“音楽だけじゃない”それが進化の証――「ウォークマンケータイ W52S」開発陣に聞く「W52S」(1/3 ページ)

» 2007年06月27日 18時14分 公開
[房野麻子(聞き手:平賀洋一),ITmedia]

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の“ウォークマンケータイ”「W52S」は、2006年に登場した初代ウォークマンケータイの「W42S」からさらに音楽機能を充実させたモデルだ。音楽機能に加え、2.7インチの大画面ディスプレイや2メガピクセルのAF付きカメラを搭載するなど、今どきの携帯電話として十分な機能を盛り込み、ミュージックキーのイルミネーションやスライド構造など、ソニー・エリクソンならではのこだわりも忘れていない。本編ではウォークマン編に続き、携帯電話としての使い勝手やスライドデザインへのこだわりについて、開発陣に聞いた。

photo 「W52S」開発陣。左からプロダクトマネジャー 鈴木氏、機構設計担当 矢部氏、商品企画担当 山下氏、ソフトウェア開発(音楽プレーヤー担当)安部氏、ソフトウェア開発(プロジェクトリーダー)吉田氏、ソフトウェア開発(UI担当)大野氏

携帯電話としての側面も強化

photo プロダクトマネジャーの鈴木氏

 初代ウォークマンケータイのW42Sは、音楽機能は充実していたものの、携帯電話としての機能についてはユーザーからのリクエストが多かったと商品企画担当の山下氏は振り返る。ディスプレイが小さいこと、FeliCaチップが搭載されていないこと、カメラ機能が物足りないことなど、音楽以外の部分での改善を求める声が多く、それが基本機能を見直すきっかけになったという。

 W52Sを開発するにあたり開発陣は、「長時間再生」「大容量メモリ」「高音質」という音楽の3要素を柱にするとともに、携帯電話としての基本機能を充実させることにも力を注いだ。

 「W42Sは音楽に偏ってしまった感がありました。そのためか液晶の大きさ、FeliCa、カメラ性能といった携帯電話のベーシックな部分もしっかりしてほしいという要望が寄せられたのです。そこで今回は、音楽以外の部分にも細かく配慮して取り組んでいます。W42Sのときに学んだのは、“音楽メインだから、ウォークマンケータイだから音楽だけでいいっていうものじゃない”ということ」(山下氏)

photo 商品企画担当の山下氏

 W42Sの前モデルにあたる「W31S」は、“ウォークマン”の名前こそ付いていないが、音楽機能を重視したスライドタイプの端末としてリリースされた。2メガピクセルのAF付きカメラを内蔵し、当時としては大きな2.4インチディスプレイを搭載するなど先進的な仕上がりで、ユーザーはW42Sがその後継機であるにもかかわらず、カメラがスペックダウンし、液晶も2.2インチにサイズダウンしたことに不満を感じたようだ。

 「W42Sはコンパクトに仕上げることに重点を置いたので、W31Sと比較するとスペックダウンしてしまった。実際に使っていただくお客さんは、そういうとことをシビアに見ていますので、W52Sではレベルを上げなければならないと思いました」(鈴木氏)

 W42Sのフィードバックを受け、W52Sでは液晶は2.7インチのワイドQVGA、カメラは2メガピクセルのAF付きへと進化。FeliCaチップも搭載し、auの「Touch Message」などの新サービスにも対応した。最新の携帯電話として不足のない内容になっている。

ユーザーインタフェースも使いやすく

photo ソフトウェア開発(プロジェクトリーダー)の吉田氏

 カタログスペックを上げるだけでなく、ユーザーインタフェースも細かい改善が図られた。

 例えば、5種類のビジュアライザが用意されるミュージックプレーヤーには、通常の「au Music Player」との切り替え方法をガイド表示するようになった。この切り替えはプレーヤーとビジュアライザの間でシームレスに行われ、ユーザーは操作を迷うことなくどちらも使えるようになっている。

 「W42Sのときには、au Music Playerとビジュアライザの入り口がまったく別で、プレーヤーからビジュアライザの画面へ切り替えができず完全に分かれた状態でした。W52Sのビジュアライザは、au Music Playerの画面の1つという位置付けで実装しています」(大野氏)

photo ソフトウェア開発(UI担当)の大野氏

 ビジュアライザとau Music Playerの切り替えは実に簡単だ。メニューからプレーヤーを起動した場合、au Music Player画面とビジュアライザ画面の切り替えは[アドレス帳]キーを押すことで行える。ビジュアライザは全部で5種類あり、[EZ]キーでデザインが切り替わり、クリアキーを押せば、au Music Player画面へ戻れる。

 またW42Sでは、ミュージックシャトルを使ったプレイヤーの起動は、待受画面でしか行えなかったが、W52SではメールやWebを利用中でも、ミュージックキーの長押しでプレーヤーを起動できるようになった。

 さまざまな場面で操作できるようになった機能には、キーロックもある。W42Sでは待受画面でしかキーロックが働かなかったのを、W52Sではほとんどの画面でキーロックをかけられるように変更した。例えば、メールを書いている最中にキーロックをかけてカバンの中に入れ、後で再び書き続けることができる。また、スライド動作と連携して、“閉じたらキーロック、開けたらロック一時解除”という設定も可能だ。

photo ソフトウェア開発(音楽プレーヤー担当)安部氏

 「どこでもキーロックができるように、内部の作りを変えました。いろいろな割り込み処理ができるように、だいぶ手を入れています」(吉田氏)

 「ウォークマンとはいっても携帯電話ですから、携帯電話としての機能は損なわないようにする。その辺のバランスが難しかったですね」(山下氏)

 2Gバイトの内蔵メモリも、W42Sへの改善要望を受けて進化した部分だ。W52Sでは着うたフルに加え、ATRACも内蔵メモリに保存できる仕様になった。W42Sでは、PCから端末に装着したメモリースティックDuoにしか転送できなかったが、W52Sでは内蔵メモリの512MバイトをATRACの保存に使える。また、音楽以外のコンテンツも保存できるようになった。

 「W42Sが持つ1Gバイトの内蔵メモリは着うたフルとLISMO専用でした。でも、それ以外のコンテンツも保存したいというユーザーもいるでしょう。誰にとっても“使える”ようにするためには、音楽だけというのは改善すべきだろうということで、どちらも保存できるようにしました。保存可能なデータ件数も5000件に増やしているので、細かいデータを入れてもらっても大丈夫です」(安部氏)

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