W-ZERO3シリーズの不満点として、「連絡先」(電話帳)から電話をかける時に手間がかかる点が挙げられる。「Advanced/W-ZERO3[es]」(以下、Advenced[es])でも、連絡先から電話をかける手順は従来から変わっていない。連絡先一覧から音声発信をするまでに、最低3回のキー操作が必要だ。
W-ZERO3シリーズがすんなり電話をかけられないのは、非音声端末向けのWindows Mobileを搭載しているからだ。Advenced[es]も、Windows Mobile 6 Classic EditionというPDA向けのOSに、PHSの音声通話に関係する部分を独自にアドオンした形となっている。
これは、音声端末向けのWindows Mobilである「Windows Mobile 5.0 Phone Edition」や「Windows Mobile 6 Standard Edition」「Windows Mobile 6 Professional Edition」が、GSMやW-CDMAといった携帯電話をサポートするもので、PHSでは有効に機能を利用できないからだという。
移行元がW-ZERO3[es]のようなW-SIM対応端末であれば、連絡先に登録されている電話帳をW-SIM経由で移行でき、PC(ActiveSyncとOutlook)を使う必要はない。実際にW-ZERO3[es]から問題なく移行できた。
なお例外もある。「nico.」のようなW-SIM上の電話帳しか使わない端末で、W-SIMごと機種変更する場合、店頭でW-SIM間の電話帳転送を依頼する必要がある。
また「W-ZERO3」は、W-SIMへの電話帳転送機能がないため、PCなしの電話帳転送は難しい。ちなみに、端末内蔵のバックアップソフトは従来のW-ZERO3シリーズとAdvenced[es]で仕様が違うため、外部メモリ経由での引越しもできないようだ。
Advenced[es]が内蔵するリモートデスクトップクライアント機能は、8/16ビットカラー(256/65536色)での表示が可能。仮想画面機能は備えていないので、640×480ピクセルか800×480ピクセル(もしくはメニューバーとタスクバーの分を差し引いた縦ピクセル数)でPCのデスクトップ画面を表示する。640×480ピクセルで非フルスクリーン表示では、メニューバーやタスクバーで画面が狭くなる分を縦スクロールで対応する。
実際にWindows XP Professinaolをサーバとして、無線LAN接続で利用してみた。PCの動作状況を確認したり、PC側でアプリケーションを起動してデータを閲覧する分には実用的といえるだろう。
スタイラスをマウス代わりに利用でき、コンテキストメニューなども簡単にポップアップできるので操作性にも違和感はない。ただし最大解像度が800×480ピクセルなので、過度な期待はしない方がいいだろう。
※今回の検証および確認はあくまでも開発段階の試作機によるものです。製品版とは仕様が異なる可能性もあることをご了承下さい。
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