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» 2007年12月17日 16時58分 公開

神尾寿のMobile+Views:携帯コミュニケーションに“メディアミキシング”で新たな価値を――VIVID Communicatorの可能性 (2/2)

[神尾寿,ITmedia]
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 「VIVID Communicatorを使ったサービスでは、難しい操作に煩わされることなく、動画を使ったコミュニケーションを利用してもらいたいと考えています。特に最近はSNSやブログの利用が増えていますから、動画作成からサーバ側での自動登録まで、シームレスに実現する仕組みを用意したいと考えています」(西山氏)

 現時点では提携するブログやSNSサービスが決まっているわけではないが、この機能を使えばVIVID Communicator利用時にユーザーIDを入力するだけで、動画の登録・公開までが一括でできるようになるという。

 「ブログやSNSとの連携サービスのイメージとしては、国内大手SNSやブログ、動画ポータルを運営するサービス事業者から、専用のVIVID Communicatorアプリを配布していただく形を考えています。専用アプリがそれぞれの(サイトの)コンテンツIDに対応し、ユーザーID情報も登録することで、動画作成からサイトへのアップロード、公開までを自動化するのです」(西山氏)

 VIVID Communicatorで動画作成に使うテンプレートだけでなく、アプリのUIデザインも自由に変えられる。ブログやSNSを運営するコンテンツ・サービス事業者が、VIVID Communicatorを使った専用デザインのアプリを配布し、自社サービスの動画コンテンツ対応を強化する、といった展開ができるのだ。

VIVID Communicatorの展開モデル

Photo アクロディア マーケティング部セールスフォースグループセールスマネージャーの藤崎滋夫氏

 VIVID Communicatorは現在、技術開発が終了し、これから市場への投入と普及を図る段階にある。アクロディアはこの新たなプロダクトの展開として、どのようなモデルを描いているのだろうか。

 「VIVID Communicatorはミドルウェアであり、動画作成のプラットフォームですから、ビジネス展開の自由度は高い」(アクロディア マーケティング部セールスフォースグループセールスマネージャーの藤崎滋夫氏)

 大きく分けると3つのビジネス展開が考えられるという。

 1つは携帯電話メーカーと連携した組み込み型の展開モデルだ。この方式では、VIVID Communicatorが携帯電話カメラの機能ソフトウェアの一部やプリインストールアプリとして実装されて、携帯カメラとシームレスに連携する。メーカーが“カメラ機能の価値向上”のために導入するというイメージだ。この場合、ユーザーはVIVID Communicatorをカメラの一機能として使う形になる。さらにVIVID Communicatorのテンプレートを端末メーカーが自社サイトで配布すれば、端末販売後のサービスで顧客満足度を高められる。携帯カメラという「モノ」の付加価値をVIVID Communicatorでまず向上し、テンプレート配布でサービスと連携することで、ユーザーの端末利用意欲を継続的に高める「コト」の価値を創出することができるのだ。

 2つ目のモデルは、アクロディアがVIVID CommunicatorのサーバサービスをASPとして運営し、複数のコンテンツプロバイダーがそれを利用するものだ。コンテンツプロバイダーは専用にUIデザインを施したクライアントアプリとテンプレートをユーザーに配布し、動画作成機能を自社コンテンツのユーザーに提供。“動画を利用する”という新たな価値を、自社コンテンツやサービスに付け加える。

 このASPモデルを具体的にイメージしてみると、まず利用価値が高いのは「ブランド価値が高いコンテンツ」を持つ事業者だ。例えば自社にブランド力の高いキャラクターやデザインがあれば、それを元にしたテンプレートと動画作成サービスをセットで提供できる。

 一方、サービス分野では、ブログ・SNSでの動画活用で大きな需要が見込めるだろう。他にも「料理教室で生徒が料理を作る過程を撮影して、プロモーションクリップ風の記録映像を作るなど、アイディア次第でいろいろなサービスが考えられる」(藤崎氏)という。

 3つ目のモデルはキャリア主導によるプラットフォーム的な展開だ。このモデルでは、VIVID CommunicatorのASPサーバをキャリアが構築・運営し、それを公式サイトのコンテンツプロバイダや端末メーカーが利用する形になる。VIVID Communicatorのクライアントソフトのデザインや、テンプレートの作成・配布が新たなコンテンツビジネスになるイメージだ。また、このモデルではキャリアが仕様策定とプラットフォーム構築を行うので、端末機能と公式サイトコンテンツとの連携がしやすくなるだろう。

 「アクロディアとしては、これらのモデルの展開順序や優先度といったことは考えていません。VIVID Communicatorのエンジンはとても汎用性と自由度が高いので、これが携帯電話の中にあってもいいですし、ASPのようにサーバーサービスになってもいい。どのような形にせよ、動画コミュニケーションのプラットフォームとして機能するように作られています」(藤崎氏)

将来的には携帯から専用カメラまで。広がる可能性

Photo メガチップス LSIカンパニー 第2事業部 営業部リーダーの竹田茂宏氏

 携帯電話の進化によって、「カメラ」単体の性能は向上した。さらに通信インフラの高度化が、容量の大きなデータのやりとりを可能にし、コミュニケーション分野ではメールだけでなく、ブログやSNSなどのサービスも定着している。VIVID Communicatorは、並列で進化してきたこれらの要素をうまく組み合わせて、今ある端末機能や通信インフラの上で、動画を使った新たな価値を付け加えるものといえる。

 さらにVIVID Communicatorのプラットフォームとしての汎用性は、携帯電話だけにとどまらない可能性を秘めている。アクロディアとメガチップスではVIVID Communicatorの将来展望として、デジタルカメラなど他のカメラ機器への展開も考えているのだ。

 「デジタルカメラ市場に目を向けると、最近は顔検出やスマイル検出など、『撮影』の機能・性能だけでなく、付加価値の創出がメーカー間の競争で重要になってきています。VIVID Communicatorには組み込み型のソリューションがありますし、後からテンプレートを追加して(写真加工の)価値を高められる。デジタルカメラ市場にもビジネス展開の可能性があると考えています」(メガチップス LSIカンパニー 第2事業部・営業部リーダーの竹田茂宏氏)

 VIVID Communicatorのテンプレートの仕様は汎用化されているため、携帯電話向けに制作・流通しているものを共通で利用できる。VIVID Communicatorがまず狙うのは携帯電話市場であるが、将来的には「デジタル写真」を取り巻く市場すべてがターゲットになるという。これはVIVID Communicator上のサービス・コンテンツ市場の広がりでも期待できる点だろう。

 「携帯電話のカメラや撮り貯めた写真に、新たな価値を与えられないか」

 そこからスタートしたVIVID Communicatorには、アクロディアらしい「UIの工夫」と、柔軟なビジネス展開を実現する「プラットフォーム化の発想」が詰まっている。VIVID UIが今期の携帯電話にUIの“着せ替え”という新たな価値を提供したように、VIVID Communicatorが携帯カメラや携帯コミュニケーションの可能性を変えることは十分に考えられる。

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