HSUPA導入と“音声通話可能”なデータ端末の投入でUMPC市場も賑やかに――イー・モバイル

» 2008年11月06日 23時37分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo イー・モバイル 執行役員副社長の阿部基成氏

 イー・モバイルは11月6日、同社の「EMモバイルブロードバンドサービス」にHSUPA規格を採用し、11月20日から上り最大1.4Mbpsの高速通信を提供すると発表した。イー・モバイルはすでに下り7.2Mbpsの高速HSDPAサービスを2007年12月から提供しており(2007年11月の記事参照)、ほかのW-CDMA採用キャリアに先駆けてHSUPAに対応した日本初のキャリアとなる。

 上り1.4Mbps/下り7.2Mbpsのパケット通信が行えるのは、USBスティック型データ通信端末のHuawei製「D21HW」とLongcheer Technology製「D21LC」、NECインフロンティア製PCカード型データ端末「D21NE」の3モデル。これらの発売に合わせて、回線契約を継続しての端末買い増しにも対応する。

 発表会で登壇したイー・モバイル 執行役員副社長の阿部基成氏は、「人間はぜいたくなもので、モバイルブロードバンドサービスを日常的に使っていると、上り(アップロード)がちょっと遅いかなと思うことがある。そこで今回は上り最大1.4MbpsのHSPUAに対応し、現在の上り最大速度(384kbps)から約3倍高速化する。プレゼンテーションファイルや写真を添付したメール、ブログの更新、動画ファイルのアップロードも素早く行えるだろう」と、HSUPA導入のメリットを説明。また、UMPCなどモバイル環境で使うPCでのWebストレージ活用にも期待を寄せた。

photophoto HSUPAに対応する「D21LC」「D21HW」「D21NE」(写真=左)。同日発表された「Eee PC S101」(写真=右)も登場し、UMPCと同社データ端末との組み合わせをアピールした

photophotophoto アップロード速度を1.4Mbpsに高速化するHSPUA規格。ブログの更新や動画のアップロードがより快適に行えるようになるという。テスト環境では1.3Mbpsを超えていた

 ダウンロードを高速化するHSDPAに1.8Mbps/3.6Mbps/7.2Mbpsといくつかの段階があるように、HSUPAも0.73Mbpsから1.4Mbps、最大5.7Mbpsとカテゴリが分かれている。「HSUPAも高速化のロードマップがあるが、まずは上り最大1.4Mbpsを提供する。当然、トラフィックは増えるだろうが料金は据え置く」(阿部氏)

 気になる対応エリアだが、11月6日時点での同社の人口カバー率は約85%。11月20日のHSUPAサービス開始時には、全国47都道府県の主要地域など自社サービスエリアの40%で高速化する。その後、2009年3月までに自社サービスエリア全体をHSUPA化する見込みだ。

 また実効速度については、「現在と同じでは意味がないので、少なくとも384kbpsの倍は出るようにしたい。我々は人口カバー率そのものを拡大している最中だが、接続が集中するとどうしても混むエリアも出てくる。現在、そういった点も含めて増強しているところだ」(阿部氏)と語った。

 発表会では、D12LCを使ってイー・モバイル社内で行われた接続テストの様子がビデオ上映された。それによると、約1.2Mバイトと約2.15Mバイトの画像ファイルをインスタントメッセンジャー経由で転送した場合、約1.2Mバイトなら約7秒、約2.15Mバイトなら約14秒で送信を終了。回線速度の計測サイトに接続するデモでは、上り1.3Mbps/下り4.6Mbpsという計測結果を記録していた。イー・モバイル社内でのテストとはいえ、かなり期待できる数値と言えるだろう。

通話できるデータ端末とは?

 発表会ではHSUPA対応のデータ端末以外に、中国Huawei製の音声端末「E.T.」(H12HW)と、中国Longcheer Technology製のデータ端末「H11LC」も登場した。E.T.は、2008年6月発売の「H11HW」に続くHuawei2台目の日本向け音声端末。H11LCはUSB接続のHSDPAモデムだが、マイクとスピーカー、ダイヤルキーと有機ELディスプレイを備え、音声通話と(外部メモリ内の)MP3再生が行える変わり種だ。

Huawei製の音声端末「E.T.」(H12HW)

Longcheer Technology製の通話できるデータ端末「H11LC」。メールとWebブラウザ機能がないため、子ども向けのシンプルなケータイとしてもお勧めだという

 スマートフォンを含め、同社の音声端末はすべて外部モデム機能を持っているため、“通話できるデータ端末”というH11LCのコンセプトに疑問を感じるが、阿部氏は「H11LCはPCと一緒に持ち歩いて生きる端末。サイズも小さく低価格、USBケーブルでPCと接続できるため汎用性も高い。HTCのスマートフォンはUSBケーブルでPCと接続できるが、価格は高い。さらにPCには無い通話機能を持たせたことで、これ1台でUMPCのモバイル環境が整う。ケータイやデータカードを何台も持ち歩くことがなくなるだろう」と説明した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月25日 更新
  1. 3COINSで1万1000円の「プロジェクター」を試す 自動台形補正、HDMI入力、Android OS搭載で満足度は高め (2025年12月24日)
  2. “やまぬ転売”に終止符か 楽天ラクマが出品ルール改定予告、「健全な取引」推進 (2025年12月23日)
  3. iPhoneのロック画面で「カメラが起動しちゃった」を防げるようになった! その設定方法は? (2025年12月24日)
  4. 関東地方で5G通信が速いキャリアは? ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルでICT総研が比較(2025年12月) (2025年12月24日)
  5. 「楽天カード」は2枚持てる? 2枚持ちのメリットや注意点を解説、持てない組み合わせもあり (2025年12月23日)
  6. 「HUAWEI WATCH GT 6」レビュー:驚異のスタミナと見やすいディスプレイ、今買うべきスマートウォッチの有力候補だ (2025年12月24日)
  7. 若いiPhoneユーザーの間で「クリアケース」に人気が集まっている理由 すべては“推し”のために (2025年12月25日)
  8. mineo料金プラン改定の真相 最安狙わず「データ増量+低速使い放題」で“ちょうどいい”を追求 (2025年12月25日)
  9. CarPlay/Android Auto対応「OttoAibox P3 Pro」発売 従来機から操作性向上、2画面表示も可能 (2025年12月23日)
  10. メルカリで詐欺に遭った話 不誠実な事務局の対応、ユーザーが「絶対にやってはいけない」こと (2025年04月27日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー