スマートフォンを販売するキャリアとの連携も重視――マイクロソフト、Windows Mobile向け開発者支援を強化

» 2008年12月05日 23時16分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo マイクロソフト 業務執行役員コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部コンシューマーWindows本部兼モバイルコミュニケーション本部担当 高橋克之氏

 マイクロソフトは12月4日、Windows Mobile用アプリケーションの開発者を支援する「Windows Mobie開発者事務局」を設立した。技術情報の提供など開発者向けサポートを充実させるほか、既存の開発者コミュニティへの支援も強化。さらに、Windows Mobile端末を販売する通信事業者と開発者を結ぶ場を提供することで、Windows Mobileプラットフォームの活性化を図る。

 設立発表会に出席したマイクロソフト業務執行役員コンシューマー&オンラインマーケティング統括本部コンシューマーWindows本部兼モバイルコミュニケーション本部担当の高橋克之氏は、「Windows Mobile開発者の約4割が、技術情報不足を指摘している。今回設立した開発者事務局では、登録者を広く募集して開発者向け情報を迅速に提供したい」とコメントした。

 マイクロソフトはすでに、同社製品向けの開発者サポートサービス「MSDN(Microsoft Developer Network)フォーラム」内にWindows Mobileフォーラムを設けて、ユーザー同士が交流したり、エバンジェリストからのサポートを受けられる環境を無償で用意している。また、有償のアドバイザリーサービスを利用すれば、ソースコードレベルでのパフォーマンス改善など、より深いサービスが受けられる。しかし、こうした取り組みは「あまり浸透していない」(高橋氏)のが現状だ。

 また、Windows Mobile端末を販売するキャリアと、ソフトウェアやサービスの開発者との関係が希薄な点も指摘されるという。ハードウェアやネットワークに依存する問題へ対処するには、実機での検証が必須だが、ソフトウェアベンダーには大きな負担となる。開発者事務局ではキャリアとの協力体制も見直し、検証環境も強化していく。

 「ケータイに比べて、スマートフォンの売れ行きは良い。商戦期を前に景気が悪化し、この冬の端末販売がどうなるかと思ったが、Windows Mobile端末は好調だ。日本におけるWindows Mobileの歴史は、2005年にウィルコムが『W-ZERO3』を発売してからわずか3年。当時は1社1機種という状態だったが、現在はすべてのキャリアでWindows Mobileが採用されるなど、エコシステムが拡大した。これも、キャリア、メーカー、ソフトウェアベンダー、エンドユーザーの密なつながりがあったからといえるだろう」(高橋氏)

photophotophoto マイクロソフトは、“技術情報の不足”を反省点にWindows Mobie開発者事務局を設立。Windows Mobileのソフトウェア+サービス体制をさらに充実させる

photophotophoto 鈍化するケータイの売上げに対し、スマートフォンは好調な売上げを見せる(写真=左)。スマートフォン向けOSのシェア予想(写真=中央)。広がるWindows Mobile端末のバリエーション(写真=右)

 いわいるスマートフォン向けのプラットフォームには、Windows Mobileのほかに、Symbian OSやBlackBerry、Palm OS、Linux、そしてiPhone向けのiPhone OSなどがある。高橋氏は、2012年までにWindows Mobile端末が全世界で19%のシェアを確保するというIDCの調査結果を示し、「SymbianやiPhoneなど、話題のプラットフォームはいくつかあるが、最もバランス良く成長していくのはWindows Mobile。開発者事務局を通じて、草の根レベルでの情報交換やキャリアとの交流を活発化させたい」(高橋氏)と、開発者にメッセージを送った。

イー・モバイル、ウィルコム、NTTドコモから寄せられたエンドースコメント

KDDI、ソフトバンクモバイル、そしてi-mate製のWindows Mobile端末を法人向けに販売する日本通信からのエンドースコメント

進むスマートフォンへのパラダイムシフト

photo NTTドコモ フロンティアサービス部アプリケーション企画担当部長 山下哲也氏

 続いてキャリアの代表として、NTTドコモ フロンティアサービス部アプリケーション企画担当部長の山下哲也氏が登壇。オープンプラットフォーム市場に対するドコモのスタンスを説明した。

 ドコモは2008年冬モデルで、HTC製の“Touch Pro”「HT-01A」と“Touch Diamond”「HT-02A」を発表した。2009年度以降も、Windows Mobile端末の機種を増やすほか、対応サービスも拡大する。

 山下氏は、「Windows Mobileのポテンシャルが高いのは、ネットワークとデバイス、そしてアプリとのフレームワークが完成しているから。これらを連携させるには時間とエネルギーが必要だが、Windows Mobileはすでにできあがっているのが大きな魅力」と評価した。また、プラットフォームを取り巻く環境についても、大きな期待を寄せていると話す。

