シャープ製のウィルコム端末「Advanced/W-ZERO3[es]」は、OSに「Windows Mobile 6 Classic」を採用したW-SIM対応のスマートフォンだ。W-ZERO3シリーズの特徴であるスライド式のQWERTYキーボードを備え、ディスプレイは従来のVGA(640×480ピクセル)からワイドVGA(800×480ピクセル)へと高解像度化が図られた。音声端末としての使い勝手と、閉じたままでさまざまな操作が可能なダイヤルキーを装備した「W-ZERO3[es]」の後継モデルだ。
強化された機能面もさることながら、最大の特徴はやはりスマートになった外観だろう。W-ZERO3[es]と比較すると、幅は56ミリから50ミリへと一般的な音声端末と変わらないサイズまで小型化され、厚さも最薄部で21ミリから17.9ミリへとスリムに。重さも175グラムから157グラムへと軽くなった。数値ではピンとこないかもしれないが、2つを比べるとその差は明白だ。見た目では幅寸法のせまさ、手にしたときはその厚さと軽さを強く感じる。
“いかにもスマートフォン”というフォルムではないため、W-ZERO3[es]では違和感が残っていた通話利用時の印象も至って自然。開発元であるシャープの製品紹介ページにも「スマートな、スマートフォン誕生」という記述があるが、確かに“スマート”フォンになったと思える。
主なスペックを確認しておくと、プロセッサは従来と同じMarvell製のPXA270ながら、最高動作クロックは520MHzとなりクロック比で25%高速化された。プログラム実行用のSD-RAMは128Mバイト、データやプログラムを保存するためのフラッシュメモリ容量も256Mバイトと倍増している。W-ZERO3シリーズで256Mバイトのフラッシュメモリを持つのは、今のところAdvanced/W-ZERO3[es]とW-ZERO3(WS004SH)のみだ。
OSはWindows Mobile 6 Classicで、いわゆる携帯電話向けのエディションではない。これは、Windows Mobileがサポートする携帯電話機能は3Gであり、OSが直接PHSに対応していないことが影響している。単体販売以外(新規契約、機種変更)ではW-OAM対応のW-SIM「RX420IN」(ネットインデックス製)が付属し、通信速度は4xパケット接続時にW-OAM対応エリアで最大204Kbps、非対応エリアで128Kbpsとなる。
ディスプレイは、感圧式のタッチパネル操作にも対応する3インチワイドVGA(480×800ピクセル)で、縦方向が従来のW-ZERO3シリーズより160ピクセル増えたワイドディスプレイになった。画面サイズは2.8インチだったW-ZERO3[es]より大きくなり、高解像度化により情報量は25%拡大したが、ドッチピッチは約0.082ミリとW-ZERO3[es]の約0.089ミリよりもさらに小さくなっており、視認性は若干悪くなった。ただし、Webブラウザの利用を中心にワイドVGAになった恩恵は非常に大きい。
初代W-ZERO3で搭載していたが、W-ZERO3[es]では省略された無線LAN機能が復活した。サポートする規格もIEEE 802.11g/b両対応となり、最大54Mbpsの速度でネット接続できる。Webブラウザの処理能力的にIEEE 802.11gのメリットを生かしきれるかは微妙なところだが、IEEE 802.11gのみで運用するアクセスポイントを利用できるメリットはあるだろう。無線LAN機能が、QWERTYキーボードの[Fn]+[OK]でオン/オフできるようになったのも、W-ZERO3から改善された部分だ。
本機はW-ZERO3シリーズでは初めて赤外線通信機能を備えており、アドレス帳を含むデータ交換が携帯電話と間で可能だ。手持ちの携帯電話で確認した限り、個別、一括転送ともに問題なく受信が行え、本機の連絡先に自動登録された。通信規格は高速な「IrSimple」にも対応す。
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