ウィルコム販売ランキングの結果は前回と同じ。
顔ぶれはいつもの5機種が占める。京セラ製の「WX320K」、ケーイーエス製の「9(nine)」、ネットインデックス製の「nico.」、東芝製「WX320T」、シャープ製の「Advanced/W-ZERO3[es]」がランクインした。
ウィルコムの元気のなさは変動しない販売ランキングだけでなく、契約数にも如実に表れた。9月7日に公表された2007年8月末時点の契約数は2004年2月以来となる1万3900の純減。2007年3月に9万3000の大幅純増を記録した同社の契約数は、5月末は3万6100、6月末は2万2000、7月末は1万1300の純増と鈍化傾向はあったものの、純減になるほどとは驚かされた。夏の新機種となるAdvanced/W-ZERO3[es]やWX320T、既存機種のカラーバリエーションモデルなどを投入し、新たな販売方法「W-VALUE SELECT」を導入したが、それらは大きな原動力にはならなかった。
同社は、この凋落を6月に判明した法人向けを主とし、大口契約が見込める端末の不具合による販売停止で法人向け営業が滞ったこと、W-VALUE SELECTが当初、機種変更のみを対象(後日、新規契約および対象機種も拡大)にしていたこと、W-VALUE SELECTの告知、認知が販売店員を含めて浸透していなかったことなどが影響したとしているが、対個人ユーザーに関しては、端末ラインアップや機能、通信速度、月額料金を含めて携帯他社に対してメリットを見いだせなくなりつつあることが最も大きな要因だろう。
W-VALUE SELECTは機種や加入プランによって月々の割り引き金額(W-VALUE割引金額)が異なるので、ソフトバンクモバイルの割賦販売方式「新スーパーボーナス」より、よけいに難解。そのため「持ち帰り0円」の心理的メリットもかなりそがれる。
ハイエンドモバイルユーザーやビジネスユーザーに支持されたデータ定額も、主要都市でエリアを順調に拡大し、速度、料金に勝るイー・モバイルに移行するユーザーが多く見られる。そのうえ、ドコモも10月に、ウィルコムの8xパケット(最大512kbps)通信プラン「つなぎ放題[PRO]」の月額1万2915円(年間契約+A&B割適用時:1万1088円、W-VALUE SELECTキャンペーン適用時:6000円/2年限定)よりメリットが高いと感じられる価格を実現する、下り最大3.6MbpsのHSDPAデータ定額プラン「定額データプランHIGH-SPEED」を開始する。この高速データ通信定額プランは携帯他社も追随する可能性はある。
対するウィルコムのメリットは、070通話24時間音声定額の「ウィルコム定額プラン」と、国内のスマートフォン市場で8割のシェアがあるというW-ZERO3シリーズの存在(ただしスマートフォンも今後、携帯各社が新機種を大量に投入することでその差は一気になくなってくると予想される)、低電磁波特性や企業のPBXと接続した内線用途(固定と無線を連携するFMCを推進。固定−PBX経由で定額化するといった報道もある)など、病院や企業向けといった法人需要が挙げられる。
ともあれ、個人ユーザーに対して流出を防ぐのはやはり、“メインで使える端末”と“ならでは”の料金プランの存在にある。携帯各社が例年通り大量の端末と新たなサービス、料金プランなどを投入してくるであろう冬商戦に向け、ウィルコムがどのような戦略をとるか、この時期は1つの正念場と言えそうだ。
ウィルコムの直販サイト「ウィルコムストア」で公開されている売れ筋ランキング(2007年9月14日現在)は以下の通り。
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