mineo、9月に「ドコモ」プラン追加――SIMロック解除と“iPhone”問題が契機ブルーオーシャンのはずが(2/2 ページ)

» 2015年05月26日 20時57分 公開
[平賀洋一ITmedia]
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 mineoでは9月ごろをめどに、既存ユーザーがドコモプランへ容易に変更できるサービスを開始する予定。移行時の手数料は「極力抑えたい」と述べ、無料ではないが、新規契約以下の手数料になるようだ。またauとドコモのどちらの回線を使うプランでも、毎月のデータ容量(パケット通信量)を家族間で分け合える「パケットシェア」と、ユーザー同士でデータ容量を贈り合える「パケットギフト」を9月から提供する。

photo 実際のサービスは9月開始の予定
photo 家族間でパケット通信量を分けあえる「パケットシェア」
photo mineoユーザー間でパケット通信量を分け合う「パケットギフト」

 「余ったパケット通信量を翌月に繰り越せるサービスに加え、家族間やユーザー間のシェアで、さらに無駄なく使い切れるようになる。またパケットギフトは、パケットの貸し借りや、お世話になった相手へのちょっとしたお礼に使っていただけるなど、新たなコミュニケーションのきっかけになると思う」(藤野社長)

photo 7月からは最低利用期間と解約金を撤廃する

 このほか、現在は12カ月に設定されている最低利用期間と、9500円の解約清算金を7月に撤廃。どちらも囲い込みを目的としたものだったが、ユーザーから撤廃を要望する声が多かったことや、新規契約や乗り換えを阻害している面もあることから、7月から無料とする。さらに、法人向けサービスや、海外渡航者向け/訪日外国人向けのプリペイドSIMも9月から販売する。

マルチキャリア対応、もう1つの理由

 mineoは2014年6月、「必要なものを、必要なだけ」をスローガンにサービスを開始。同社がMVNOへの参入を企画していた2013年当時、すでにドコモ回線を使ったSIMサービスが多数あったことから、「ユーザーの選択肢を広げる」(藤野社長)ことを目的にau回線を採用した。au系のMVNOは「先行者がいないブルーオーシャンという判断もあった」(藤野社長)という。

photo mineoの契約数は約7万人
photo 男性ユーザーがメインだが、女性も増加中

 5月20日時点での契約数は約7万件。中心は30〜40歳台の男性だが、女性層も2割近くまで増加してきているという。契約回線の種別ではデータ回線のみが半数を超えていたが、4月末に音声通話付きが逆転した。番号ポータビリティ(MNP)による加入者が増えており、「データだけでなく、電話番号を含めたメイン端末としてお使いいただいている」と藤野社長は話す。また同社は関西電力の子会社で、関西での固定通信事業(ISP)を基盤とする企業だが、mineo事業は契約者が全国に広がり「CMなどで知名度もアップできた」(藤野社長)と振り返った。

photo MNPなどで音声契約のシェアが半数を突破。メイン回線で使われはじめているという

 ただmineoの事業は、スタートから1年間で10万件の契約獲得を目標としていた。そのブレーキとなってしまったのが、2014年9月に判明し今も尾を引いている、iOS 8搭載のiPhoneでデータ通信ができない問題だ。同社は「現在も原因を究明中。問題がKDDI側なのか、Apple側なのか分からない状態」と改めて説明した。

 ドコモ系のMVNOでは同様の問題が起こっていないことから、iPhoneユーザー離れを防ぎたいという狙いも「ないといえばうそになる」と藤野社長。ただスタート時にau回線を選択したが、「折りを見てドコモ回線とのマルチキャリア化をしたいと考えていた」とも付け加えた。また回線の仕入れ先は増えるが、「設備はかなりの部分で共通しているため、設備投資のインパクトはあまり大きくなく、それを補って余りある効果が期待できる」と補足。また、ソフトバンクモバイル回線の利用についても気になるところだが、藤野社長は「接続料の高さがネックだが、いずれ検討を始めたい」とした。

 義務化がスタートしたSIMロック解除だが、ユーザーが実際にロックを解除できるのは最も早くても10月後半。また9〜10月には新型iPhoneの発売も予想される。mineoが9月にマルチキャリア化しサービスを拡充するのは、今秋の競争激化を見越したものだろう。ケイ・オプティコムは9月のマルチキャリア化をテコに、この1年でさらに20万契約、合計27万契約の獲得を目指すとしている。

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