「ハイライト再生」と「翻訳リーダー」で“使えるハイエンド”を目指す――開発陣に聞く「D905i」(後編)「D905i」開発陣インタビュー(2/2 ページ)

» 2007年12月04日 02時16分 公開
[房野麻子(聞き手:後藤祥子),ITmedia]
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録画した番組は隙間の時間で効率よく視聴――ハイライト再生

 ワンセグ機能で他機種との差別化ポイントとなるのが、録画した番組をちょっとした空き時間に効率よく視聴できるようにする「ハイライト再生」と「オートカット再生」だ。

 携帯のワンセグ視聴には、据え置き型のテレビとは異なる“空いた時間での視聴”というニーズがあるが、見たいと思ったときに見たい番組が放送されているとは限らない。こんな時には番組録画が重宝するが、見たいシーンを探しているうちに、空き時間が終わってしまうのでは使い勝手が悪い。ハイライト再生やオートカット再生は、“録画した番組を、隙間の時間でいかに効率よく見るか”に着目して搭載した機能だ。

 「三菱電機にはDVDレコーダーの『楽レコ』シリーズがあり、それに使われているハイライト再生の技術をD905iに応用しています。録画した映像をいかに簡単に視聴できるかという、他メーカーの端末とは切り口を変えたワンセグ機能を搭載して特色を出しました」(荻田)

 ハイライト再生にはスポーツモードとミュージックモードがあり、スポーツモードは試合が盛り上がっているシーンだけを、ミュージックモードは音楽番組のトークシーンなどをカットして、楽曲シーンだけを連続再生できる。オートカット再生は、録画した映画やドラマの本編以外を自動的にカットして再生できる。

 例えばスポーツモードの場合、サッカーならゴールを期待した観客の声援が大きくなるあたりから、また陸上のフィールド競技なら注目選手がプレーするときを中心にピックアップされ、ダイジェストニュースのように再生される。ハイライトレベルは10段階から選択でき、空いた時間に合わせて視聴できるのが便利な点だ。

 「通勤電車に乗っている間に見たいから“30分くらいのハイライトレベルで”――というような使い方ができます。ワンセグは限られた時間の中で視聴する人も多いと思うので、ハイライト再生はむしろ携帯電話と相性がいい機能だと思いますね」(荻田氏)

Photo この約34分の番組では、ハイライトレベル1を選ぶと約23分、2を選ぶと約17分、4を選ぶと約6分半で盛り上がったところだけを視聴できる

Photo ハイライト再生時にスピードセレクターを回すと次のハイライトシーンの冒頭にアクセスできるので、見たいシーンを探しやすい

 ハイライト再生とオートカット機能は、それぞれ異なるアルゴリズムを採用しているという。ハイライト再生のスポーツモードは、主にアナウンサーの声や観客の歓声などの音声データで判別するが、それだけでは対応できないシーンもあることから別の判別基準も加味している。ミュージックモードは、シーンの切れ目を認識するアルゴリズムを採用して演奏シーンや音楽シーンだけを違和感なく再生できるようにチューニングした。

 「番組の本編だけを連続再生するオートカット再生も、単純に音声だけで判別すと間違える率が高い。楽レコのオートカットは成功率が非常に高く、それをケータイ向けに組み込んでいます」(井上氏)

今の流れを汲むスライドケータイは、ワンセグの搭載で“一区切り”

 D904iから引き続き搭載されたモーションコントロールの便利さも、ワンセグが搭載されたことで、より強く実感できるようになっている。

 「ワンセグに対応したことで、モーションコントロールがさらに生きてきた。D904iのときには、端末を左に90度傾けると横ワイド画面に切り替わるだけでしたが、ワンセグはデータ放送が表示されるので、“データ放送で情報を見たいときは端末を縦に、大画面でテレビを観るときは端末を横に”というように、用途に合わせて切り替えられる利点があります」(荻田氏)

 ほかにも、メールを作成しながら小さい画面でワンセグを視聴しているときに、見たいシーンがあれば端末を横に傾けるだけで大画面に切り替わるなど、ワンセグ視聴時に、スライドスタイルとモーションコントロールがうまくマッチしてきたと感じるシーンが多い。

 「偶然こうなったのではなく、『D901i』でスライドスタイルを採用したときから、テレビの視聴を1つのゴールとして設定していました。そこに到達する課程で、モーションセンサーを入れたりしながら、計画通りやってきたという感じです」(井上氏)

Photo メールを確認しながらワンセグを見ている際に、ワンセグで気になるシーンがあったら端末を傾けるだけで横ワイド画面に切り替わる

 ワンセグが標準モデルに搭載されたことで、これまでの流れを汲むスライドケータイは「一区切りついた」と開発陣。そしてタッチパネルを搭載した「ウェルネスケータイ」の試作機がCEATECで披露されるなど、三菱スライドの今後を予感させる端末も登場している。

 三菱電機の開発陣は「さまざまなトライや検討をしている最中」というにとどめ、今後の方向性についての明言を避けたが、「ぜひ期待してほしい」と自信を見せる。スライドケータイの新たなステージで、どんな端末を見せてくれるのかに期待したい。

話しかけるとマチキャラが答える――音声入力に対応

 音声入力への対応により、ケータイの中に住むキャラクター「マチキャラ」とのコミュニケーションも楽しくなった。おしゃべりモードで待受画面のマチキャラに話しかけると、さまざまな返事やアクションを楽しめる。例えば、シャチに「おはよう」と話しかけると、「いい朝だね!」という返事が返ってくるといった具合だ。

 「すごくいい夢みたよ!」など、たまにしか返ってこないレア会話もあるそうなので、いろいろと試してみてほしい。なお、おしゃべりモードは、待受画面で決定キーを押すか、ディスプレイを指で軽く2度叩くと開始/終了できる。

Photo 話しかけるとマチキャラが吹き出し文字で答える


  • ↓フルブラウザ閲覧時やワンセグ、ビデオクリップの視聴時、地図アプリ利用時に端末を左に90度傾けると、自動で横ワイド画面に切り替わる

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  • ↓メールの入力画面で端末を2回振ると、絵文字や顔文字、記号の候補が表示される

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