“4つのリソース”――京セラの次世代通信への取り組みワイヤレスジャパン2009

» 2009年07月23日 15時58分 公開
[山田祐介,ITmedia]

 端末メーカーの多くが出展を控えた今年のワイヤレスジャパンにおいて、ブースを構えている京セラ。会場では、auやウィルコム向けの端末を展示したほか、“京セラの4つのリソース”と題してWiMAX、XGP、LTE、iBurstの通信設備を紹介していた。

photo 根強い人気を誇る京セラ製ウィルコム端末「HONEY BEE 2」。写真のモデルは、6月に発売されたアパレルブランド「LIZ LISA」とのコラボバージョンだ

 WiMAXのパネル展示では、基地局に加えて同社が開発を進めているWiMAX対応レピータのサービスを紹介している。電波を中継するレピータは、屋内や移動車両での通信をサポートする役目を果たす。商用化の時期などは未定だが、国内キャリアに提案を進めているほか、グローバルな展開にも意欲を示していた。

photo 同社の考えるWiMAXのインフラ像
photo レピータにはドナーノード/サービスノード間で電波干渉が起きにくい“再生型中継方式”を採用。下り最大20Mbps、上り最大4Mbpsの通信速度に対応する

 XGPに関しては、電波干渉を抑えて通信品質を高めるアダプティブアレイ技術や、最大256QAMの変調方式といった技術をパネルで解説するほか、同社が開発した基地局を展示している。XGPは今年の4月に試験サービスを開始し、10月以降には本格的なサービスインが見込まれている。上りと下りとで20Mbpsの通信速度を掲げており、将来的には100Mbpsの通信や、時速300キロの高速移動下での通信を目標にしている。

photophoto XGPの特徴や仕様
photo XGPの基地局

 LTE基地局の開発も進んでおり、プロトタイプの概要をパネルで展示している。同社では制御ユニットとアンプを一体化した基地局など、軽量でコンパクトな基地局開発を強みにしたい構えだ。PHS基地局の開発で培った屋外設計のノウハウを生かしつつ、小型化を進めるために消費電力を少なくし、発熱を抑える設計を試みている。現在、マイクロ基地局のプロトタイプは重さ18キロ程度に抑えられ、「1人で持ち上げることも可能なほか、軽いことで設置の自由度も高い」(説明員)。

photophoto LTEの基地局は、2010年中頃にフィールドトライアルを実施し、2011年に出荷することを目標にしているという。海外での展開も視野に入れ、開発を進める

 iBurstのコーナーでは、通信設備の説明や端末の展示が行われていた。京セラと米ArrayCommが共同開発したモバイルブロードバンドシステムであるiBurstは、国内ではいまだ日の目を見ていないが、世界12カ国で導入実績を持つ。5MHzという狭い帯域幅でサービスを提供できる周波数効率の高さが強みで、低コストでのシステム構築が可能。安価な定額制サービスなどの提供に向いているという。

photophoto 世界12カ国で導入実績があるiBurst

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