 「まず、商用化ノウハウが確立していることが大きい。各キャリアからWindows Mobile端末が発売され、いくつもの製品が流通するなど、安心感がある。さらに、Windowsの豊富なソリューション資産を活用できるのもうれしい。プラットフォームが普及するには、技術的な面だけでなく(開発側が)使いこなすためのいわゆるノウハウが必要。iPhoneやAndroidのような新しいプラットフォームのケータイを作るには、時間とエネルギーが必要だが、数年間の積み重ねで、先行しているWindows Mobileは安心感がある」(山下氏)

 現在普及しているインターネット、そしてPCと携帯電話は、ともに1990年代半ばから普及がしはじめた。現在、PCを利用する目的のほとんどがインターネットやWebアプリに移り、OSやプラットフォームの違いを意識することはあまりない。山下氏は携帯電話についても多機能化、複合化が進み、PCと同じように環境の違いを意識することなく、同じサービスを使えるようになると話す。

 「“もしもしはいはい”から始まった携帯電話は、メールやWebブラウザが利用できるようになり、現在はスマートフォンへパラダイムシフトしている移行期間といえる。ケータイは今後、もっと複合的な存在になるだろう。例えばiPhoneは、携帯電話なのかインターネットデバイスなのか、または音楽プレーヤーなのか、とらえ方は人それぞれで、実に複雑で複合的な存在だ」(山下氏)

photophoto ケータイはPCと同じようなクロスプラットフォーム、クロスデバイスのスマートフォンにパラダイムシフトしていく

photophotophoto Windows Mobileのポテンシャルと、普及の条件、NTTドコモの取り組み

 また、スマートフォン市場の拡大条件として、“エコシステム・ビジネスサイクルの構築”“多様なサービスと商品の開発”“持続成長を可能とする競争環境”を挙げ、ドコモが環境整備に力を入れていくことを約束した。

 具体的には、スマートフォン向け料金プランや販売施策を強化し、サービス用のプラットフォームをコンテンツプロバイダへ開放する。また、マイクロソフトと同じく開発者コミュニティのサポートも目指す。山下氏はそれぞれの詳細について、2009年初頭に発表することを明らかにした。

 「ユーザーには、スマートフォンで何ができるのか、何が面白いのかを工夫して訴求しなければならない。またエコシステム拡大のため、iモードで使われている課金・認証システムをオープンプラットフォーム向けに提供するなど、スマートフォン向けのサービス基盤も提供する。さらに、開発者向けのアプリケーションコンテストなども行う予定だ。法人、個人を問わずいろいろなアイデアを集めて、それらをビジネスにする仕組みを作りたい」(山下氏)

 このようにオープンプラットフォームへの取り組みを強化するドコモは、それが独自の進化を遂げた日本のケータイを世界に広げるチャンスにもなると話す。

 「ケータイは成熟期を迎えているが、スマートフォンへの取り組みで新たな側面を迎える。ガラパゴスと呼ばれる日本のケータイだが、決して進化の袋小路に入っているわけではなく、その先進性が世界の水準と欠け離れているからだ。その先進性を世界に広げるには、オープンプラットフォームへ打って出るしかない。ドコモはそのチャレンジを続けていく考えだ」(山下氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年04月15日 更新
  1. 値上げのソフトバンクが仕掛ける「PayPayカード ゴールド」シフト、新プラン移行の障壁になる懸念も (2026年04月14日)
  2. 廉価な新作「iPhone 17e」が春商戦に与えた影響は? 携帯電話ショップ店員に聞く (2026年04月13日)
  3. Y!mobile、認定中古「iPhone SE(第3世代)」が3980円から 4月17日まで【スマホお得情報】 (2026年04月13日)
  4. 「OPPO Find N6」速攻レビュー 折り目は本当にない? AIペンの使い心地からカメラ画質まで徹底検証 (2026年04月14日)
  5. 「Google Pixel 10a」レビュー:aシリーズらしい取捨選択のうまさが光る Pixel 9aとの差分をどう考えるかがカギ (2026年04月13日)
  6. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  7. Y!mobileのeSIM再発行で困ったハナシ iPhoneとAndroidの機種変更でいまだ「手数料4950円」が発生? (2026年04月13日)
  8. Yahoo! JAPAN ID、ログインを「パスキー」に一本化へ 2027年春までにパスワードのみの認証は終了 (2026年04月14日)
  9. 廉価モデル「Pixel 10a」「iPhone 17e」を比較 価格とスペックに“決定的な差”あり (2026年04月10日)
  10. 10Gbpsポート合計4つを備えたハブ「UGREEN Revodok Pro 7 in 1」が32%オフの3849円に (2026年04月14日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年