「今年、利益でドコモを抜く。いい勝負ができるのではないか」――ソフトバンクモバイル・孫正義社長の囲みにツッコミ石川温のスマホ業界新聞(2/2 ページ)

» 2013年10月11日 12時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」
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―― さきほどアメリカへ持って行く、アメリカから取り入れるという話があったが、端末だけではなく、サービスの面も含まれるのか。

孫社長 そうですね。何でもありだと思っている。健康管理のものだとか、子育てだとか。日本で独自に開発したものとか、フォトフレームだって我々がゼロから開発して、世界で一番売っている。見まもりケータイも他社も似たようなものを出している。オリジナルのパイオニアは我々だと認識している。続々とイノベーションしていきたいし、アメリカのスプリントもいろんなものを開発していて、なるほど、それいいじゃないかというものを持ち込みたい。

(★ 家族写真を壁に貼るのが大好きなアメリカ人ならフォトフレームは受け入れられそうだが)

―― シリコンバレーの開発拠点はどういった分野になるのか。

孫社長 やはり端末のメーカーもシリコンバレーに拠点を持っている。端末だけでなく、ネットワーク機器、アプリケーション、コンテンツ、サービス。やはりシリコンバレーはITのメッカ。そこに技術も情報も集まる。そこで、我々の拠点を持ったというのはソフトバンクの強みになる。

 たまたまある特定の端末、特定の料金キャンペーンなどは戦術的なものだと思っている。それは他社がすぐに真似できる。

 シリコンバレーに戦略的な開発拠点を置いたり、日米合算でドコモの倍ほどのユーザーを持つとかは戦略的な動きだ。これが5年、10年で花が咲いていく。

 スマホの時代に、一番速く独占権を持って、ネットワークを含めて乗り出すというのは戦略的な動きだった。当時は、スマホ、なんだそりゃ、日本には世界で一番のガラパゴスケータイがあるんだと、居直っていた。その居直りは間違いだと完璧に証明されたわけですね。

 日本の世界に誇る電子機器メーカーはスマホから続々と撤退している。このままの勢いで行くと、日本のメーカーはスマホから全滅するのではないか。それくらいいろんな危機感がある。

 スマホの時代が必ずくる。インターネットはPC中心の時代から、スマホの時代に必ず来ると、いうことで、ソフトバンクはボーダフォンジャパンを買収した。

 これがまさに戦略的に、どの事業分野、どのドメインにどのようなかたちで打って出るのか。これが戦略的意思決定。ボーダフォンジャパンを買収したときは、なぜいま電話の事業にソフトバンクが乗り出すんだと時代は逆行しているじゃないかと多くの質問を得たわけです。

 僕に言わせれば全く逆で、時代を先取りしたいからボーダフォンを買収したわけで、時代を先取りしたいからスマホをやった。時代を先取りしたいから世界に打って出る。

 シリコンバレーに拠点を作っている。今日は端末の新製品発表会という従来型の流れであったが、本当はどう戦略的に3年後、5年後を睨んで布石を打っていくか。

 個別のことは申し上げないが、戦略的な思いをちょっとでもかぎ取ってもらえれば。そういうことをわかっていて、質問されたのではないかと思う。

(★ 時代を先取りするためにシリコンバレーに進出するなら、もうちょっと早いタイミングのほうが良かった気もするが。遅すぎではないか)

―― Twitter、ここ1カ月ぐらい更新されていないが。

孫社長 アメリカとか日本で、一言つぶやくと、それで次の動く手を想像されちゃうと。実は皆さんに言えないような驚くような手をいくつか考えて、努力して種を仕込んでいる最中なんですね。誰々とあった、どこどこにいるというだけで、俺の動きを読まれないかな、という風に心配になっちゃう。

 うかつにひとことつぶやくだけで、それが読まれるのが嫌で、ついついつぶやけなくなっちゃう。

 何日かつぶやかないと、それがパターンになっちゃう。でも、これからも時々、つぶやいていきたいと思う。

(★ ここでもうちょっとTwitter関連の質問をかぶせれば良かった。木下さんとの関係性とか。激しく後悔)

―― 900MHz帯のLTE、地上げは順調にいっているのか。

孫社長 おかげさまで順調にいっている。想像以上に順調。

―― 来年4月に全国一斉にスタートできるのか。

孫社長 場所によって、徐々に。電波の地上げという意味ではすくすくと育っている。機器も発注している。着々と進んでいる。

(★ auがこれだけプラチナLTEと言っている中、900MHzのLTEが開始できたとして、何とアピールするのだろうか)

囲みを終えて

 この囲みを行いつつ、割賦の信用情報を毀損した問題についてはダンマリだった孫社長。ハッキリ言って見損なってしまった。アメリカへ進出し、日本でも希有な素晴らしい経営者、実業家であって、尊敬もしていたが、自分に都合の悪いことは一切、喋らず、発表会を終えた段階で、しれっとウェブページで告知するだけというあざとさ。あきれてものが言えないほどだ。

 さらに10月4日には、バッテリー付きワンセグチューナーが発火する恐れがあることを発表するも、こちらもかなり早い段階でわかっていたものの、情報を隠蔽し続けた疑いもある。

 日本では、これまでソフトバンクは大量にCMを投下していることもあり、民放テレビ局は2つの事故をほとんど報じていない。同じ過ちをアメリカで起こしていたら、間違いなく集団訴訟問題になっているだろう。

 ソフトバンクはこんな危機管理体制で、 果たしてアメリカで上手くやっていけるのだろうか。

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