザが動く端末であれば利用できる。プラットフォームが違っても容易に移植できるため、幅広い機種に対応できる」(アンワー氏)と述べた。また同氏は消費電力についても、「ビデオ再生時のCPU使用率は10〜15%程度。電力消費量も通話時より少ない。コードの最適化によって、ブラウザ利用時のバッテリー消費量をさらに下げることができるだろう」と明かした。

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