「actface」の楽しさは、スーパーマリオに通じる──猪子氏が考える携帯UIとは:au design projectのコンセプトモデル(1/2 ページ)

» 2007年08月03日 20時27分 公開
[青山祐介,ITmedia]

 東京・原宿にあるKDDIデザイニングスタジオで7月31日から始まった「ケータイがケータイし忘れていたもの」展。ここには、ユーザーインタフェース(UI)を重視したau design projectのコンセプトモデルが展示されている。コンセプトモデルの1つ、「actface」をデザインしたのがウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」だ。

 チームラボの代表を務める猪子寿之氏が、イベントの開催を記念して行われたトークショーで、actfaceのUIが生まれるまでの経緯や携帯UIに対する考え方について説明した。

Photo トークショーは、au design projectのトータルプロデュースを手がけるコンセプター、坂井直樹氏(左)が猪子寿之氏氏(右)にインタビューする形で進行した

日本人は“行為そのものを楽しむ”のが得意

 トークショーは、au design projectのトータルプロデュースを手がける坂井直樹氏が手にした、iPhoneのUIの話から始まった。猪子氏はiPhoneのUIは革新的であり、インタフェースを革新するだけで、プロダクトの魅力が増すと話す。

 「“インタフェース”が今、面白いですね。『iPhone』が出たときに、ものすごくショックを受けました。昔は日本のケータイも進んでいると自慢できたけれど、今はそうでないと思います。iPhoneはインタフェースが革新的だからあれだけ注目されたんですね。携帯のインタフェースを革新するだけで、プロダクトがカッコいいものになる。だから今回はインタフェースを革新したいと思いました。でも、iPhoneのようなインタフェースの革新は西洋的で、目的のために最適化されている。すごくカッコいいのだけど直球のような感じかな。そこで、僕らは全然違うやり方でインタフェースを革新してみようと思いました」(猪子氏)

 本来、インタフェースは目的を達成するため、操作をするためにあるものだ。例えば「090……」とダイヤルキーを押すのは、誰かと話すという目的があるから押すのであって、キーを押すこと自体が目的ではない。「“しょうがない”から押すわけですね」(猪子氏)

Photo 猪子率いるチームラボが開発した「actface」。「PLAY」(左)と「Rhythm」(右)の2つのバリエーションがある

 ケータイのインタフェースがいくら格好よくハイテクになり、おしゃれに見えたとしても、“電話をかける”“メールを打つ”という、本来の目的のために操作することには変わりない。そこで猪子氏は、この“しょうがなく”を“しょうがなくない”ようにしたらいいと考えた。

 「僕はファミコンのゲーム『スーパーマリオブラザーズ』がとても好きなのですが、以前このスーパーマリオブラザーズを作った任天堂の宮本茂さんが“マリオを操作していることだけが楽しいものを作りたかった”と言っていました。本来ゲームには敵を倒すとかゴールするという目的があって、それを達成するために操作するのですが、宮本さんは、マリオを動かすだけで楽しいゲームを目指したそうです。たしかにこのゲームは、ピーチ姫がさらわれてそれを助けに行くのが目的なのですが、実際にゲームをやっていると助けることはどうでもよくなってきますよね。こうした“行為そのものが楽しい”というのは、日本人特有の考え方だと思います」(猪子氏)

 この“行為そのものを楽しむこと=行為そのものを消費すること”は、西洋人に比べて日本人が得意なことだと猪子氏は分析する。こうした“本来の目的を忘れてしまっているもの”には、スーパーマリオブラザーズのほかに、作法や礼節を大切にする茶道や剣道といったものも挙げられると猪子氏。actfaceでは「日本独特の文化と西洋の文脈にもある合理的に使いやすいというものが同居するようなインタフェースを作りたかった」(猪子氏)という。

“タッチパネル+ボタン”という身体性を残す

 actfaceは、折りたたみ型ケータイの内側全面に液晶ディスプレイを搭載し、ダイヤルキー部のディスプレイ上に突起のある透明なキーパッドを持つ、独特のレイアウトを採用している。

 「裏側も光っていて、ケータイの全部が画面のようなものを意識しました。素材も柔らかくて光があふれるような、モノとしての境界線がとてもあいまいなものですね。情報の塊、光の塊のようなものを握っているような感じのものを作りたいと思いました」(猪子氏)

Photo タッチパネルの上には透明のボタンを用意。“ボタンを押す”という身体性をそのまま残すためだという

 タッチパネルを搭載しながら、そこにボタンを設けているのも特徴の1つだ。普通のタッチパネルは、押下する部分を目で確認しながらボタンを押す必要があるが、これは猪子氏いわく“論理的”“左脳的”なのだという。「今の若い女の子は、ボタンを見なくてもすごく速く打ててしまう。何年もケータイを使っていて身体的に指がキー配置を覚えているのに、タッチパネルになってこの操作感を失うのはもったいないと思いました」(猪子氏)

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