Android版セカイカメラ そしてiPhone 3GSのAFカメラが「残念」なワケiPhone版の次は

» 2009年06月26日 22時29分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 近藤純司氏

 拡張現実(AR)アプリとして注目を浴びている「セカイカメラ」。2009年の2月にはiPhoneアプリのデモンストレーション版が公開され、改良を施した正式版のリリースも「そろそろ」だというが、一方でマルチプラットフォーム化が着実に進んでいる。

 6月26日に開催された日本Androidの会主催の「Android Bazaar and Conference 2009 Spring」では、「セカイカメラのつくりかた」と題した講演が行われ、頓智・(トンチドット)の近藤純司氏(日本Androidの会 幹事)が、開発中の“Android版セカイカメラ”に関する技術的な工夫の数々を紹介した。


photo

 「セカイカメラは、一言でいうと“現実の見え方を変えてしまうカメラ”」と近藤氏は語る。端末のカメラで写しだした“目の前の世界”に、位置情報とリンクした仮想的な物体「エアタグ」を加え、ディスプレイに表示。エアタグをクリックすると、その場所に関連したさまざまな情報を見ることができる――そんな具合に、現実と連動した「クリッカブル」な世界をリアルタイムに提供することがセカイカメラの狙いだ。

photo セカイカメラを構成する各要素。デバイスとしては、カメラや、GPSなどの位置情報を特定するもの、端末の向きを特定するセンサー類といったものが必要になる。また、サーバから情報を入手するために、ネットワーク環境が整っていることも必要だ
photophotophoto 会場ではAndroid端末「T-Mobile G1」を使ったデモが行われたが、途中でネットの接続が切れたようで、エアタグが消えてしまった。サーバに情報をストックするため、ネットワークがないと「残念なことになる」(近藤氏)のが、セカイカメラの課題といえる

 半透明のエアタグがあたかも現実世界に漂っているようなセカイカメラのビジュアルには驚かされるが、現実の視界と仮想空間上のエアタグの位置をしっかりマッチさせるためには、地磁気センサーや加速度センサーの情報をリアルタイムに反映させる必要がある。しかし、「センサーが出力する値は非常にセンシティブで、例えば手の震えなどにも反応してしまう」(近藤氏)ため、そうした不要なノイズを取り除くローパスフィルターを組み込んでいるという。

photo ローパスフィルターの効果をグラフで説明したもの。赤い線がローパスフィルターを使用した場合のグラフで、黄色い線が動きの追従性が良くなるようにチューニングした場合のグラフ。Androidのセカイカメラには、オレンジのグラフのローパスフィルターが採用されている

 エアタグの“浮遊感”はこの工夫のたまもので、ローパスフィルターがない状態ではまるで地震のようにエアタグが小刻みに移動してしまう。さらに、「急な動きの立ち上がりに追従する」チューニングを施し、カメラを素早く動かしたときのエアタグの追従性を良くしているという。

 位置情報を測定する手段にはA-GPS(Assisted GPS)に加え、2月のデモンストレーションでも使用したクウジットの「PlaceEngine」を挙げる。無線LANのアクセスポイントを活用して位置を推定するPlaceEngineは、GPSでの測位が難しい屋内などで有効なほか、アクセスポイントの設置場所を増やすことで細やかな測位が可能になる。Android用のPlaceEngineは現在開発が進んでおり、Android版セカイカメラでも対応する予定だ。

 セカイカメラではアプリ使用中に写真を撮り、それをエアタグとしてアップすることもできる。ただ、Android版では機能を実行してから写真が撮れるまでに「ちょっと時間がかかる」(近藤氏)のが現状だ。この原因は、オートフォーカスのプロセスが発生するためで、「個人的にはパンフォーカスがいい」と近藤氏はつぶやく。「ピントを合わせる手間なく、即座に見たものが切り取れるのは非常に気持ちいい。そういう意味では、『iPhone 3GS』のカメラにオートフォーカスが付いたのはちょっと残念」(近藤氏)

photo Android版セカイカメラはJavaによるプログラミングで、「特に特殊なことはしていない」と近藤氏は話す。カメラ機能には、Androidのカメラ用APIを使っている

 iPhone版とAndroid版のセカイカメラでは機能的にそれほど大きな違いはないようだ。しかし、正式なiPhone版がデモ版からバージョンアップするように、Android版もさらなる改良が施される。また、近藤氏は、App Storeで販売するためのレギュレーションがあるiPhoneに対し、Androidには「よりやりたいことができる可能性に期待している」という。Android版のリリース時期に関しては「今年中か……ちょっと分からないですね」と詳細を教えてもらうことはできなかったが、それほど先の話ではなさそうだ。

 コメント機能を備えるセカイカメラは、「例えば、訪れた場所にエアタグを作れば、いろんな人からコメントが付く」といった“バーチャル伝言板”のようなコミュニケーションを実現する。さまざまなプラットフォームに対応することで、ユーザーの幅も広がり、コミュニケーションも活性化していくだろう。さらにこの先、「セカイカメラ専用のデバイスがあっても、面白い」とも、近藤氏は考えている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  8. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  9. 【無印良品】ウエストポーチもになる「スリングバッグ」が3990円に値下げ中 植物由来の原料を使用 (2026年03月11日)
  10. Qualcommのウェアラブル新チップが「Elite」を冠する理由 最新モデム「X105」は衛星通信100Mbpsへ (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年