ワイヤレスジャパン2007のKDDIブースでは、2007年夏モデルや新サービスの展示だけでなく、周囲の電波状況に合わせて複数の無線通信を自動で切り替えるコグニティブ無線通信や、インターネット上の動画をデジタル放送に乗せる「IP over デジタル放送」などの最新技術を出展。また、ビジネスケータイを利用する法人向けソリューションの「OFFICE FREEDOM」や「ケータイdeコードレスセット」、WINに対応する通信モジュールを組み込んだノートPCの展示も行っていた。
レノボ・ジャパンとKDDIが発売したThinkPad X61(76755BJ)/X61s(766894J)は、京セラ製の通信モジュール「KCMP」を右側のパームレスト下に内蔵したノートPC。アンテナ線はモジュールから本体左側面を通り、液晶の背面を横断するように伸びてディスプレイ右側面にあるロッドアンテナにつながっている。ちょっと気になる外部アンテナだが、その有無で予想以上に感度に差が出たことから、あえて搭載しているとのこと。
KDDIのWINエリアであれば下り最大2.4Mbps、上り最大144kbpsでの通信が可能だ。説明員によると、Lenovoは海外において3G通信モジュール内蔵するモデルをリリースしており、日本への導入も計画していたという。キャリアとしてKDDIが選ばれたのは、モジュール技術が進んでいる点と、全国で下り最大2.4Mbpsの高速通信が行えるネットワークを評価されたとのこと。料金プランは従量制のPacketWINシングルサービスになるため、来場者のほとんどが料金体系を残念がるという。
データ通信向けの定額料金プランについては「我々(KDDI)としては、WIN通信モジュール内蔵のPCを出して終わりとは思っていない。この製品を活用するためのサービスやソリューションも用意して初めて完成するプロジェクトと認識している」(説明員)と、その登場をうかがわせるコメントもあった。しかし、PC向けデータ通信の負荷をどのように予測するかが課題という解説だった。
IP over デジタル放送は、ネット上の動画をデジタル放送波にIPパケットとして乗せる技術。コンテンツを放送フォーマットに変換する必要がないため、さまざまなコンテンツを効率的に有効利用できるという。また、受信端末に合わせてコンテンツの内容を変えることができのも特徴で、同じ番組であってもプロファイルごとに異なるCMを流すことも可能だ。
まだ研究中の段階で、どのような形で実現するかは未定だという。だが、「仮に実現した場合、その利用イメージはデジタルラジオに近くなるのでは」(説明員)という説明があった。ワンセグ放送は映像とデータ放送を同時に受信できるが、デジタルラジオは音声とデータ放送に加え、簡易動画やダウンロードコンテンツを送信できる。技術的には異なるが、放送だけでなく同時にパケット受信をする点は似ているという解説だ。
カーナビとビジネスケータイを組み合わせた業務支援システムの提案も行われていた。ビジネスケータイが受信した業務情報を、カーナビにBluetooth送信するもので、営業車による移動中でもスムーズに連絡や支持が行える。展示で想定していたのは点検・保守などの外回り業務に採用したケース。サポートセンターから、クライアントの場所やトラブルの症状を端末に送信すると、ビジネスケータイからカーナビへ情報を送信し画面に表示する。運転中に携帯電話を触ることはできないが、カーナビに第一報が表示されるうえ、停車してすぐに目的までの経路検索が行えるという。
KDDIは法人向けFMCサービスとして、大規模事業所向けの「OFFICE WISE」、中規模事業所向けの「OFFICE FREEDOM」「OFFIMO」を提供しているが、もっとも手軽なソリューションがこの「ケータイdeコードレスセット」。三洋電機製のWIN対応ビジネスケータイ「E02SA」2台と、SIPサーバ(ワイヤレスブロードバンドVoIPルータ)から構成されている。
E02SAは無線LAN機能が搭載されており、サーバのエリア内であれば一般回線の子機として利用でき、端末間の通話も可能。外出時はauの携帯電話として利用できる。
従来のSIPサーバ(SR-53V)はアナログ回線用だけだったが、5月からはISDN用の「AP-5100VoIP」がラインアップされた。個人事業やSOHOといった小規模事業者は、ISDN回線を引いていることが多く、これに対応するためという。
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