jig.jp、ツイパブ(β)で電子書籍サービスに参入

» 2011年04月18日 14時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

電子書籍におけるUGC/CGMの実現

 jig.jpは4月18日、ソーシャルリーディングサービス「ツイパブ(β)」をリリースした。サービスは無料で利用できる。

 同サービスは、Twitter上で“ソーシャルリーディング&パブリッシング”を可能にするEPUBリーダーサービス。技術的な言葉を用いてサービスの概要を表現すれば、DropboxのストレージサービスAPIとTwitter API、そしてWebアプリとして実装したEPUBリーダーのマッシュアップサービスだ。

 対応端末はiPhone 3GS/4、第3世代以降のiPod touch、iPad、Android OS 2.1 update 1以上を搭載した端末となっている。基本はWebアプリケーションだが、ユーザーインタフェースなどのデザインはよく作り込まれ、iPhoneアプリなどと同じように見える。なお、Android版はアプリとして用意されている。

iOS端末の場合、Webブラウザからツイパブ(β)にアクセスすると、Twitterとの連携を促される(写真=左)/トップ画面(写真=中央)/ホーム画面。3つのタブで構成される(写真=右)

 同サービスでEPUBコンテンツを読むには、自身で追加する方法と、ほかのユーザーのコンテンツを読む方法の2種類がある。まずは前者について説明しよう。

 ツイパブ(β)の[ライブラリ]タブから、「本の登録」ボタンを押すと以下のようにDropboxとの連携画面に遷移する。なお、直接URLを指定してインポートすることもできる。ここでは、青空文庫のコンテンツ(走れメロス)をEPUB化したものをサンプルとして利用した。ツイパブ(β)ではDropboxのpublicフォルダ以下にあるEPUBファイルを取得、ライブラリに反映させるので、あらかじめ同フォルダにEPUBコンテンツを配置しておく必要がある。

Dropboxと連携したライブラリの登録/Dropboxにログインすると、publicフォルダ以下にあるEPUBファイルが一覧で表示されるので、選択してライブラリに登録する/登録後はライブラリに表示される
ライブラリに登録したコンテンツの詳細画面。本書は記者に著作権がないため実行できないが、フォロワーにコンテンツを公開することもできる。違法なコンテンツは発見次第警告の後、削除される(写真=左)/ビューワの操作説明(写真=中央)/ビューワ画面。現時点では縦書きに対応していないが、EPUB3.0の登場でそれらもサポートされる見込みだ(写真=右)

 これだけであれば、個人利用を想定したDropboxと連携するEPUBビューワでしかないが、ツイパブ(β)はさらにソーシャル性を持たせた。つまり、このEPUBコンテンツを世界に公開できるのだ。ツイパブβの公式Twitterアカウント(@twePUB)と相互フォローしている場合、上図中央のように公開/非公開ボタンが表示される。公開すると、専用のハッシュタグが生成されるので、それを利用してフォロワーと読書体験を共有することができる。

 コンテンツホルダーやセルフパブリッシャーがツイパブ(β)上で所有コンテンツを公開し、Twitterのソーシャルグラフを利用したプロモーションを行うことも可能となっている。実際、以下に挙げる幾つかのコンテンツホルダーは同日から自社のコンテンツを同サービス上で展開し始めた。いずれも基本的には試し読み用のコンテンツで、正式版は自社サイトで公開される。

コンテンツホルダー Twitterアカウント 公開タイトル
学研ホールディングス @gakken_estore 「一瞬で心をつかむ話し方」「ワルの『モテしぐさ』口説かずオトせる最強の心理学!」など4タイトル
インプレスR&D @ondecklab OnDeck 5タイトル
オールアバウト @allabout_books マネー情報誌「あるじゃん」編集の3タイトル
アゴラブックス @agorabooks 「Twitter後のネット社会 〜コミュニケーション中毒患者の処方箋〜」「小説テレビディレクター」の2タイトル(後者は4月22日公開予定)
ディスカヴァー・トゥエンティワン @d21ebook 「ソーシャルメディア革命」

 このほか、電子書籍作成販売プラットフォーム「パブー」で公開されている作品の中から、4月12日付けの無料人気ランキング上位100位までのタイトルがツイパブ(β)公式アカウントで随時紹介される。


フォントなどの設定も可能。EPUBの可能性を引き出せるか

 現在公開されているものは、ストレージサービスにDropboxを、ソーシャルサービスにTwitterをそれぞれ利用しているが、将来的にはそのほかのサービスとの連携――例えばEvernote、SugarSync、Facebook、mixi――も想定される。そうした既存サービスの利用者を取り込むことで、急速に拡大するかもしれない。

 ツイパブ(β)を構成する要素技術は特に目新しいものではない。技術的なイノベーションというよりは、目的のイノベーションを起こしたのだといえる。その目的は、電子書籍におけるUGC/CGMの実現だ。今後が楽しみなサービスだ。

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