オープンワイヤレスネットワーク(OpenWin)、イー・アクセス、ソフトバンクの3社は12月20日、2.5GHz広帯域移動無線アクセスシステムの審査について、総務大臣などに要望書を提出したと発表した。
2.5GHz帯を利用する広帯域移動無線システムの周波数割り当てでは、オープンワイヤレスネットワークのほか、KDDIが中心のワイヤレスブロードバンド企画、アッカ・ネットワークスとドコモが中心のアッカ・ワイヤレスがモバイルWiMAX方式で、ウィルコムは次世代PHSで総務省に申請した。このうち2社に2.5GHz帯の周波数が割り当てられる。
要望書の内容は主に、
1.諮問内容の公開及びそれに基づく意見聴取の要望
2.審査期間の公正性
3.モバイルWiMAX技術を選択する事業者に対する要望(MVNOを公平に提供する)
4.財務的基礎に関する審査に対する要望
5.アイピーモバイル跡地の周波数利用も考慮に入れた審議に対する要望
6.事業者選択に対する要望(モバイルWiMAX技術を選択する事業者が2社であることが望ましい)
の6項目。
記者会見には、OpenWinの深田浩仁社長兼CEO、出資会社の代表としてソフトバンクBBの宮川潤一取締役、イー・アクセスの千本倖生会長が出席した。
このうちOpenWinに出資をしたソフトバンクの孫正義社長は、海外出張中であり本日の記者会見には姿を見せなかったが、「孫さんとは、基本的に意見の相違はない」(千本氏)としている。
欧米では、周波数帯はオークションや入札で割り当てるケースが多い。そんな中、日本の2.5GHz帯は総務省が“審査”をするという方法をとった。「今回のことが試金石になり、ビューティーコンテスト(審査による割り当て)がこれからも続くと思う。明日の審議会にあたりこういった点を補足的にみていただきたい」(千本氏)というのが要望書を提出した理由だ。また、「パブリックコメントの段階では、要望書の項目が当然審査されると思っていた。また、このような細かい審議になるとは思っていなかった」(宮川氏)というのもある。
「火曜日の報道が1つのきっかけになったというのは事実であり、ここ数日間、孫さんと真剣に話し合った」(千本氏)との発言もある。火曜日の報道とは、2.5GHz帯の割り当てがウィルコムとワイヤレスブロードバンド企画に内定したというもの。この報道がきっかけになり、要望書の提出を決断したという。
「公開討論会を開くなど、総務省や電波監理審議会の皆様が熱心に審議してくれていることは、OpenWin、イー・アクセス、ソフトバンクともありがたく思っている」(千本氏)と評価をしながらも、審査の透明性を強く訴える。
1番目の要望である“諮問内容の公開及びそれに基づく意見聴取の要望”がそれだ。
2.5GHz帯の割り当てでは、総務省が審査し電波監理審議会に諮問。答申を総務省に戻し、免許を交付するという流れで行われる。このうち、総務省から電波監理審議会への諮問と、答申が即日で行われるとの一部報道がある。これに対して、千本氏は「電波監理審議会での諮問内容を公開して、内容の確認と意見陳述の機会を与えるべき」と要望。これは、電波法の「諮問を受けた場合において必要があると認めるときは、意見の聴取を行なうことができる」(第99条の12第2項)ことに基づいたものだ。
また、財務状況の悪化により免許を手放したアイピーモバイルの件に触れ、財務計画の審査は、免許交付後5年間ではなく事業開始後5年間で審議をしてほしいとするほか、「短期間に主要株主が変わるなど、誰に認定を与えたのかわからないのは大変な問題」(千本氏)だと話した。
2.5GHz帯の認定で重要な要素となるMVNOについては、WiMAX網を保有する事業者でも、MVNOの提供先でも同一条件で利用できるようにしてほしいと要望。具体的には、価格、エリア拡大などの情報、サービス開始がどの事業者でも同一であるようにすべきだとの見解を示した。
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