5分で分かる、先週のモバイル事情8月2日〜8月8日

» 2008年08月11日 07時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

ソフトバンクが決算発表、通信大手3キャリアの決算が出そろう

Photo 決算会見に登壇したソフトバンクの孫正義社長

 8月5日、ソフトバンクモバイルが2009年3月期第1四半期の決算を発表。売上高が前年同期比2.4%減の6472億5500万円、営業利益が前年同期比8.1%増の850億8600万円となり、減収増益という結果になった。同社の事業を牽引する移動体通信事業単体では、売上高が前年同期比4.9%減の3725億8500万円、営業利益が前年同期比1.7%増の442億7300万円となっている。

 決算会見に登壇した孫正義社長は、売上減の原因について、割賦販売(新スーパーボーナス)の導入でユーザーの買い換えサイクルが長期化し、機種変更による端末の販売台数が34%減ったためと説明。これにより端末の売上が約139億円減少したが、孫氏は想定内であるとし、「端末を長期間利用するユーザーにもフェアな状態になった」という。

 もう1つの売上減の原因とみられるARPUの減少については、「実は底打ちをして、きちっと順調に横ばいで推移している」と孫氏。その根拠としてARPUの計算方法に触れた。

 従来のARPUは、単純に通信料収入を元に計算していたが、これはかつての販売奨励金として支出された端末代金の一部を含んだ通信料金と異なり、今のソフトバンクモバイルの通信料金は新スーパーボーナスでユーザーが支払っている端末代金が含まれていない。そのため、通信料収入だけを見ると大幅に低下しているように見えるが、端末代金の割賦支払金を含めた金額で見ると、5500円前後で安定しているというのがその理由だ。「ソフトバンクは月々の割賦代金を含めた額をARPUとすべき」とし、「この方式でARPUを算出すると、けっしてARPUは減っていない」と主張した。

 孫氏はまた、今後の同社の端末ラインアップにカシオ計算機製端末が加わることも明らかにしている。

 なお、ソフトバンクが決算を発表したことで、通信大手3キャリアの今期の決算が出そろった。NTTドコモ減収増益KDDI増収減益ソフトバンク減収増益で、この第1四半期を終えたことになる。

auが初のMNP転出超過に――7月の携帯契約数

 8月7日、電気通信事業者協会(TCA)が7月末時点の携帯電話・PHS契約数を発表した。携帯電話の契約数は1億403万9900で、6月から39万1600の増加となった。

 純増数はソフトバンクモバイルが21万5400(ダブルナンバー:1300)、NTTドコモが9万4200(2in1:6万8200増)、イー・モバイルが6万5000、KDDI(au)が1万7000。KDDIは番号ポータビリティの転入転出数が、制度開始後初の転出超過となるなど、7月は不振に終わった。

 PHSは2100の純増で、累計契約数は461万6900となった。

KDDI、フィルタリングサービスに「ブラックリスト」方式を採用

 KDDIは10月から、EZwebの未成年ユーザー向けのフィルタリングサービスを「ブラックリスト」方式に変更すると発表した。

 これまでは、親権者が「EZ安心アクセスサービス」の利用を意思表示しなければ、「EZ安心アクセスサービス 接続先限定コース」(ホワイトリスト方式)を適用していたが、フィルタリングサービスの改善に関する総務大臣の要請を踏まえてこれを変更。親権者からEZ安心アクセスサービスを利用しないという意思表示がない限り「EZ安心アクセスサービス 特定カテゴリ制限コース」(ブラックリスト方式)を適用する。なお、小学生以下のユーザーには、従来どおりEZ安心アクセスサービス 接続先限定コースを適用する。

 未成年利用者向けのフィルタリングサービスについては、ソフトバンクモバイルイー・モバイルがブラックリスト方式を採用しており、ドコモも8月1日からブラックリスト方式に変更した。

ソフトバンクモバイル、スマートフォンのパケット代を2段階定額制に

 ソフトバンクモバイルが、iPhone 3GやXシリーズの端末で利用できる定額サービス「パケット定額フル」の料金を2段階定額制に改定すると発表した。

 これまでパケット通信量にかかわらず月額5985円の固定定額サービスとして提供していたパケット定額フルの料金を改定し、8月請求分から月額1695円〜5985円(パケット通信料は0.084円/パケット)に変更。月々2万175パケット以下なら1695円、それを超えると1パケットあたり0.084円の従量課金になり、7万1250パケット以上は5985円で固定になる。

