韓国でもさまざまな携帯電話の春モデルが発表された。どの端末も、フルブラウジングやHSDPA、タッチパネル、そして目を引くデザインなど、今のトレンドがふんだんに盛り込まれている。また、有名シリーズの後継機や、海外展開を視野に入れた世界戦略端末など、話題モデルが多いのも特徴だ。
韓国の人気端末と言えば、Samsung電子製の「横本能」がおなじみだ。この春は横本能シリーズをはじめ、有名なシリーズの後続機が次々発表されているが、もっとも注目を浴びているのがLG電子の「Secret」(LG-KF750)だ。
これは「チョコレートフォン」や「Shine」などを率いる「ブラックラベルシリーズ」の第3弾モデル。コンセプトが“Style that lasts”(時が流れても変わらないスタイル)というだけあり、飽きの来ないシンプルなデザインが特徴となっている。
大きさは102.8(高さ)×50.8(幅)×11.8(厚さ)ミリで、重さは116グラム。タッチパネル付きのメインディスプレイは2.4インチのQVGA液晶を採用した。モーションセンサーを搭載し、端末を傾けても画面の上下が自動調整されて天地を保つようになっている。また、利用する環境の明るさに合わせてディスプレイの輝度を自動調整するなど、画面の見やすさにもこだわった。内蔵メモリは100Mバイト、外部メモリとしてmicroSDに対応した。カメラは500万画素だ。
本体裏面にはカーボンファイバー、ディスプレイには強化ガラスを採用するなど、きゃしゃに見えるが衝撃には強いつくり。裏面には織物のような独特の模様を施すことで高級感を出している。
Secret は2008年の春に欧州で販売され、韓国市場には2008年下半期に登場予定だ。あのブラックラベルシリーズの後続機ということで、アーリーアダプタ層の間で注目が高まっている。ちなみに日本での販売予定は「未定」(LG電子)という。2機種合わせて世界で2500万台以上を販売した前作ほどのヒットとなるのか、注目したい。
韓国では、特定のセグメントをターゲットとした携帯電話が日本ほど多様ではない。ただ、その中でも光る存在なのが、中高年齢層を狙ったLG電子の「ワインフォン」だ。これは「ワインのように成熟した世代のための携帯電話」ということで、2007年5月に第1弾が発表された。この「3040フォン」(LG-SV300:SK Telecom、LV3000:KTF)というモデルは、大きめのボタンや文字、スピーカーのほか、カメラのマクロ機能を利用した虫めがね機能などが中年層に支持され、これまでに50万台以上を売り上げた。
最近発表された第2弾(LG-SV390:SK Telecom、KV3900:KTF、LV3900:LG Telecom)は、メインディスプレイが2.4インチと前モデルの2.2インチより大きくなり、本体前面と裏面をそれぞれ革のような素材を用いて質感とグリップ感を高めている。
ところで、携帯電話を使っていて困るのは、通話中に第3者の電話番号を聞かれた場合、すぐにアドレス帳を確認できない点だ。中高年ユーザーの多くは、電話を一度切った後にアドレス帳で番号を探してメモに残し、あらためて電話をかけたりメールを送っているという。そうした手間を省くため、今回のワインフォンにはアドレス帳で探した番号をすぐにメッセージに貼り付けて送信できるようにし、このメッセージから相手に電話をかけられるといった工夫を盛り込んだ。
このほかFMラジオやメールの音声読み上げ、キー入力練習ゲームなど、これまでの若者向け端末にはなかった便利な機能が、ふんだんに盛り込まれている。
Samsung電子からは「ミニスカートフォン シーズン2」(SCH-C225:SK Telecom/SPH-C2205:KTF/SPH-C2255:LG Telecom)が登場した。これは2007年5月に販売されたミニスカートフォン(SCH-C220:SK Telecom/SPH-C2200:KTF/SPH-C2250:LG Telecom)とデザインは変わっていないが、本体のカラーや新たな機能が追加されている。
追加されたのは、人が笑った瞬間を自動的にとらえて撮影する「スマイルショット」機能だ。平らなタッチキーは押すたびに振動するようになった。
また、これまでのミニスカートフォンは、ホワイト/サファイアブルー/ガーネットレッドという3色のカラーバリエーションだったが、新たにキャラメルオレンジ/インディピンク/ブルーグリーンといった春らしいパステル調のカラーが追加された。
