セカイカメラは「アウトドアなIT」――160年の老舗ブランドが拡張現実に期待

» 2009年09月18日 12時41分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo ロエベ表参道直営店のパーティーでは、多くの招待客がセカイカメラに興味を示していた

 ソフトバンクテレコムと頓智・(トンチドット)が9月17日に発表した、拡張現実(AR)アプリ「セカイカメラ」の商用サービス。スペインの老舗ブランドであるロエベとコラボレートし、期間限定イベント「ロエベ アマソナ展」で利用される。会場となるロエベ表参道直営店には、さまざまなロエベの情報が“エアタグ”として浮遊しており、来場者は用意されたiPhoneを使って情報に触れられる。


photophoto 会場にはロエベの情報がエアタグとして浮遊しており(写真=左)、画面をタップすると写真やテキストなどの情報が見られる(写真=右)。セカイカメラではユーザーが自由にエアタグを空間に打つことができるが、今回のイベントでは、残念ながらユーザーによるエアタグの投稿はできないという
photo ロエベ ジャパン カンパニーの丸山武CEOと、ロエベ アマソナ バルセロナチェア

 160年という長い歴史を誇るロエベは、「伝統と革新」という信念のもとに世界初となるセカイカメラの商用利用に踏み切った。イベントの目玉となるのは、家具メーカーのノールとともに作った「ロエベ アマソナ バルセロナチェア」。「ロエベとバルセロナチェアという歴史ある存在を、斬新な手法で多くの方に伝えたかった」と、ロエベ ジャパン カンパニーの丸山武CEOは語る。

 また、丸山氏はセカイカメラを「アウトドアなIT」と捉え、コンセプトに共感したという。現実空間に連動して情報を提供するARは、利用するために“その場に来る”必要があるが、リアル店舗での商用利用ではこれが重要な意味を持つ。「五感を通じてこそ分かる革の質感やブランドのこだわり」(丸山氏)を、セカイカメラを呼び水に伝えたい構えだ。従来はスタッフの接客によって伝えていた内容を、電子情報としてその場で提供できる気軽さもあり、「ブランドにハードルの高さを感じるお客様にも来ていただきやすい」と、丸山氏は期待を示す。イベントは期間限定だが、評判次第では継続的な取り組みも前向きに検討していくという。


photophotophoto 会場の様子

App Storeでの公開はいつになる……?

photo 頓智・の井口尊仁代表

 “近日公開”と言われ続けるiPhone向けセカイカメラが、いつApp Storeで公開されるのかは気になるところ。吉報はiPhone OS 3.1の登場により、ARの実装に重要なカメラAPIが追加されたことだろう。頓智・の井口尊仁代表は、今回のOSアップデートによってセカイカメラに限らずiPhoneのARアプリが続々とAppleの審査を通る可能性があると指摘する。

 ロエベのイベントに使われるセカイカメラは、前回の取材から操作系が改良されている印象だ。無線LANによって位置情報を検出するクウジットの「PlaceEngine」を活用し、会場に設置された4つのアクセスポイントからユーザーの位置を特定していた。機能面では大きな変更はないが、2月のイベントでもアナウンスされていた、“気になるエアタグを持ち帰る”ことができる機能「エアポケット」が実装されている。同機能に関しては、「ショッピングでは情報を家に持ち帰り、吟味した上で購入したいというニーズもある」ため、商用面でもメリットがあると井口氏は見ている。


photophoto テキストの吹き出しの種類や写真のフレームなどが数種類用意されている
photophoto 音声も投稿できる(写真=左)。エアタグが螺旋状に集まり、周囲にどんなタグがあるのか分かる“ドラゴンボール風”の機能も引き続き搭載(写真=右)。タッチパネルに触れ続けるとこの機能が発動するのだが、操作にはちょっとコツがいる
photophoto エアタグをどこでも見られるように“持ち帰る”ことができるエアポケット。エアタグを開いた状態で赤く囲った部分をタップすると、タグがポケットに吸い込まれ、保存される(写真=左)。どこで入手したエアタグかを地図上で見ることもできる(写真=右)

 App Storeではアプリを無料で提供する予定で、広告モデルで収益化を目指す。まずは国内限定でリリースするが、井口氏によれば海外版セカイカメラの開発も進んでおり、こちらの発表は「国内リリースから1カ月後ぐらいになるのではないか」。

 また、開発者に向けてAPIを公開し、オープンなARプラットフォームとしてセカイカメラを展開する。ARアプリの互換性を持たせることには、KDDIの「実空間透視ケータイ」も前向きな姿勢を示していたが、キャリアをまたいだAR情報の共有は実現するだろうか。

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