時間にとらわれず、見たいときに見たいものを――次世代ワンセグでドコモが目指すサービスの形ワイヤレスジャパン2008

» 2008年07月29日 00時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo NTTドコモ フロンティアサービス部 新事業アライアンス担当部長の石川昌行氏

 2011年に停波するアナログテレビの空き周波数帯を巡り、次世代マルチメディア放送の2つの有力規格、MediaFLOとISDB-Tmmがアピール合戦を繰り広げている。日本のケータイキャリアは、KDDIとソフトバンクがMedia FLOに関する技術調査や同技術を用いたサービスを検討する企画会社を設立し(記事1記事2参照)、ドコモがフジテレビ、ニッポン放送、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、伊藤忠商事らとISDB-Tmm方式による携帯向けマルチメディア放送を推進する企画会社を立ち上げるなど、支持は二分している。

 総務省がマルチメディア放送懇談会の報告書案を提示するなど、議論が大詰めを迎える中、ワイヤレスジャパン2008のカンファレンスに登場したNTTドコモ フロンティアサービス部 新事業アライアンス担当部長の石川昌行氏が、次世代マルチメディア放送で目指すサービスのイメージを明らかにした。

 「ケータイの機能向上、ネットワークの高速化に付随して、多様な動画コンテンツが登場しており、(ケータイが)動画の世界に一歩入ってきたと思っている。そうはいいながらも利用者はいったい、どういうふうにケータイで動画を見るのか。ここは(次世代マルチメディア放送が始まる)2011年に向けて気になるところ」(石川氏)

いつでもどこでも、見たいときに見たいものを

 次世代マルチメディア放送サービスを提供するにあたり、石川氏が重要なポイントとして挙げるのは“時間ができたときに、好きな場所で視聴できる”ことだ。「時間に依存した見方とは違ってくる」(石川氏)

 “まだ、どのような形で提供するかは決まっていない”と前置きした同氏だが、説明する配信イメージは「ポットキャスティングを放送波を使って落とすような、知らないあいだに、自分が欲しいと思うコンテンツが落ちてくる」というものだ。「手のひら(端末)に放送波で24時間、いつでもどこでも欲しい情報が届いている。個人に合ったコンテンツを何十、何百と端末内に貯めていく」(石川氏)

 次世代マルチメディア放送では、テレビ番組などの動画コンテンツだけでなく、テキストやアプリ、写真、音楽なども配信できることから、新聞や雑誌、小説の配信も可能になると石川氏。「新聞なら写真を動画にするような新しい見せ方ができ、小説を読み上げるようなサービスも提供できる。さらに自分が欲しいコンテンツだけでなく、(ユーザーの新たな発見につながるような)アンノウンファクターを入れ込む必要がある」(石川氏)。こうした蓄積型コンテンツと従来型のリアルタイム放送の組み合わせで、通信と放送の融合を生かしたコンテンツを配信できるとした。

 さらにケータイが生活インフラとして定着していることから、(おサイフケータイなどの)決済機能と連携した新たな広告や販促モデルの登場も期待できるという。「(むりやり見せるのではなく)ユーザーが選んで見る世界になるので、新しいビジネスモデルができるかもしれない」(石川氏)

メタデータの利用がポイントに

 石川氏が次世代マルチメディア放送で重要になると見るのが「メタデータ」の利用だ。同氏はドコモが放送と通信との融合を目指すプロジェクトとして実施した「OnQ」の例を挙げ、その利点を説明した。

Photo 放送と通信の融合の可能性を検討することを目的にドコモが開発したコンセプトモデル「OnQ」

 OnQは、見ている番組の気に入ったシーンに印を付ける機能を備え、これをメタデータとして仲間に送信することで、お気に入りのシーンをレコメンドしたり共有したりできる。また、左にテキスト情報、右に動画ビューワを表示した状態で、テキスト上の気になる単語をクリックすると、その単語に対応したシーンから動画がスタートするという機能も用意される。こうした形でメタデータを利用すれば、動画の見方がさらに広がると石川氏は予測する。「気に入ったところを見るのもいいし、最初から見るのもいい。友達が面白いといったメタデータのところから見るということもできる」(石川氏)

Photo OnQで訴求したサービスイメージ。メタデータの活用がコンテンツ利用の幅を広げると石川氏

 さらにメタデータはコンテンツや端末内だけで閉じるのではなく、インターネットの世界からさまざまな情報を取ってくることができるのも重要だとした。「検索との連携もできると思っている」(同)。そして権利関係の問題から第三者が付けたメタデータには問題があると言われるが、今後はそれを許容する世界があってもいいのではないかという見方も示している。

いろいろな人が参加できる環境を――次世代マルチメディア放送の課題

 放送と通信が融合した時代のマルチメディア放送は、「放送」「通信」という枠に収まらないサービスになることから、著作権などの権利処理についても、「初めから通信も想定した権利処理を経てコンテンツを作る必要があるだろう」と石川氏は指摘する。

 また、これまでにないサービスを成功させるためには、「新しい血が必要」とも話す。「ケータイキャリアや放送局だけではない、いろいろな人が参加できる環境が必要。できるだけそうした場を作っていきたい」(石川氏)

Photo ドコモが考える次世代マルチメディア放送のサービスイメージ。石川氏は「今後は通信メディアでもブロードバンドでも同じコンテンツを意識せずに取得できる時代になってくる」と話し、そこですべてを橋渡しできるメタデータが重要になるとした

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