地味な存在ではあるが、時折あっと言わせるようなヒット端末を出すことのあるEVERブランドのKTFTからは、「ブラスホリック」(EV-W350:KTF)の後続モデル「プラススタイル」(EV-W370:KTF)が発売された。
ブラスホリックは、HSDPA対応のほか、ナビゲーション機能の「SHOW ナビゲーション」や、2つの携帯電話番号を1つの端末で利用できる「ツーフォン」サービスを利用できたことから人気があった。
後継のプラススタイルフォンは、上記の端末の機能はそのままに、それに加えて「ミラー機能」があるのが特徴。これはテレビ電話の際に利用する前面にあるカメラで、自分の顔をディスプレイへまるで鏡のように映し出す機能。プラススタイルという名前の由来も、こうした点から来ているようだ。
Samsung電子の「SOUL」は、2月に行われた「Mobile World Congress 2008」で初お目見えした携帯電話。同社が世界的に展開しているプレミアム携帯電話シリーズ「Ultra Edition」の1つで、Hapticフォンと並ぶ、同社の2008年版戦略的モデルだ。SOULは「the Spirit Of ULtra」の略字である。
SOULの大きな特徴は「DaCP(Dynamic Adaptive Control Pad)」と「Personal UI」の2点。DaCPはメイン画面下にあるナビゲーションキーパッドに表示されるアイコンが、現在使っている機能により変わるというものだ。例えば、音楽を聴いているのであれば再生や停止といった音楽関連のアイコンが、写真撮影中はタイマーやフラッシュといったカメラ関連のアイコンが表示される。
Personal UX(User eXperience)は、UIのフォントや壁紙、カラーなどを自由に変え、それらの組み合わせであるUIテーマを決められるというもの。例えばフォントはゴシック、カラーは水色、壁紙は花の写真の組み合わせで「花」というテーマのUIを、ユーザー自らが生成することが可能だ。
このように、自由度が高く遊び心のある機能はHapticフォンとの共通点であるといえ、今後のSamsung携帯にも搭載される可能性が高い機能といえる。SOULはドイツやフランスなど欧州5カ国で販売されているが、5月末〜6月ごろには韓国市場での販売も予定されている。
Mobile World Congress 2008に出品された製品としては、LG電子の「タッチライティングフォン」(LG-KF510)も挙げられる。タッチライティングという名称は、タッチパッドによる操作感が独特で、指の動きに合わせてさまざまな模様が画面に描かれるのが理由だ。タッチした際は軽い振動が起こる。
タッチライティングフォンは欧米やアジアなど世界50カ国で同時販売されるもので、これにはブラックラベルやプラダケータイのように高いデザイン性を売りにヒットモデルとして育てたいという、LG電子の意図が見える。
そのデザインだが、スタイリッシュなフルメタルフレームを採用しているほか、「スターダスト・ダーク・グレー」「サンセット・レッド」というグラデーションを強調した2種類のボディカラーが華やかな印象を与える。
ディスプレイはスマートパワーセービング機能により、周囲の環境によって画面の明るさを自動的に調節。LG電子によると、これにより既存製品の29%までバッテリー消費量を節約できるという。
LG電子の世界戦略携帯には「タッチダイヤルフォン」(LG-SH650:SK Telecom/KH6500:KTF/LG-KF700:国外キャリア向け)もある。
この端末は、タッチパネルのほかにタッチセンサーとクイックダイヤルという、合計3つの入力方法を利用できるのが特徴だ。クイックダイヤルは背面の上部にあるダイヤルで、ひんぱんに利用する機能を最大6つ登録できる。
タッチパネル携帯はここのところ急激に数を増やしているが、まだ慣れない人も多い。従来の慣れた入力方法を使いつつ、タッチパネルにも親しめるようにするのが、この端末の狙いだ。
例えば、同端末に搭載されているAF機能付き300万画素のカメラを利用する場合、クイックダイヤルでカメラ機能を呼び出し、タッチスクリーンで16:9ワイド撮影といった撮影モードを選択、撮った写真のタイトルをキーパッドで入力する、というように、その時の便宜によって入力方法を選択できるのが大変便利だ。
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