「うちの端末もこんなに薄くなるんだ」と驚かれた、auの薄型ワンセグ──「W61P」(2/3 ページ)

» 2008年04月15日 18時34分 公開
[房野麻子,ITmedia]
photo 左から、ルッソブルー、グラツィアホワイト、フィーノブラック。そして急遽追加されたジェンティーレゴールドとスプレーモレッド。当初の3色を見ると、やはり男性層に向けた端末として開発されたことが納得できる。グラツィアホワイトのみ光沢仕上げで、ほかはつや消し仕上げ。濃い色を光沢グロスにすると、付着する指紋が目立ちやすくなるための対処だという

 本体カラーは全5色。au端末としてはかなり多いのが特徴だ。

 もともとは「ルッソブルー」と「グラツィアホワイト」「フィーノブラック」の3色で展開する予定だった。しかし、完成間際になって「ジェンティーレゴールド」と「スプレーモレッド」が急遽加えられたという。ジェンティーレゴールドとスプレーモレッドのみ発売が遅かったのはこういった経緯があったためだ。

 「KDDIさんに、“W61Pは、色を増やすとさらに効果がある機種”ということを認めてもらえたのかなと思っています」(細井氏)

 「最初は3色で決めていたので、でき上がった世界観を崩さずに新たな色を追加して“5色で完成”させるのはかなり難しい作業でした。ピンクやオレンジ、グリーンといった色も検討しましたが、端末のテーマを想定した結果、“かわいらしくなりすぎてしまう”といった理由で採用には至りませんでした」(大西氏)

 デザインのこだわりは内蔵コンテンツにも及ぶ。こちらも前機種のW51PとW52Pに通じるところだ。“デザイン界におけるオスカー賞”とも言われる「iF賞」を受賞したW51PとW52PのメニューUIのグラフィックデザインを継承し、W61Pでも注力した項目の1つだ。「Paint」「Pastel」「Flight」の3つのデザインテーマは、季節や時間帯などに応じて合計約1800種類もの異なるパターンで切り替わる。

 画面デザインの中には時計を組み込んだものも用意する。UIデザインのテーマと合わせた時計で日付や時刻もその気分のままチェックしてもらいたいという考えから作成された。

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 「待受画面に時計を表示すると、壁紙のデザインを隠してしまうことがあります。それがもったいないなといつも思っていました。また、時刻もきちんとデザインされた時計で見たい──。そんな意見が多く寄せられていたので、デザインに合わせた時計も組み込みました。テーマに沿ったイラストと一緒に表示できるので、ただのFlash時計よりも気分よく使っていただけると思います」(大西氏)

デザインと操作性でせめぎ合って完成した「レリーフキー」

 外観デザインの意図は、ディスプレイを開けると現れるダイヤルキーにも込めた。

 W61Pは“レリーフキー”というダイヤルキーを採用する。独立したボタン型ではない、いわゆるシートキーだが、数字やアイコンなどの各文字を凸形状に造形した独特のデザインに仕上げたのがポイントだ。文字そのものがキーを押す目印になると同時に、見た目もシンプルで美しい。薄型にこだわったW61Pを象徴する要素といえる。

photophoto デザインテーマと使い勝手を両立するW61Pの“レリーフキー”(左)。W61PとW52P、W51Pのダイヤルキーを比較(右)

 「表面デザインが洗練されているのに、ディスプレイを開けたらそのイメージとは違う“普通”のキーがあったら興ざめしてしまうかもしれないと思いました(笑)。ただ、キーの押しやすさや操作のしやすさはケータイとして絶対に外せない要素です。デザインテーマと使い勝手を両立させるにはどんな手法があるか。そこで浮かんだアイデアがこのレリーフキーでした」(大西氏)

 このレリーフキーが実現するまで、「デザインと使い勝手のどちらをとるか」という議論は長期に渡って行われた。

 「ケータイでキーを押す。当たりまえの動作ですが、操作性、ひいては端末そのものの評価も左右するほどにもなる非常に重要な要素でもあります。また、“シートキーは押しにくい”という概念がある人も少なくないことでしょう。デザイン的に優れていてもシートキーはユニバーサルデザインの観点からまずいのではないかなどと、かなり揉めました」(大平氏)

 ボタン型のキーは枠で囲まれ、“このキーを押すとこう動作する”というように視認しやすく作られているが、その枠がなくなるとそれがあいまいになってしまいかねない。その一方で、表面のデザインと同じようにディスプレイを開けたときにも感じてもらえる、洗練されたデザインテーマも大切にしたかった。

 「視覚的に押しにくそうでも“実際に操作すれば押しやすい”という評価に行き着くならいいではないかという結論になりました。前モデルのW51PとW52Pのダイヤルキーをシートキーに変更したテスト機を作成してユーザー調査をしたところ、“最初は押しにくそうと思ったけど、操作すると意外にそうでもない”という評価をいただきまして、この方向性で進める決心がつきました」(大平氏)

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 凸形状の文字はアクリルウレタンという透明の素材で形成されている。ゴムのように弾性がある部品であり、押すとつぶれるが、離すと元の形に戻る。その工法は通常のシートキーと大きくは変わらないが、ボディと同じ色をキーの裏面に入れてある。その文字と色がずれないように合わせるのが困難だったという。

 「アクリルウレタンはかなり丈夫な素材です。705Pやドコモのiμシリーズで、弊社のシートキーのノウハウがかなり蓄積してあったこともよいタイミングでした。ちょっとの摩擦で取れたり破れたりすることはありません」(大平氏)

 もちろん、ボタンの枠がない分、文字デザインや配置はかなり手間をかけて工夫したという。例えば、多くのケータイが数字の横にひらがなとアルファベットの文字を配置するのに対し、指に触れる立体造形の数字部分を大きくするとともに、その下にひらがなとアルファベット文字を配置する。

 「横に併記すると、それこそどこを押していいか分かりにくくなります。中心線からもずれるので余計にその印象が強くなります。言われてみて“あぁ、そういえば”と思いつくほど自然にデザインできたと思います」(大平氏)

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