「iPhone 3G」がもたらす“ケータイの未来”(3/3 ページ)

» 2008年07月10日 00時01分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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杞憂に終わった「3つの心配」

 ところで、iPhone 3Gを日本で使うにあたり、筆者は3つの心配を抱えていた。それは「通信インフラの実力」「バッテリーの持ち時間」そして「日本語入力環境の快適さ」である。これらの点は、多くのユーザーがiPhone 3Gに抱く不安でもあるだろう。

 1つめの「通信インフラの実力」は、ソフトバンクモバイルがどれだけしっかりとエリア構築をしているかが重要な点になる。筆者は常に3キャリアのケータイを持ち歩いているが、それをこの2週間、iPhone 3Gを使うためにソフトバンクモバイルをメインキャリアとして使ってみた。

 結論からいえば、今のソフトバンクモバイルのインフラは十分に合格点がつけられる。屋内エリアに浸透する電波の強さでは、さすがにドコモやauより見劣りするが、それでも通話・通信がまったくできないケースはほとんどなかった。また特に心配していたHSDPAエリアも、ドコモのように全国あまねく広がっているわけではないものの、この2週間で筆者が試した東京と福岡の市街部は十分に充実していた。HSDPAの環境下であれば、iPhone 3Gは本領発揮とばかりにブラウザやメールがサクサク動く。

 またiPhone 3Gには802.11b/gの無線LAN機能を内蔵しており、自宅だけでなく、駅や空港の公衆無線LANアクセス環境が使えるのも強みである。

Photo iPhone 3Gは3Gインフラだけでなく、無線LANの使い勝手もよい。空港や駅、カフェなどに有料・無料の公衆無線LANアクセスがあれば、そちらと接続し、より高速なネット接続が利用できる。写真は羽田空港のANAラウンジだが、無料の無線LANサービスに問題なくつながった

 なお、蛇足ではあるが、iPhone 3Gのアンテナピクトは5段階表記で、日本メーカー製の携帯電話よりも判定がシビアだ。そのため日本の携帯電話でアンテナ表示が3本の場所でも、iPhone 3Gでは1〜2本というケースがよくあった。しかし、アンテナ1本でも通話・通信は安定している。iPhone 3Gに限らず、海外メーカー製の携帯電話ではアンテナピクトが5段階表示で細かく電波状況を表示するものが多いが、これは逆説的にいえば、日本の携帯電話のアンテナ表示が“甘すぎる設定だ”と言えるのかもしれない。

 次に「バッテリーの持ち時間」について報告しよう。周知のとおり、iPhone 3Gの連続待ち受け時間は最大300時間、連続通話時間は最大5時間と公表されている。しかし、あくまでこれらは理想的な環境下で測定された「理論値」である。

 この2週間は、移動中は常にiPod機能で音楽を聴き、メールやWebブラウザを頻繁に使い、なおかつ仕事で電話もよく使うという利用環境で、かなりiPhone 3Gを使い込んでいたため、朝フル充電した状態から夜9〜10時ごろになるとバッテリー残量20%の警告がでるというケースが多かった。しかし、それでも1日1回満充電にすればバッテリー切れを起こすことはなかった。バッテリーの容量は必要十分であるというのが筆者の評価である。

 しかしその一方で、iPhone 3Gは多機能・高性能な分、今までの携帯電話よりもバッテリーの充放電が頻繁に起こることは想像に難くない。となれば当然ながら、バッテリーパックの寿命は一般的な携帯電話よりも短くなるだろう。iPhone 3Gのバッテリーパック交換価格や方法は不分明であるが、ここはユーザー本位でしっかりとしたサポートをしてほしい部分だ。

 最後に「日本語入力の快適さ」の部分だが、ここは従来のQWERTYキーボード型の入力方式に加えて、新たに「KANA」が加わったことで、利用シーンに応じて使いやすい入力方式を選べるようになった。この選択肢の広がりにより、タッチパネルならではの使いやすさを実現したと筆者は感じている。

PhotoPhoto 日本語入力は新搭載の「KANA」とQWERTY方式のフルキーボードの2種類を切り替えて使える。片手入力はKANA、両手で使うならフルキーボードの方がすばやい入力が可能だ。物理キーのように押し込んだ感覚はないが、ボタンサイズが大きく、すぐに入力には慣れてしまった

 まず、多くのユーザーが注目する「KANA」だが、ここではソフトウェアキーボードの柔軟性を生かし、ボタン1つあたりの単位面積を大きくとっている。このため片手持ち・親指入力も難しくない。

 QWERTY入力方式はiPod touchにも搭載されていたが、iPhone 3G用に細部の仕様に変更が施された。具体的には、漢字変換候補が表示される位置をインライン入力中のカーソルキーの右下にし、キーボード上にあった変換候補の表示ボックスがなくなっている。これにより入力ボタンのサイズが少し大きくなり、英文入力用のキーボードに近い使い勝手になった。とはいえ、KANAに比べると1つ1つのボタンが小さいので、親指入力だとミスタイプが発生することが多かった。キーボード入力は片手でiPhone 3Gを持ち、別の手の人さし指か中指でタップして使うと、すばやい入力ができるだろう。

 入力方式だけ見れば、iPhone 3Gのそれは日本市場向けによく作り込まれており、「タッチパネルだから使いにくい」と食わず嫌いを決め込むにはもったいないものになっている。だが、その一方で、iPhone 3Gの日本語入力にまったく不満がなかったかというと、それはうそになる。筆者が抱いた不満は、日本語入力時の「反応速度にばらつきがある」ところだ。

 メール作成時など文字入力の重要性が高く、しかも画面がシンプルなシチュエーションではiPhone 3Gの日本語入力は不満のないスピードで動作する。しかし、Safariやマップの利用時など、画面上の情報量が多いところで日本語入力をすると、文字入力や変換速度が遅いことがたびたびあったのだ。英文入力だとそういったことはないので、これは日本語入力ソフトと負荷が大きいアプリケーションとのチューニングが進んでいないがゆえに起きる現象だろう。iPhone 3Gはソフトウェアアップデートで機能改善できるという強みがあるので、“日本語入力処理のチューニング”は最優先でしてもらいたいところだ。

iPhone 3Gは「5年後の未来」

 iPhone 3Gを日常的に使ったこの2週間、筆者はずっと5年後の未来に時計を早回しにしたような感覚を持っていた。インターネットの世界にシームレスにつながり、さまざまなデジタル情報にダイレクトに触れて操る。そこにはケータイの未来、コンピューティングの可能性があふれている。率直に言おう。iPhone 3Gのある生活は、とても楽しく、エキサイティングだ。

 7月11日、iPhone 3Gが発売される。

 多くの人に、未来と接する楽しさを体験してほしいと思う。

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