携帯電話の高機能化に伴い課題として浮上してきたのが、携帯電話のバッテリー容量の問題だ。この課題については、バッテリーの持ち時間を長くするというアプローチがある一方、切れたバッテリーをいかに手軽に充電するかの研究も進んでいる。
この後者の取り組みを進めているのが、村田製作所とセイコーエプソンだ。両社は、“置くだけ”でモバイル機器を急速充電できる「非接触急速充電システム」の開発を進めており、その成果をCEATECのブースで披露している。
ブースでデモを展開しているのは、セイコーエプソンの電磁誘導方式による電源供給技術と、村田製作所の急速充電バッテリーを組み合わせて開発したワイヤレス急速充電システムだ。
現行のモバイル機器を充電するには、専用の充電器に取り付けたり、機器をACアダプタに接続する必要があり、それが出先などでの充電を困難にしている。
両社が開発を進める非接触急速充電システムは、充電器と機器の端子を接続することなく、短時間で充電できるのが特徴だ。充電器側はフラットな台のような形で、利用者はその上にデバイスを置くだけでいい。
これは「電磁誘導方式」を採用することで実現しており、充電器側のコイルで磁場を発生させることで、機器側のコイルに電圧を発生させ、電力を電送している。
「平たい充電台の上に、電力伝送に対応するモジュールと電池が入ったモバイルデバイスを置くと、それだけで充電できる。通常なら1時間から1時間半くらいかかる充電を、10分から15分くらいでほぼ満充電にできる」(説明員)
商用化の課題となっていたバッテリーサイズは、2007年の同イベントで展示したものに比べて大幅に小型化されたと説明員。今後はモバイル機器に入るレベルまでの小型化と、現在使われているのと同等のバッテリー容量の実現に向けて開発を進め、2010年の量産化を目指すとしている。
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