「actface」の楽しさは、スーパーマリオに通じる──猪子氏が考える携帯UIとは:au design projectのコンセプトモデル(2/2 ページ)

» 2007年08月03日 20時27分 公開
[青山祐介,ITmedia]
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 actfaceではこの“ボタンを押す”という身体性をそのまま残すために、実際に押せる透明なボタンを搭載した。この透明なボタンは、利用シーンごとに最適なキー割り当てを表示するディスプレイの表示と連動しており、タッチパネル的なメリットも備えるという。

“ケータイを使う”という行為が街を成長させる──「PLAY」

 チームラボが提案した「actface」には、「PLAY」と「Rhythm」の2つのインタフェースコンセプトが用意される。PLAYは、携帯の中に作られた仮想の街が、ユーザーの操作や蓄積されたデータに応じてどんどん変化する。

Photo 仮想の街がユーザーの操作に応じて成長する「PLAY」

 「PLAYは“電話をかける”“メールをする”といった行為でインタフェースが成長していったら面白いという思いつきから生まれました。“インタフェースが自分の街”という考え方で、例えば仕事仲間ばかりに電話していると街がビルだらけになったり、友達とばかり話していると街が森だらけになったりします。街の中には電話帳に登録した人たちが住んでいて、ケータイを使う行為で街が作られ、ストーリーができていく。自分の使い方次第でインタフェースが変わるのです」(猪子氏)。

 PLAYは携帯操作すべてが、インタフェースを兼ねる仮想の街に反映される。電話帳に登録した人の誕生日になると花火が上がり、恋人からのメールを受けてactfaceを開けると、街中に星が散りばめられたラブリーな街になる──といった具合だ。actfaceを持っている人とすれ違うと、相手と自分のキャラクターが仮想の街を行き来するといった、コミュニケーション機能も用意できるという。

 「電話帳に登録した相手からの不在着信が10回を超えると、その相手が怒って街を爆破して、せっかく育った街が壊れたりもします。バッテリーが満充電だと街の人々に元気があって、電池がなくなっていると“ちょっとドーパミン足りない”ように元気がなくなったりもします」(猪子氏)。

ユーザーがVJになる──「Rhythm」

Photo 入力するリズムに応じてさまざまな水墨画が描かれる「Rhythm」

 もう1つのRhythmは、「水墨」や「書」をクリエイティブのテーマにしたインタフェースコンセプトだ。書家の大橋陽山氏による書を3D画像に変換してインタフェースに取り込み、キー操作に応じて3D化された書が画面でランダムに動く。コーヒーの中にミルクを落としたときにできるような流体のアルゴリズムをチームラボが独自で開発し、キー操作との連動で書画が連続的に変化するようにした。

 「僕は以前から水墨画をどこかリズミカルなものだと思っていました。PLAYは行為に対して時間軸が長いテーマなので、Rhythmにはリズミカルな書や水墨を選んだのです。メールを打つときは多数のキーを押し、メールを読むときはスクロールキーを連続して押していたりする。そんなボタン操作はリズミカルで、これを映像に反映させると面白いと思いました。まるでユーザーがVJのようなものです」(猪子氏)

“小洒落たモノ”より、行為や概念を変えるものを

 猪子氏が目指す携帯UIは、“コミュニケーションをとるという目的すら忘れるようなもの”だという。

 「電話する必要がないのに『街に花を咲かせたいから○○さんに電話しなきゃ』とか『街を爆破したいから頼むから10回連続で電話して』といったように、ものすごく操作するのには最適なインタフェースなのに、それをすっかり忘れて楽しめてしまう。一瞬見たら使いにくそうにも見えるけど、よく見たらふだんの操作とまったく変わらなくて、普通の操作を邪魔することはいっさいやっていないような、本来の目的を忘れてしまうようなインタフェースができたらすごくうれしいですね」(猪子氏)

 猪子氏が代表を務めるチームラボは、独自のテクノロジーを使ったWeb構築や、主観的・身体的認識を再構築したアート、行為の中から新たな価値を生むデザインを手がけている。今後の活動について聞かれた猪子氏は、「普通にテンションが上がるもの、ピュアにうれしくなるようなものを作っていきたい」と話す。

 「デザインの文脈では、PLAYはそれほど評価されないかもしれませんが、僕らにとっては普通に小洒落たものよりもテンションが上がるんです。単なるお洒落なものには興味がなくて、行為そのものを変えるとか、概念そのものを変えるという方に興味がありますね。その中で、小難しいものをエンタテインメントに落とせて、『よく見たら実はカッコいい』と言ってくれる人がいっぱいいるようなものを作って行きたいと思っています」(猪子氏)

「PLAY」と「Rhythm」、猪子氏のお気に入りの場面は

 トークショーの来場者からは、「PLAYとRhythmの中で、猪子氏のお気に入りのシーンを教えてほしい」という質問が挙がった。

 PLAYには、“街”で動いているアニメーションの中で、全然関係ない場所や人の動きが関係しているところだという。「500回くらい見ないとわかりませんが、『ゴルゴ13』っぽい人が銃を撃つと、遠くの人のカツラが取れるアニメーションがお気に入りです」(猪子氏)

 Rhythmでは、独自で開発した流体のアルゴリズムや、毛細血管がどんどん伸びていくような生命のアルゴリズムが気に入っているという。



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