シャープのスタンダードスマートフォン「AQUOS sense10」をレビューする。シャープ公式ストアでのSIMフリー版の価格は、6GB+128GBモデルが6万2700円、8GB+256GBモデルが6万9300円だ。ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアも扱っている。
プロセッサにSnapdragon 7s Gen 3を採用し、前モデルの「AQUOS sense9」と比べてCPU性能が約20%、GPU性能が約40%向上した。とはいえ、ミッドレンジスマートフォンの性能差は数値だけでは伝わりにくい。そこで今回、約2週間にわたって実機を使い、AQUOS sense10が目指した「快適さ」の正体を探った。
外観は前モデルのAQUOS sense9から大きく変わっていない。2024年発売のAQUOS sense9でmiyake designの監修を受け、楕円形のカメラユニットを中心に据えたデザインに刷新された。sense10はそのデザイン言語を継承しつつ、カラーバリエーションを一新した。
デニムネイビー、カーキグリーン、ペールピンク、ペールミント、フルブラック、ライトシルバーの全6色を用意する。「カジュアル」「キレイメ」「ベーシック」の3つのファッションスタイルから着想を得たという。メインカラーのデニムネイビーは、デニム生地に革製パッチを合わせたジーンズの色味をイメージしている。
手に取ると、金属特有のひんやりとした質感があり、塗装は丁寧で安っぽさを感じない。ただし、背面や側面にはアンテナラインが走っており、よく見ると樹脂のスリットが目に入る。5GやWi-Fiの電波を通すための設計だが、気になる人はいるかもしれない。
本体サイズは73(幅)×149(高さ)×8.9(奥行き)mm、重量は166g。5000mAhのバッテリーを内蔵しながらこの軽さを実現しているのは、ミッドレンジならではの特権だ。フラグシップ機が200gを超えることも珍しくない中、長時間持っていても手が疲れにくい。
生体認証は指紋とインカメラによる顔認証が選べる。指紋センサーは本体右側面で電源キーを兼用する形となる。大きめのボタンで触りやすいが、左利きの人にはやや使いづらいかもしれない。
ディスプレイは約6.1型のPro IGZO OLED。解像度はフルHD+(1080×2340ピクセル)で、リフレッシュレートは1〜240Hzの可変駆動に対応する。全白輝度1500ニト、ピーク輝度2000ニトと屋外での視認性も高い。
240Hz駆動と聞くとゲーミング向けの印象を受けるが、実際には毎秒240コマで描画しているわけではない。120Hzの表示更新に連動して黒フレームを挿入し、240Hz相当の滑らかさを実現する仕組みだ。
この240Hz駆動が生きるのは「スクロール」の場面だ。複数のスマートフォンと比較したところ、AQUOS sense10は1回のスワイプで進むスクロール量が大きめに設定されている。慣性が効いて、滑らかに減速しながら長く進む。それでいて「行き過ぎた」という違和感は少ない。
SNSのタイムラインやニュース記事をサッと流し読みするとき、この差は体感できる。指を何度も動かさなくても目的の位置にたどり着ける。AQUOSは早くから高リフレッシュレートに取り組んできたが、単なるスペック競争ではなく、日常操作のチューニングにノウハウを生かしている印象を抱いた。
AQUOS sense10には、通話品質を向上させる新AI機能「Vocalist」が搭載されている。最初に40秒ほど画面の台本を読み上げて自分の声を登録すると、通話時に周囲のノイズをAIがカットし、自分だけの声をクリアに届ける。
試してみると、その効果に驚いた。エスカレーターの自動音声案内のような環境音はきちんとカットされる。さらに、通話中のAQUOS sense10に別のスマートフォンを近づけて音楽を再生しても、通話相手にはまったく聞こえなかった。騒がしい場所での通話が多い人には、かなり実用的な機能だと感じた。
senseシリーズとして初めてデュアルBOXスピーカーを搭載したのも見逃せない。シャープによると、sense9と比較して体感音圧が約25%、低音域の音圧が約85%アップしているという。スピーカーホンで会話するときも、相手の声がより聞き取りやすくなった。
AQUOS独自の便利機能は「AQUOSトリック」として設定画面にまとめられている。2本指スワイプで自動スクロールを開始する「スクロールオート」は、長い記事やSNSの流し見に便利だ。「テザリングオート」は、自宅やコワーキングスペースなど場所を登録しておくと、そこを離れたときに自動でテザリングをオンにしてくれる。ノートPCを持ち歩く人には重宝する。
処理性能を測るため、ベンチマークを取得した。Geekbench 6ではシングルコアが1157、マルチコアが3156。2021年発売の「Galaxy S21」シリーズ(マルチコア3168〜3193)とほぼ同等で、4年前のフラグシップ相当の性能が6万円台で手に入る計算だ。
GPU性能を測る3DMark Wild Lifeではスコア3987、平均フレームレート23.88fpsだった。競合の「Xperia 10 VII」(Snapdragon 6 Gen 3搭載、7万4800円)の3245点を上回り、テスト中のバッテリー消費と温度上昇もほぼなかった。原神やスターレイルを高画質で快適にプレイするには力不足だが、ライトなゲームなら問題ない。
実際の使用感としては、カメラの撮影後処理で待たされる感覚はなかった。処理性能の余裕は、こうした日常機能の快適さに振り向けられている。
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