第20回 iPhoneのカメラがミラクルを起こす──「ToyCamera」:松村太郎のiPhone生活:写真

» 2009年01月14日 00時00分 公開
[松村太郎,ITmedia]
Photo 「ToyCamera」

 今回は「ToyCamera」を紹介する。App Storeの価格は230円。このアプリは、トイカメラを再現する。起動するとカメラモードになり、撮影すると、細かい設定をせずとも、その場で撮った写真にエフェクトをかけ、ほどなくトイカメラで撮影したかのような写真ができあがる。これだけである。

 ToyCameraは2008年10月末にリリースされたアプリで、登場以来ずっと愛用してきた。画像編集ソフトではなく、写真を撮影してからその場で現像する感覚に近い。登場当時と比べて、最近のバージョンでは処理速度が劇的に速くなったが、写真ができあがるまでの心地よい待ち時間を演出してくれる。できあがった写真の四隅は暗くなる周辺光量落ちが見られ、かかるエフェクトはモノクロ、セピアなどランダムになっている。デジタルなのにアナログの感触が味わえる、何ともたまらないアプリなのだ。ちなみにバージョン2.01では、ランダムにかかるエフェクトをユーザーが選べるようになった。

 このアプリに思うことは2つ。写真の面白さにどっぷりとつかることができるという点、そしてスペック重視のカメラに対する別の答えを見せてくれる点である。

 僕はカシオの「QV-10」が出たころからデジタルカメラを使い始めたが、それ以前は銀塩の一眼レフカメラを触っていたことがある。その当時(僕が高校生の頃)は、女子高生を中心に多くの人がレンズ付きフィルムを持ち歩いていて、ことあるごとに写真を撮影しては現像して思い出を残していくというカジュアルな写真カルチャーの中にいた世代だった。

 今では、デジタルカメラやケータイカメラが主流になり、撮った写真はその場でプレビューし、ブレている、変な表情をしている、まばたきで目をつぶっている、といった気に入らない写真があればさっさと消していい写真のみを残すようになった。どうもこれは記録の美化であり、いい面ばかりが記憶として残っていく、なんだかちょっとアンバランスな感覚になっているようにも思える。

 今、“ワカモノ”たちがわざわざ「変顔写真」を撮っている様子を見ると、そのアンバランスを無理矢理補正しているような印象を受けるのだ。

 レンズ付きフィルムに残された写真は、今のデジタルの写真のアーカイブと比べると「酸いも甘いも」といった具合だろうか。たぶん当時本人がプレビューしたら絶対気に入らなかったであろう表情が、今見てみれば無邪気で楽しそうに感じたり、ブレた写真が妙に若々しさや生き生きとした表現に見えてきたりすることもある。酸いも甘いも含めて、写真とは真実を写すものなのだな、と思わせてくれる瞬間である。

 もう1点思うところは、iPhone 3Gに内蔵されているカメラについて。2008年冬〜2009年春のケータイカメラのトレンドは、最上位クラスでは画素数が800万画素に到達し、顔認識フォーカスや笑顔シャッターなど、まさにデジカメ顔負けのスペックと機能を搭載している。

 一方でiPhone 3Gのカメラは200万画素、オートフォーカスなしのポートレートセッティング。近いところも遠いところもボケる癖のあるカメラなのだ。ToyCameraはこのiPhone 3Gの甘いフォーカスという特性を味方に付けてエフェクトの効果をより高めているからうまい。iPhone 3Gで撮影されるすべての写真にToyCameraのエフェクトがかかっても許せるほど、ぴったり合っていると思うのは僕だけだろうか。

 ToyCameraには、BIG CANVAS PhotoShareへのアップロード機能も用意されている。また、先に紹介したFlickupを使えば、Flickrに位置情報付きでアップロードすることも可能だ。最新の端末で振り返る、写真の楽しさ、奥深さに、ぜひ浸ってみてほしい。

PhotoPhotoPhotoPhoto ToyCameraは、起動すると写真撮影モードになり、写真が撮れる。撮影後に「Use Photo」を選ぶと処理が始まり、数秒後に写真が画面に表示される。設定画面ではランダムで選択されるエフェクトを、ユーザーがあらかじめ選べるようになった。不要なエフェクトはオフにしておけばいい。BIG CANVAS PhotoShareやFlickrのアカウントを設定しておけば、撮影後すぐに写真をアップロードすることもできる
PhotoPhoto ToyCameraで撮影した作例
PhotoPhoto ToyCameraで撮影した作例

プロフィール:松村太郎

Photo

東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。


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