変革期に入る“ケータイ”。それを感じた2008年ITmediaスタッフが選ぶ、2008年の“注目ケータイ”(ライター神尾編)(2/2 ページ)

» 2008年12月30日 21時25分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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デザイン、テクノロジー、商品企画の部門賞は?

 さて、ここからは特定の分野に秀でていたモデルを部門別にノミネートしていきたい。総合ベスト3には入らなかったものの、どれも魅力的な端末である。

photophotophotophoto 左から「P-01A」「Sportio」「SH-03A」「Touch Diamond」

デザイン賞:「P-01A」(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)

 いわゆるデザイナーズモデルではないが、コンパクトでバランスのよい折りたたみボディと、横画面でワンセグやゲームを楽しむことを両立させた「Wオープンスタイル」を評価したい。縦横両開きは「P905i」から始まったが、最新の「P-01A」はWオープンスタイルに合わせてキー配列を変えるギミックを搭載した。ユニークなデザインで、ケータイのフォルムの新しい可能性を見せてくれた。

商品企画賞:「Sportio」(東芝)

 筆者が今年最もすばらしい商品企画と感じたのが、auの「au Smart Sports」と、それに合わせて作られた「Sportio」だ。スポーツをする人のために作られた斬新なデザインと、目的に沿って機能を絞り込むという手法は、久々にauの優れた商品企画力を感じた。SportioはAppleのiPod shuffleに匹敵するアイデア勝ちの企画だと思う。

 残念ながら販売面ではふるわなかったが、auの魅力はセンスのよいコンテンツサービスの企画開発力と、それに合わせた端末作りにあることを再確認させられた。KDDIには今後も、Sportioのような端末を誇りと意欲を持って投入してもらいたい。

テクノロジー賞:「SH-03A」(シャープ)

 シャープが満を持して投入したカメラケータイの1つが、「SH-03A」である。デザインはオーソドックスな折りたたみ型ながら、800万画素CCDカメラとタッチパネルを搭載している。さらにQRコードと名刺を自動判別して読み取る機能など、スペック面では申し分のないモデルだ。ここまで高性能で多機能なモデルは、海外のスマートフォンまで見渡しても、それほどはないだろう。それでいて全体的に使いやすいのもシャープ製モデルの特徴で、全般的に優秀なモデルとなっている。

 一方でテクノロジーを重視したせいか、SH-03Aのデザインやサイズのバランスは先々代の「SH905i」よりも大きく後退してしまった。もう少しスリムで、デザイン面でも洗練と真価が見られれば、iPhone 3Gに正面から対抗する「2008年を代表する1台」になれたと思うと残念だ。来年は、高性能かつスリムで洗練されたデザインにまとめることにチャレンジしてほしい。

特別賞:「Touch Diamond」(HTC)

 iPhone 3Gと並んで、今年、話題性のあったモデルといえば、HTCのWindows Mobile搭載スマートフォン「Touch Diamond」だろう。このモデルはイー・モバイルを筆頭に、ドコモやソフトバンクモバイルなどに広く展開されており、“グローバルなスマートフォン”がどのような端末ビジネスを展開するのかを見せてくれた。

 端末単体でも、これまでのWindows Mobile搭載機よりも使いやすさが向上している。iPhone 3Gと比べるとUIの洗練で見劣りするが、日本のスマートフォン市場を活性化する意味で重要な1台だ。

 来年以降は、日本でもWindows Mobileのエコシステムが急速に成長しそうだ。今後さらに、Windows Mobileが使いやすい環境になることにも期待し、Touch Diamondを特別賞として評価したい。

2009年は「変化の年」になるか

 さて、こうして2008年に印象に残った端末を振り返ってみると、やはり今年は“潮目が変わり始めた”と感じる。iPhone 3Gはセンセーショナルな1台だったが、それ以外の端末を見ても、これまでの連続的なケータイの進化が成熟し、新たな段階を模索すべき時期に来ていることは明らかだ。

 2009年は、次の10年に向けた重要な節目になる。端末メーカーを取り巻く市場環境は厳しいが、その中で、来年を「変化の年」にできるかどうか。ユーザーに新たな未来を提示できるかが、今後のメーカーの成否を分けそうだ。

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