 合わせてiPhone 3G用のメールサービス「Eメール(i)」のサーバ保存期間を無期限に延長することも発表。これまでの200Mバイトもしくは最大5000件を、30日間に限って保存する仕様を、200Mバイトもしくは5000件という容量はそのままに、保存期限を無期限に改訂する。

ドコモ、ムーバの新規受付を11月末で終了

 NTTドコモが、2G(PDC)ネットワークで提供している「ムーバ」の新規受付を11月30日をもって終了すると発表した。ムーバの契約数は7月末時点で約813万と減少が続いており、ドコモは3GサービスのFOMAに経営資源を集中させるとしている。なおドコモは、2Gサービス自体の終了時期については未定としている。

 ムーバの新規申し込み受付終了に伴い、8月8日以降はムーバからFOMAに契約変更するユーザーについては、契約事務手数料2100円を無料とする。また、ドコモプレミアクラブ会員向けに提供している「電池パック無料サービス」も、ムーバ端末に関しては11月30日をもって終了する。

 2Gサービスは、KDDIグループのツーカーが2008年3月31日をもって停波。ソフトバンクモバイルは、2010年3月までにサービスを終了することを明らかにしている。

世界初のHSPA+データ通信に成功――Qualcomm

 米Qualcommは7月31日(現地時間)、高速通信規格のHSPA+(High-Speed Packet Access Plus)ネットワーク技術を使ったデータ通信に世界で初めて成功したと発表した。

 HSPA+は既存のW-CDMA/HSDPAのネットワークと互換性があることから、通信キャリアが既存のネットワークや周波数帯リソースを生かして高速化を図れるのが特徴。既存のHSPAと比べて、ネットワークのデータ通信容量を2倍に、音声通信容量を3倍にでき、最新のHSPA+ Release7は、下り最大28Mbps、上り最大11Mbpsのデータ通信を実現するという。

 HSPA+(HSPA Evolution)については、日本エリクソンもソリューション開発に注力している。LTEとHSPA Evolutionの棲み分けについて、同社 北東アジア チーフ・テクノロジー・オフィサーの藤岡雅宣氏が「HSPA Evolutionは主に、現状、HSPAを導入している通信事業者が基地局のハードウェアに手を加えずに導入できる点を訴求し、LTEは、新たな帯域の免許を取得した通信事業者や、CDMA2000から移行するなど新たな技術を入れようとしている通信事業者にプロモーションする」と説明している。

悲願達成――日本通信がドコモのFOMA回線を利用したMVNOサービスを開始

 日本通信が8月7日、ドコモのFOMA回線を利用したMVNOサービス「b-mobile3G hours150」の提供を開始した。

 b-mobile3G hours150は、全国のFOMAエリアで数百kbpsのデータ通信が可能な“買い切り方式”のデータ通信サービス。製品は中ZTE製のUSB対応3Gデータ通信端末と専用ソフト(bアクセスソフトウェア)、最大150時間分の通信接続権(480日間有効)がワンパッケージになっている。住所や氏名を登録したり、回線利用契約をキャリアと結ぶことなく手軽に利用できるのが特徴だ。実売予想価格は3万9900円。更新用のライセンスは2008年秋の発売を予定しており、150時間で3万円程度を想定している。

 日本通信は8月6日にドコモとのFOMA網相互接続に間して協定を結び、翌7日からサービスを開始。接続料はドコモの原価と適正利潤から算出され、10Mbpsあたり月額1500万円だという。同社代表取締役社長の三田聖二氏は、「ホールセールではなくキャリアの3G網に相互接続するMVNOは日本通信が世界初」だとし、相互接続であれば、MVNO事業者が好きな料金でサービスを提供できるとアピール。サービスに利用する端末が、ドコモのコントロールを受けていないことにも触れ、「MVNOと端末メーカーがMNOから独立して端末をリリースするのは世界初であり、実に画期的なこと」と自信を見せた。

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