富士通がNTTドコモの2013年夏モデルとして投入する「ARROWS NX F-06E」。初代の「ARROWS X LTE F-05D」から3代目の「ARROWS X F-02E」に至るまで、ドコモ向けのフラグシップモデルは「ARROWS X」を名乗ってきたが、今回は「ARROWS NX」となった。
この“N”には、「“New”(新しい)、“Next”(次世代)、“Nippon”(日本)のスマートフォン」(関係者)という意味が込められている。ほかのメーカーが採用してないチップセットを搭載するなど意欲的な面があった歴代ARROWSのフラグシップモデル。ARROWS NXも5.2インチフルHD液晶やフルセグチューナーの搭載、NFC機能の決済対応など、スペックの高さに磨きをかける一方、バッテリーのさらなる大容量化やソフトウェアの改善など、実用向きの要素もふんだんに盛り込んだ。
端末サイズは約70(幅)×139(高さ)×9.9(厚さ)ミリで、重さは約163グラム。F-02Eよりもさらに大きい約5.2インチのフルHD(1080×1920ピクセル)液晶を搭載したものの、サイズはほとんど変わっていない。今までのARROWS Xでは曲線的なデザインを採用していたが、F-06Eでは「REGZA Phone T-02D」のような直線的なデザインを採用した。直線的なデザインは度を過ぎると持ちにくくなるが、F-06Eは端末背面に向かって丸みを持たせ、さらに塗装をつや消しにして手になじむよう工夫されている。
その表面は、塗料を2回塗布し、さらにフッ素系コーティング剤を塗布してはがれにくくするウルトラタフガードplusという取り組みはF-02Eと変わりない。しかし、今回はコーティング剤の下の塗料(A層)に本物のダイヤモンド粒子を加えて、耐久性を向上させている。
本体のイヤスピーカー周辺には「アニメーションイルミ」が搭載されている。音声着信時、通話中など、様々な場面できれいに光らせることができる。テーマによる一括設定も可能だ。
両側面にはメタル素材をあしらって高級感を演出。左側面にあるボリュームボタンと電源ボタンの配列はF-02Eと同様で、スクリーンキャプチャーを左手の親指の腹だけでできる。右側面にはキーやボタンはなく、「F-06E」の刻印がなされている。
本体上面には、地デジ・モバキャス(NOTTV)用の伸縮式アンテナ、3.5ミリのイヤフォンマイク端子、microSIM(ドコモminiUIMカード)とmicroSDカードのスロットがある。イヤフォンマイク端子はキャップレス防水に対応している。microSIMはトレイを引きだして、その上にカードを乗せて差し込む。microSDカードスロットは、最大64GBのmicroSDXCカードに対応する。どちらも電源が入った状態で抜き挿しが可能だ。端末底面には、MHL出力端子を兼ねたMicro USB端子を配置している。
「端末のバランス感」(担当者)を重視したというF-06Eは、スペックの高さに加えて、より実用性重視の設計姿勢を貫いている。例えばプロセッサーは、Qualcomm製の最新クアッドコアプロセッサー「APQ8064T」(1.7GHz駆動)を採用した。ARROWSのドコモ向けフラグシップモデルでは初のQualcomm製プロセッサー搭載機になるが、その理由は「動作パフォーマンスを確保しつつ、特に電力消費面で改善を図った」(担当者)ためという。
また、バッテリーは3020mAhとさらなる大容量化を図った。単純に大容量化すると本体の厚みが増えてしまうため、本体内にバッテリーを内蔵する設計を採用している。そのため、交換が必要になった場合はドコモの故障修理受付拠点での修理扱いとなる。バッテリーを大容量化するだけではなく、富士通独自の省電力機能「NX!エコ」をリニューアルして使い勝手や機能面での改善を図った。その結果、実使用時間で60時間以上(ドコモ測定)を達成した。
F-06Eは、ドコモの2013年夏モデルのスマートフォンでは唯一「フルセグ」(フルスペックの地上波デジタルテレビ放送)を受信できる。展示会場は放送波が入りにくい条件だったため、イメージ動画での比較が行われていたが、画質の差を明らかに感じることができた。フルセグ関連の仕様は富士通モバイルコミュニケーションズがソフトバンクモバイル向けに提供する「ARROWS A 202F」と同様なので、そちらの記事も参考にして欲しい。なおフルセグ画質の録画には対応しておらず、番組はワンセグで録画される点も同様だ。
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