現在デジカメで流行っている「顔検出機能」も搭載。顔検出機能は内部に顔の特徴を記述した“辞書”を持っていて、それを使って検出するのだが、辞書の内容もデジカメとは異なっている。
石田氏は「顔検出は絶対に必要な機能でした。一番こだわったのは、顔が傾いていても検出する辞書です。例えばラブラブなカップルは肩を寄せ合うので、顔が傾いていることがとても多い(笑)。そこで42度まで傾いても検出できる辞書を搭載しました。ただし、左右を向いてしまう場合はあまり得意ではありません。このあたりは“ケータイならでは”です」と話す。
ラブラブなカップルが自分撮り……っていうと対象が限られるようだが、実際、ネット上にあふれているさまざまなプリクラ写真や自分撮り写真を見ると、確かに、首を少しかしげて写っているものがとても多い。2人で撮るときはたいてい頭をくっつけるように首をかしげている。
顔検出と来たら、Cyber-shotが得意な「スマイルシャッター」も忘れてはならない。笑顔を検出して自動的にシャッターが切れるという、使ってみると実に面白い機能だ。実は2007年11月にSO905iCSが発表されたとき、この機能は搭載予定ではなかったのだ。
「発表段階では、スマイルシャッターを搭載する予定はなかったんです。発表会後に機能を追加するというのは今回が初めて。その本気度を見てほしいですね」(石田氏)
ソフトウェアを担当した後藤氏は、「この時期にソフトを追加するなんてあり得ないので苦労しました。でもぜひこれは使ってもらいたいということで一致団結してなんとか年末までに開発しました」と苦労を語る。
さらにSO905iCSには、ブログ投稿機能が用意されている。メール投稿が可能なブログやSNSはほとんど登録できるうえ、さらに、ケータイから写真をアップする際にうれしい機能が搭載されている。
ブログやmixiでケータイから投稿された写真を見ると、縦位置で撮ったのに写真は横を向いていたり、その逆だったりするケースが多い。これが非常に気になる。「SO905iCSには縦横検出のセンサーを入れていますから、縦横は気にしなくていいんです。ケータイサイズの時は画像を縦横変換して記録してますし、VGA以上ではEXIFに回転情報を埋め込みます。SO905iCSで撮れば、縦横を気にすることはありません」(電気設計担当の岡村氏)。
こうした便利な機能はまだまだある。そこで石田氏にまとめてもらうことにしよう。
「BGM付きスライドショーを作成できる『音フォト』では、BGMに着うたを使うことができます。これはCyber-shotにはできないケータイだけの機能です。写真をデコメ絵文字風に変換することもできますし、GPSを使った位置情報を写真に自動追加する機能も使ってほしいですね。その写真をどこで撮ったか記録されるので、同梱されているPC用ソフトを使えば地図上に撮った写真を張ることができます。あと、受信したメールを見ているとき、本体をスライドさせるとすぐ返信モードになって返信メールを作成できるのも便利です」
最後に、各開発陣の立場から一言語ってもらった。
「カメラ機能を重視していますが、SO905iCSは携帯電話です。通信との親和性が高いので、ブログ投稿などの機能を楽しんでほしいですね」(今崎氏)
「ケータイならではのカメラ文化が詰まっています。GSMにも対応しているので、海外に持って行っていろいろ撮ってほしい」(鈴木氏)
「メカ担当としては、スライド式をドコモから出すのは初めてなのでそこに注目してほしいですね。撮影時はケータイではなくカメラを使っている雰囲気を出そうとしました。撮られる側もカメラとして意識してもらえるくらいカメラっぽくなっています」(寺山氏)
「ソフト担当としてはいろんなところでいろんなキーを押してもらいたい。初めて使う機能でも、うまく導いて使いこなせるように気を使って作っていますから、知らない機能でもまずキーを押してもらえれば、新しい世界を体験できます」(後藤氏)
「今回は光学3倍がウリです。滑らかにズーミングできますから、デジカメのズーム機能の感覚でがんがん使ってください」(大森氏)
「電気周りの担当ですが、電気回路はバッテリーの駆動時間も含めて地味に作り込んでいます。905iとベースは同じですが楽しみ方が違いますから、Cyber-shotケータイならではの世界を楽しんでください」(岡村氏)
こうして話を聞いてみると、Cyber-shotケータイがどんな人にどう使ってもらいたいか、それがすごくはっきりしているのが分かってくる。どういう人がどういうときに使うとこの機能がどう役立つか、あるいはどう楽しいかが……「この機能は合コンの時に役立ちます(笑)」(石田氏)というのも含めて、すごく具体的なのだ。
Cyber-shotケータイは、“5メガで光学3倍ズーム”というデジカメ的なスペックのみならず、それを生かすためのさまざまな機能に一番の特徴があるように思う。
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